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異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第6章 銀の獣と三色の庭

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第3話 竜巣①


「オラァ!」


岩場に響き渡る戦闘音、狼牙よりも狭いとはいえ十分広いここに、どこにいようと聞こえてきそうな爆音が何度も響いていた。

気合いとともに一閃し、ソラはリザードを背開きにする。少し離れた場所ではミリアがワームを切り刻み、フリスがワイバーンを撃ち落とした。だが、魔獣はまだまだいる。


「ソラ君、お願い!」

「ミリアは右のリザードとワームをやれ!フリスは左のワイバーンを!俺は正面の3種混成をやる!」

「分かったわ!」


数が少なめというのは何処なのか、次から次へと魔獣が向かってくる。そして片っ端から殲滅されていく。


「しっ!」


ソラはリザードの四肢を切断すると吹き飛ばし、上空のワイバーンに追突させる。そして落ちてきた所で首を刎ね、地上に魔法をばらまいた。


「はぁ!」


ミリアの振るう双剣によって、ワームもリザードも無関係に鱗が裂ける。その死体は消える前に足場にされ、さらに多くの死体が量産されていた。


「上から……落ちて!」


フリスに向かうワイバーンは、全て翼を貫かれ墜ちていく。火か水か風か雷かという違いはあるが、結果に変わりはない。


「また来たぞ……1群だけだな」

「数は?」

「50体だよ」

「ただの雑魚だ。すぐに終わらせるそ」


まあ雑魚とはいえ数が数、殲滅するまで多少時間が長くかかっていた。


「ふう、まだまだ弱いわね」

「ブロウワイバーンとダウリザード、ロウワームだからな。全部Bランクだ」

「浅い階層だし、仕方がないよね」

「むしろ高ランクが出るのが早いな。そういう場所か?」

「最低でもCランクなんだし、王国としては変だけど、そういう場所なのよ」

「確かに、王国内でAランクが集まる場所はそんなにないからな……バランス的には良いのか?」

「ちょっとよく分かんないんだけど……あれ?また来た?」


再び魔力探知に反応があった。そしてその数、100以上だ。


「上から……フライバーンだな。わざわざCランクを寄越したのか?」

「でも、数が多いよ?」

「一撃で終わらせられるだろ。俺がやるか?」

「いえ、私にやらせてくれる?」

「……どうしてだ?空を飛んでるんだぞ?」

「ソラとフリスに任せっきりだと、空を飛ぶ相手に何もできないもの。あれくらいなら、ジャンプすれば届くしね」

「そうか……分かった。無理だと判断したら介入するから、そのつもりでな」

「ええ、分かってるわ」


双剣を抜き、構える。相手が飛んでいるため、上を見据えていた。


「じゃあ……行くわよ!」


そして、群れめがけて一直線に跳んでいく。そして1匹のフライバーンの胴に双剣を突き刺し、振り子の要領で背中へ登った。


「これなら、いけるわね」


翼を切り裂いて墜とすと、その場で跳び上がる。仲間ごと足の爪で貫こうとしたフライバーンは、首を落とされた後に踏み台となった。


「甘いわよ」


次々とフライバーンの体を踏み台にし、翼や首を切り裂いていく。それはまるで、(そら)で舞っているようだった。


「心配する必要は無かったみたいだな」

「手伝わなくていいかな?」

「いや、数が多い。ここで時間をかけすぎるのも困るし、やるぞ」


ミリアに当たらないよう注意しつつ、全てのフライバーンへ光と雷が飛ぶ。それらは正確に脳と心臓を破壊し、地上に落とした。

ミリアも死体の上を飛び跳ねつつ、地上へ降りてくる。


「ありがと。私1人でやるには多すぎたわね」

「いや、あれだけやれることが確認できただけで十分だ。殲滅するだけなら1人でもできただろ?」

「最後の方は足場が無くなりそうだけど……多分問題無いわ」

「なら良い」

「凄かったよ」


Cランクのフライバーンだけでなく、Bランクのブロウワイバーン程度が相手ではかすり傷すら負わないだろう。Aランクのワイバーンやそれ以上のドラゴン相手だとどうなるかは分からないが、ソラとフリスもいるのだから問題は無い。


