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異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第9章 束の間の平穏

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第1話 迷宮都市タジニア③




「ミリア、そっちのもくれるか?」

「ええ、はいどうぞ」

「ありがとな」

「ソラ君、こっちは?」

「ああ、もらう」


タジニアにある冒険者ギルドの中、そこでソラ達は……呑んでいた。まあもう夕方に近いし、まだ少量で、3人は酔いにくいから大丈夫だろう。


「それにしても、あいつらもここにいたんだな」

「丁度良いね」

「ええ」


そんな3人が気配に気付き、視線を向ける。その先ではギルドに見知った人が入ってきて、受付嬢に話しかけていた。


「あの、すみません」

「おかえりなさいませ、勇者様。どういたしました?」

「蟲巣を攻略したんだけどな……」

「おめでとうございます!」

「また宝箱が空だったのよ。報告していない人がいたみたいね」

「またですか……分かりました」

「結局、全部踏破されていました」

「もしかして、同じ人?」

「その可能性が高、わっ⁉︎」


肩を叩かれ、驚く勇者……ジュン。振り返ったついてに睨んだとしても、驚かした当人が怯むわけがない。


「よ、元気か?」

「ソラさん……驚かさないでください」

「気配に気づかないお前達が悪い」

「お久しぶりです」

「あれ、何持って……ってお酒⁉︎」

「ああ。呑むか?」

「いりません!」

「まだ日がありますけど?」

「もう夕方だ。問題無い」

「だけどよ……」

「酔っ払ったりしたら……」

「これくらいなら酔わないから、大丈夫よ」

「呑む時はもっと呑むもんね」


実際、顔が赤くなってすらいない。そしてこの2組の掛け合いは、あの時とあまり変わっていなかった。

ただ、この光景を見て、困惑している受付嬢。とはいえ、ソラは助け舟を出したりしない。


「えっと、あの……」

「SSSランク冒険者のソラだ。ちょっと奥の部屋を借りるぞ」

「は、はい」

「来い。向こうの方が話しやすい」


取り敢えずジュン達を連れ、ギルドの奥の部屋へ向かう。その際何か倒れた音がしたが、気にしない。

しばらく後に着いた目的地は多少広めの部屋とはいえ、9人も入ると手狭に感じるが、椅子を上手く配置することで全員座れた。


「さて、強くなったな」

「分かるの?」

「分かるわ。体の軸がしっかりしてるもの。ソラはもっと詳しく知れるんでしょうけどね」

「魔力だって、制御が上手になってるよ。頑張ったんだね」

「あ、ありがとうございます!」

「やったぁ!」

「ただし、驕るな。油断すればすぐに死ぬぞ」

「はい、分かっています」

「勿論だ」

「なら良いわね。それでソラ、あのことを話すのよね?」

「ああ。だがその前に……」


ソラは部屋の壁を覆うようにして結界を張る。それを感知したようで、ジュン達は揃って怪訝な顔をしていた。


「結界?何でよ?」

「これから言うことは、絶対に他言しちゃダメだよ」

「正確には、ガイロンに報告するまでだ。無闇に話して良いことじゃ無い」

「分かりました」

「はい」

「わ、分かったわ」

「なら話そう」


ソラは軽い感じで言っているが、内容そのものは軽くない。というか、ジュン達からすれば非常に重いものだ。


「俺達は約半年をかけて、魔王の支配領域を調査した」

「え?」

「はい?」

「誰よ!そんなことやらせたの!」

「ガイロンだ」

「……ハウルに戻ったら父上を玉座から引きずりおろすわ」

「落ち着いてよリーナ。ソラさんも何か言ってください」

「リーナが決めたのなら、協力するぞ」

「ありがとう。報酬は侯爵で良い?領地も良いところを見繕うわ」

「リーナ⁉︎」