「そういえば、階段を見つけたわ」

「……そんなことまで確認してたのか?」

「狙ったわけじゃないわよ。完全に偶然ね」

「それで、どっち?」

「向こうよ。大きな岩の後ろにあるわ」


そこへ進むと、確かに下へ進む階段がある。それを下っていき、再び(偽物の)日の差す空間に出た。


「次の階は……似たような感じか」

「そんなに多くないけど、魔獣も変わってないよ」

「見晴らしも相変わらずね。足場が多いから良いんだけど」

「見晴らしが良い方が良かったんだけどな〜」

「魔力探知でもやれるだろ?」

「それとこれとは話が違うもん」

「そういうものか」

「そうだよ」


魔獣が大量に出てくるようなこともなく、簡単に階段を見つけて進んでいく。そしてそれを繰り返すこと数回、そこから急に雰囲気が変わった。


「平原か?」

「よく見えるわね……違いすぎるわよ」

「簡単に見つかっちゃいそうだね」

「その代わり、こっちも見つけやすいな。物量で押してきそうだが……」

「なら簡単よね」

「数が多い方が得意だもん」

「まあ、そういうことだ」


ダンジョンとは思えないほど気楽に過ごしているソラ達だが、すぐに気を引き締める。エリアが変わったためか、猶予時間は短かった。


「と、早速来たな」

「うん。でも、何でわたしより早いの?」

「魔力探知を伸ばしていった先に、偶然引っかかった。それより、多いぞ」

「そうだね。今でも100はいるもん」

「……どこからよ?」

「向こうの丘の反対側だ。対処する時間は十分あるな」

「それなら大丈夫ね」


こんなことを言っているが、魔獣の総数……それは数百はくだるまい。丘を越えて来た軍勢を見て、3人は少し気後れした。


「恐竜系……CからAの混合か」

「見てみると凄い数ね。大きいし……少し怖いわ」

「こっちに突進してるもんね」

「だが、俺達の方が強い。やるぞ」

「ええ」

「うん」


前にいるのはステゴサウルスやトリケラトプスなどの堅固な草食恐竜系、その後ろにアロサウルスやヴェロキラプトル、T-レックスなどの肉食恐竜系がいる。見た目だけなら凶悪を通り越して絶望レベルの集団だ。

3人なら正面から当たっても勝てるが……ソラの顔に笑みが浮かんだ。


「良いことを思いついたぞ」

「何かとんでもないことをやろうとしてるわね?」

「何なに?」

「2人が考えてるほどじゃないさ。恐竜ってのは、一部を除いて荒れた場所での走破性は低い」

「そうなの?」

「バランスが悪いからな。4本足の連中は重心が低すぎて登れなかったりするし、2本足の大半は平地を真っ直ぐ走る以外苦手だ」

「そうなのね。それで、どうするのよ?」

「見れば分かる」


ソラに言われたため、魔獣が近づいてきても2人は手を出さない。そして50mほどまで近づかれた時、ソラが魔法を放った。


「ここは……こうしてやれば良い!」


そしてその瞬間、恐竜の群れが消える。正確には、真下にできたすり鉢状の巨大な落とし穴に落ちたのだ。

直径100m、深さは最大30mといったところか。外側に行くほど斜面は急になり、身軽なヴェロキラプトル系の魔獣でも簡単には抜け出せない。というか、下敷きになっている時点で脱出も何も無いのだが。