「領地はいらない。爵位も本当はいらないんだが……まあ名前だけのものなら貰おう」

「ソラさんも⁉︎」


リーナは最初本気だったようだが、ソラとの掛け合いで怒りは収まっていた。そしてそのままジュンをからかう方向に決めたらしい。

というか、ジュンのツッコミが板についているような……ついていないような。

とはいえ、流石に本題に入れずに話が進むのはマズい。まあ、ストッパーはちゃんといる。


「ソラ君、リーナちゃん、もう止めようよ」

「だ、そうだ。俺達も納得して受けた依頼だから、そう怒るな」

「リーナ、ソラさんもこう言ってるから、ね?」

「ジュンこそ、からかわれてたってことに気付いて無いの?」

「え?」

「おいおい」


ツッコミというか弄られキャラのような気がしてきた。だがこれ以上は続けず、話を進めていく。


「話がズレたが、俺達が話したいのは北についてだ。時間があったから、かなり広範囲を調べられたしな」

「危険じゃないのか?」

「魔獣は多かったけど、どうにかできる範囲だったわ。絶対に(・・・)警戒を絶やせないこと以外は、こっちと同じね」

「絶対にって強調したのは何でですか?」

「夜に2,3回襲われた時もあった。そういう意味だ」

「通り抜けるだけなら、そんなに心配しなくて良いよ。時間はあんまりかかんないから」


ソラ達にとっては雑魚だったが、ジュン達にとっては強敵の時もある。警戒無しなんて絶対にさせられない。


「だが、魔王城は場所の確認、それも遠距離から見ただけだ。中がどうなっているとか、具体的な警備体制とかは分からない」

「え?」

「中までは流石に無理ね。私達では、魔王や幹部の近くまで隠れて行くなんて不可能よ」

「エリザベートを救った英雄、漆黒の魔刀(ミッドナイトソード)金の双刃(ゴールドブレイズ)銀の四魔(シルバニルフォーサー)さんでも?」

「マジでヤメろ。折角その恥ずかしい通り名が忘れられてる頃なんだぞ」

「できればもう呼ばれたく無いわね」

「恥ずかしいし、似合わないもん」

「というか、それは戦闘能力を評価されてのことだ。気配を消すのとはまた違う」


人の噂は75日と言うが、あれ以降目立っていなかったため、この通り名はほぼ忘れられている。当人達が関係していないのに黒歴史と言うのもアレだが、3人がこのまま葬り去りたいことの1つだ。


「また話がズレたな……話したいのは、魔王の支配領域が今どうなっているかってことだ。ここに元々王国があったことな知ってるな?」

「はい。ソルムニア王国という国でしたよね?」

「ああ。王都を始めとした町は避難の間も無く魔獣に落とされたらしい。当然ながら、生存者は見つからなかった」

「やっぱり……」

「そうなんだ……」

「管理されていないせいで、街道も荒れ放題になってたわ。仕方ないから、獣道を進んでたわね」

「それって大丈夫なんですか?」

「道無き道を進むと余計に目立つ。相手は獣、格下でも感覚器官は俺達より鋭いぞ」

「気休めだけどね。でも、獣道を使った方が整地しなくて良いから楽だよ」

「獣道って狭いんじゃ……」

「9人なら獣道で大丈夫だ。それに、それ以上は投入する意味が無い。無駄な犠牲が増えるだけだからな」


軍団で北へ向かっても、結果は散々なものとなるだろう。第一、森では魔獣が有利だ。おびき出して平地で戦う方が利口である。


「それで、主力となっていた魔獣はAランクとSランク、SSランクも時々見かけたな」

「魔人が指揮してた時もあったわね」

「多すぎたから逃げた時もあったよね」

「げ……」

「まあ、罠にかけて殲滅したけどな。地形を活かせば、それくらいはできるぞ」

「大丈夫なんですか?」

「フリスの言った通り、通り抜けるだけならあまり問題は無い。魔獣から逃げられるルートとかの調べはついてる」


話すのは事実だけだが、全ては言わない。まあ、数万単位でゴロゴロいるなんてこと、伝えたって信じてもらえないだろう。それに信じてもらえたとしても、ソラ達は何者だという話になってしまう。


「その上で魔王城へ攻め込む時のルートを決めた。まあ、ただの最短ルートなんだが」

「最短ルートですか?」

「フリス、地図を出してくれ」

「うん」

「まず最初、帝国と共和国のどちらの砦から出発するかは分からないが、デイルビアへ向かう。その後はガルムス、ホート、ルーマと進み、ルーマの北西にある魔王城を攻める」


魔王城までの直線ルートに近いものだ。元王都への行き方は他にもいくつかあるが、どれもそんなに変わらないだろうとソラが判断したためである。


「他の町はどうしますか?」

「無視する。使える物なんて何も残って無いぞ」

「そうじゃなくて、遺体とか……」

「俺達が見た限りでは、1つとして残ってない。理由は分かるな?」

「えっと、それって……」

「相手は魔獣だから、ね?」

「ええ。恐らくそうよ」

「そう、ですか……」


分かっていたこととはいえ、凄惨な事実を伝えられて意気消沈するジュン達。それを見つつ、ソラは指輪から数冊の古びた本を取り出す。


「それと、ほぼ全ての町で当時の記録を回収した。その内のいくつかがこれだ」

「これって……」

「日記、ですか?」

「ああ、門番や衛兵の業務日記だな。町によって落とされた状況は違うが、共通点がある」

「共通点?」

「読んでみろ」


古いものだが、文字はちゃんと読める。ジュン達はそれを覗き込み……様々な顔をしていた。カズマが顔を引きつらせているのは、生々しい部分に当たったからだろう。


「うーん」

「共通点って言われても……」

「何のことか……?」

「分からない?」

「攻め落とされる直前、どこも森が静かになったって書いてあるのよ。直前まで魔獣がうるさかったにも関わらずね」

「あ」

「つまり……魔獣が1ヶ所に集まっていた?」

「恐らくはな。そして、これが全ての町で起こっていた意味が分かるか?」

「えっと……」

「……分かりません」

「想像以上に高度な組織化がされてるってことだ。こっちで町を攻めてくる時と比べ、手順がしっかりしてる。正面から戦っても、そう簡単にはいかない」

「それって」

「逆に言うと、頭を潰せば楽になる。魔王、それと幹部を殲滅すれば良いだろう」

「そういえば、魔王の側近は四天王って言ってたよね」

「ベタだ」

「ベタだな」

「ベタベタね」

「まあそうだな。ただし、油断はするなよ?」

「強いんですか?」

「十二闘将って自称する連中と戦ったことがあるが、ランクに見合わず強かった。奴らは四天王のことを格上に見ていたようだし、アレと同等かアレより強いだろうな」


だいたいどれくらいなのか、ソラには予想がついている。タイプが違ってもそこまで大きく変わることは無いだろう。


「まあ心配するな。邪魔な連中は俺達で片付ければ良い」

「そうね。ちゃんとやれば問題無いわ」

「ジュン君達だって頑張ってきたもんね。大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

「嬉しいわ」

「それって、ソラさん達も行くのが確定してるってことですか?」

「ああ」


そしてその後日が暮れるまで話し続けた。なお、この部屋から出た途端にギルドマスターなどに詰め寄られるのだが、そのことを3人はまだ知らなかった。













ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「じゃあ、ミリア、フリス、そっちは任せたぞ」