「ちょっと壮観ね。それで、この後は?」

「適当に魔法を撃ち込めば、全滅するだろうな。フリス」

「うん、任せて」


この中に落ちたAランク魔獣、フリーズレックスとエレキトプスのせいで既に酷いことになっているのだが、ソラとフリスは容赦しない。火や風や雷や光が乱舞した。


「これで終わりか」

「でも、そこに魔水晶が落ちてるわ。どうするのよ?」

「地面を戻せば良いだろ?」

「簡単に言ったけど、魔量は大丈夫なの?」

「ああ。神気も使えば、これくらいならそこまで消耗しないからな」

「凄いわね。私もできるようになるかしら?」

「ミリアは力の方向性が違うだろうから、これはできないだろう。別の方向で似たようなことはやれるかもしれないが」

「じゃあ、それを期待しておくわ。それでソラ、お願いね」

「ああ」


ソラは言った通りに地面を平らに戻し、底に落ちていた魔水晶を回収する。だが、容易く休息をさせるつもりは無いようだ。


「ねえ、来たよ」

「そうだな……ワイバーンにリザードとワーム、他にもアクアスピノにエレキトプス、エアロドンとフリーズレックス、Aランクだらけか」

「数は?」

「200以上だ」

「大変そうね」

「Sランクがいないのが残念だけどな」

「いたって変わらないわ。普通に戦って倒すのよね?やれるわよ」

「その通りだが……強気だな」

「だって、ドラゴン系だもの」

「トラウマ克服するの?」

「そんなのじゃないわ。ただ、似たような姿の相手に負けたくないだけよ」

「負けず嫌いだな。まあそれもいい、いくぞ」


そして、光の粒子が舞い散った。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー












「ドラゴンか」

「この大きさ……エルダードラゴンね。厄介よ」

「SSランクだもん。油断はできないよ」

「ああ……行くぞ!」


目の前のドラゴンはかなり分かりやすい見た目をしていた。10m程度の胴体に、その倍以上はある巨大な翼を3対6枚も持っている。それはつまり、空戦に特化しているのだろう。異様に天井の高い(100m以上)ここでは、かなり有利そうであった。

また鱗は黄緑で、恐らく風・雷・光の3属性持ちだろう。攻撃だけでなく、ドラゴン本体も素早いことが予想される。ただのエルダードラゴンよりは歯ごたえがありそうだ。


「やらせるか!」

「いって!」

「来られると面倒ね。迎撃するわ」


エルダードラゴンのブレスをソラの闇魔法が防ぎ、フリスの火球は避けられた。ミリアも闇のエンチャントを受けた双剣を振るい、落ちてくる雷を迎撃する。

飛び上がったエルダードラゴンは相手に跳んで近づくのは容易ではなく、必然的に地上対空中の魔法戦になった。


「これは大変だね」

「魔法しか届かないからな。あそこまで上に行かれると、攻撃を当てるのも一苦労だ」

「私は戦力外になるものね。それで、何か策でもあるんじゃないの?」

「一応、あるぞ。無理矢理押し切れなくもなさそうだが……どうする?」

「じゃあ、それをお願いできる?」

「ずっと続けるのも大変だもの」

「分かった。俺の合図で攻撃開始だ」


魔法合戦をし続けながら、3人は隙をうかがっていた。そしてエルダードラゴンがブレスを吐こうとした瞬間、そこを狙う。


「墜ちろ」


ソラの生み出した吹雪により、翼が凍りついた。翼で飛んでいるわけでは無いので永続的な効果は無いが、一瞬でも隙ができればいい。


「ミリア!ぶった切れ!」

「分かってるわよ!」


その隙にミリアは氷の足場を伝い、エルダードラゴンの背中を駆けて翼を切り落とす。残ったのは千切れかけの2枚だけ、機動力はほぼ失っただろう。

そしてその直後、100以上のウォーターカッターがありとあらゆる方向からエルダードラゴンを狙い撃つ。鱗である程度防御できているが、大半はそのまま骨まで到達した。


「これで良い?」

「上出来だ。はぁ!」


そして落下してきた所で、首を斬り飛ばす。割と時間がかかったが、終わりはあっさりだ。


「SSランクとはいえ……3属性持ちのエルダードラゴンは強いな」

「相性の問題だと思うわ。あんなに高く飛んでなかったら、直接切り刻んでるわね」

「……今の笑顔怖かったぞ。ストレス溜まってるのか?」

「ええ。ずっと飛んでて、手も足も出なかったんだもの。最後だけじゃ足りないわよ」

「上手く発散しろよ?俺でできることなら何でも手伝うぞ?」

「そう?なら……良いことを思いついたわ」

「……あ、この笑顔はマズい」

「ねえミリちゃん、私も良い?」

「ええ、勿論よ。ソラ、良いわよね?」

「……分かった」


なお奥にあったのは、黄色アメジスト透明(ダイヤモンド)な宝石のついた指輪が1つずつだった。







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