「うん。ソラ君もね」

「ソラ、無茶はしないでよ」

「町中で何をするっていうんだ」

「ん〜、鬼ごっこ?」

「おいこら」


翌日、ソラ達は男と女に分かれて町を散策することになった。これはリーナが言い出したことで、女性陣だけで話がしたいとかなんとか。

そして、残された男性陣は……


「そう言われても……」

「どうすんだ?」

「あいつらは服とかアクセサリーとか買うんだろうけどな」

「武器でも見に行きますか?」

「今のお前達の武器より良いものがその辺にあると思ってるのか?」

「無いですね」

「帝国と共和国がそれぞれの国宝クラスだって言ってましたから」

「ソラさんの方はどうなんだ?ずっとそれを使ってなかったか?」

「これは特別製だ」


磨耗なんてしない神器、そんな事実を言うことはできない。羨望ならまだしも、欲望を出されるのはソラとしても困る。そして、バレるのはもっと困る。


「となると、ギルドの訓練場でも借りるか。久しぶりに稽古をつけてやる」

「良いんですか?」

「おっしゃ!」

「ありがとうございます」

「喜ぶ前に、早く行くぞ」


ギルドまではそう遠く無く、すぐに着いた。そしてジュン達が空間収納の指輪に納めた装備をつけている間に、ソラは訓練場の手続きを済ませる。運の良いことに使用者がほとんどいないらしく、SSSランク冒険者の特権として貸し切りにできた。


「お待たせしました」

「遅い。装備くらいすぐにつけ終わるだろ」

「ちょっと打ち合わせをしてて……」

「なら良いか。もう大丈夫だな?」

「おう」

「じゃあ、早く構えろ。先手は譲ってやる」


そう言われて武器を構える3人に対し、ソラは薄刃陽炎を出しておらず、無手のままだ。というか、町歩き用の服装のままである。だが、ジュン達は一切油断することなく、すぐに動いた。


「うらぁ!」


まず、トオイチが突っ込む。彼はソラを両断する勢いでクレイモアを振るっていた。だが、それは大振りというわけではなく、コンパクトに振るうことで隙を少なくしている。さらに、横合いから切りかかったジュンと協力することで、反撃を防いでいた。

ソラは全て余裕を持って避けていたが。


「ふん!はっ!」

「悪くない。威力だけじゃなく、剣筋もかなり良くなってる」

「はぁぁ!」

「おっと、今のは上手いな。危なかった」

「当たって、無いじゃないですか!」


ジュンは聖剣を振るうだけでなく、光魔法も使い、ソラを追い込もうとしている。残念ながら、包囲網は形成する前に壊れているが。


「穿て!」

「牽制用としては中々の威力だな。精度も良い」


カズマの魔法、水球や土球がソラへと降りかかる。それらはジュンやトオイチの邪魔をすることなく、ソラのみを狙って飛んでいく。

そのソラは魔法を使っていないにも関わらず、全て避け切っているが。


「ぐ、このぉ!」

「当たらない……!」

「まあ、普通の相手と戦う分ならこれで十分だ。俺ほど技に精通した魔人はいなさそうだからな」

「当たれ!」

「カズマも、魔法を使うタイミングや使い方が良い。仲間を阻害せず活かせるのは上手い証拠だ」

「当たらなきゃ!」

「意味!」

「無いですよ!」


3人は同時攻撃を放つものの、それすらソラは涼しい顔で避ける。連続攻撃も避け続ける。だがジュンとトオイチから離れることがなく、カズマに大規模魔法を使わせない。半数だけとはいえ、勇者パーティーが完全に封殺されていた。


「さて、そろそろ俺も始めるぞ」

「やっと……」

「今さらな、な⁉︎」

「はい⁉︎」

「この程度で驚くな。はっ!」

「がっ!」


ソラの宣言は、反撃を行うというもの。そして今までの様子見とは違うことは、すぐに示された。

ソラは振るわれたクレイモアの上に飛び乗り、そのままトオイチの肩に蹴りを放った。トオイチは勢いよく吹き飛ばされ、地面を転げていく。

さらにソラは、呆然としているジュンの背後に飛び移り……


「そん、がはっ……」


足払いからの投げ技で投げ飛ばす。不意を突かれたジュンは何も反応できず、受け身も取れずに地面に叩きつけられる。

そんな風にやられた結果ではあるが、ソラの周りからジュンとトオイチがいなくなった。


「燃え尽きろ、ブレイズバーン!」


そして、それをカズマは逃さない。千載一遇のチャンスに魔力の多くをつぎ込み、広範囲を炎で覆い尽くす。死んでもおかしくないレベルの魔法、だが……


「……忘れたのか?」

「え⁉︎」

「闇魔法を使う者に、威力を軽視した魔法は効かないぞ」


自身の周囲に闇魔法を展開したソラに負傷は無い。そしてカズマは反撃の風魔法によって、壁際まで吹き飛ばされる。


「といっても、今の威力なら無効化できる魔獣はほとんどいない。SSSランクのドラゴン系くらいだろう」

「だったら何で……」

「俺は無効化に注目して研究と修練を続けてきたからな。魔力量や制御能力以上の力を発揮できてる」

「そんな無茶苦茶な……」

「練習すればできなくは無い。勿論、闇魔法が使えればだけどな」

「どっちにしろ無理じゃねえか」

「でも、これで……」

「さて、お前達の攻撃は見た。だから次は防御だな」


この話の間に、ジュン達は1ヶ所に集まり終えていた。そしてそのタイミングでソラは言い放つ。

ソラの顔浮かんだ表情に不安を感じたジュン達だが、もう遅い。


「さあ……」


ソラの周囲……というか、ジュン達を覆うように半球状に、大量の水球が展開された。その数はざっと数百、普通の魔法使いからしたら尋常な数では無い。


「えっ⁉︎」

「ちょっ、待っ!」

「そんなのって……」


ジュン達が何か言うが、ソラは無視する。


「踊れ」


そして、手が振り下ろされると同時に水球が発射された。放たれた先から補充されて発射されるため、それらはまるでガトリングのようだ。

水球は次々とジュン達へ当たり、ずぶ濡れにしていく。迎撃なども行っているが、全方位からの攻撃、なおかつ尋常で無い数なため、ほぼ無意味だった。


「うわ⁉︎」

「痛っ!」

「冷た!」

「まあ、寒中水泳の時期だからな」


稽古用の弱いものなので痛みは無いが、真冬に水爆弾を当てられ続ければ、寒いのは当然だ。それを続けられれば戦意も落ちる。

だがその前に、ソラの背後に一瞬影が生じ……


「何やってるのよ!」

「げはっ⁉︎」


綺麗な飛び蹴りがソラの脇腹に直撃する。魔法を撃つだけで気を抜いていたソラに対し、ミリアは最初から本気(神気使用)だったため、避けられることはなかった。

倒れ込んだソラに対し、ミリアは馬乗りになって押さえ込む。


「何こんなところでやってるのよ。というか、何であんなことになってたのよ?」

「いや、行く所が無かったから、訓練場で稽古をしようという話になって……」

「それで弟子イジメになったってこと?とんだ師匠ね」

「断じてイジメじゃないぞ」

「ならアレは何よ」


なおジュン達男性陣はソラの水球を避けるのに必死だったため、リーナ達女性陣はそんなジュン達を心配して見ていたため、ミリアの異常な速度には気づかなかった。例外はフリスだけだ。

そしてその彼女は……雷の神術を用意してソラへと近づいていく。


「ねえソラ君、わたし達も本気で怒った方が良いかな?」

「……フリス、その右手に溜め込んでいるのは何だ?」

「大丈夫だよ。ミリちゃんには流さないから」

「……申し訳ありませんでした」

「分かれば良いのよ、分かれば」

「やりすぎちゃってたもん。あれは駄目だからね」


自分がふざけすぎたということも理解しているため、ソラは素直に引き下がる。ジュン達はようやく収まったとホッとして……


「まあ確かに、少し多かったな。100発くらいにすれば良かったか」

「ええ。それなら、町を1人で攻めるくらいになるわ」

「魔法使いがいるなら、もう少し増えるよ?」

「なら150か?」

「ちょっと待って基準がおかしい」


聞き捨てならないこと言われて再度驚愕する。そして、ソラ達にからかわれていたと知るのも、もう間も無くだった。











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