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異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第5章 新たな希望と白の迷宮

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第17話 特訓②

「言ってなかったか?」

「聞いてないわよ!」

「前に会ったリーナは別だが、3人だけで旅をしている時点で察せるだろ」

「予想できなくはないですけど……」

「いや、会ったばっかのオレ達には無理じゃないか?」

「疑問を持つまでも無く、無理です」

「そういうことは……私はありませんでしたし……」

「え?ソラさんってロリコン?」


勇者パーティーはそれぞれで言いたい放題言っているが、ソラはそれらを聞き流していく。まあ、流石に最後だけは許容できなかったが。


「おいこら、誰がロリコンだ」

「いやー、どう見てもロリっ娘に手をつけたお兄さん……」

「1歳下の成人にロリコンも何も無いだろうが」

「えっと……合法?」

「フリスのどこが合法ロリだ」

「いえ、見た目が……」

「童顔なだけだろうが!」


フリスは子どもっぽいため、最初は勘違いされるのかもしれないが、決して見た目が子どもというわけでは無い。だが、からかっている5人には無視された。そしてソラも、やり返す気満々だ。

なおこの会話、ミリア・フリス・リーナの3人には通じていない。……教育上はその方が良いのだろう。


「……お前らの認識は良く分かった」

「じゃあ、認めるんですか?」

「……俺がロリコンなら、カズマは真正のロリコンだからな」

「えっ!ちょっ⁉︎」

「そうだな」

「異議なし」

「賛成ー」

「異議はありません」

「何で⁉︎」

「俺はこういう仲になって結婚した、お前は見た目だけで手を出そうとした、それだけだ」

「本気にしたんですか⁉︎」

「本気だろうと冗談だろうと許さん」

「そういう意図じゃないですよ!」


カズマは純粋に個人練習を頼もうとしただけだった。その頼む相手の旦那の意地が悪かった(からかって遊ぶ)のは、唯一かつ最大の誤算だろうが。


「まあ、遊ぶのはこれくらいにしておくか」

「遊ぶ……またですか……」

「何かあるのか?」

「いえ、もういいです……」

「カズマ……あの、2人って大丈夫なんですか?」

「この世界は一夫多妻も可能だからな。それとも、幼馴染同士の2人が同時に告白してきて、どっちか選べって言うのか?当時から両方大切なのに。少なくとも、俺には選べなかった」

「それは……難しいですよね」

「そうなのか?」

「素敵です。そんなに想える人がいるんですね」

「良いなー」

「…………」


なおこの間カズマは沈黙、というか意気消沈していた。だがそんなカズマは無視され、ハルカが気になっていたことを聞いてくる。


「ねえ、ソラさん。一応聞きたいんだけど……ソラさんって、帰りたかったりしないの?」

「帰る、か……俺は転生だからな。向こうだともう死んでる」

「でも……」

「ってことで、最初は自分を納得させてたな。未練を持っていても仕方なかった、っていうのもあるが」

「じゃあ、帰りたいんですか?」

「最初はな。でも今は、もっと大切なものがある。気にならないわけじゃないが、全てを置き去りにして帰りたいなんて思ってない」

「大切なものって、もしかして……」

「当然、ミリアとフリスだ」

「……正直に言われると恥ずかしいわね」

「うん……」

「まあ、な……」

「弱点発見」

「意外です」

「こういうのは面白いですね」


ただの惚気話で自爆したソラ達。そしてそれを、5人(カズマ以外)はニヤニヤしながら見守っている。


「お前ら……色々と長引いたが、これで今日の稽古は終わりだ。明日もやるからしっかり休めよ」

「いや無茶苦茶な……」

「ソラは無理だけはさせないから、安心していいわよ」

「大丈夫だからね」

「……諦めようぜ」

「……そうよね」


ここが地獄の一丁目となるのかどうか、それはジュン達次第だ。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー











翌日……


「これで終わりなのね」

「簡単すぎない?」

「無理を言わないでください……」

「仕方ないだろ。ジュン達は召喚されるまで戦ったことはないんだし、リーナとは会って1ヶ月だ。この程度でもできるんだから、努力は認めてやれ」


ソラ達はパーティーでの連携を、実戦形式で見ていた。召喚された5人は仲の良い友人だったそうで、スジは良い。リーナは合わせようという努力の結果、ジュンとはかなり良い連携ができている。

だが阿吽の呼吸とまではいかず、昨日と同じく死屍累々と惨状が広がっていた。


「……ちなみにジュンさんって、こっちに来た時何やってたんですか?」

「俺か?ゴブリン5匹を蹴り倒した」

「……本気、よね?」

「ああ」

「は?ゴブリンってザコじゃないのか?」

「その勘違いは直しておかないとな」


ドラゴン等の化け物なら問題無いだろうが、ゴブリン相手にこの間違いはやめておいた方が良い。


「ゴブリンは日本じゃザコの代名詞だが、ベフィアじゃ違う。割と強い相手だ」

「と言ってもDランクだから、わたし達にとっては弱いけどね」

「ジュン君達だとどうかな?」

「技がまだまだとはいえ、元の力は強いからな。1対1なら余裕で勝てるだろ」

「……でも1対1なんだ……」


ソラ達からすればゴブリンなど敵ではないのだが、普通の日本人だった5人には厳しいだろう。リーナ以外はまだ経験が無いため、3人が守るつもりだ。


「まあ、そのうち気にしなくてよくなるから大丈夫だ」

「そうなのか?」

「そうよ。勇者や従者だから能力は高いし、筋が良いからね」

「魔法だって、昨日より良くなってるよ。見違えるくらい」

「全部防がれましたけどね……」

「そこは経験の差だ。なんだかんだ言っても、1年以上戦い続けてるからな」


近接戦闘はそう大して変わっていないが、4人の放出系魔法は1日でかなりのものとなっていた。昨日より速く、省略詠唱もできるようになっている。ソラ達には敵わないとはいえ、このレベルの成長はかなりのものだ。


「もうすぐ昼飯か……食べ終わってしばらくしたら、昨日と同じく1対2でやるぞ」

「またですか……」

「ゆっくりしてる暇なんか無いからな」

「厳しいかもしれないけど、外に出るなら必要だからね」

「魔獣だって、魔法を使うもんね」

「外ってどうなってるの……」

「この3人が言ってる外は、普通じゃない場所のことだから。普通はこんなに酷くないから」

「リーナ、油断はいけないぞ」

「メチャクチャなことを吹き込んでる人に言われたくないわよ!」


滅茶苦茶だが、ソラ達は実際にこれ以上の地獄をくぐり抜けてきた。勇者と従者である6人なら、必ず直面するだろう。ソラ達はそのことを前提にして言っていた。

そして9人は練兵場から出て、城の中にある食堂へ向かう。そのまま昼食をとっていたがその時、外について他にも聞かれた。


「ダンジョンってどんな感じなんですか?」

「ダンジョンか……中は色々だな。洞窟だったり、沼地だったり、森だったり」

「そうなんですか……」

「それで、魔獣は?」

「魔獣なら、嫌になるほど来るぞ」

「「「「え?」」」」

「だいたい10から20匹で来るわ。まあ場所によるけど、高くてもAランクまでね。Sランクは群れで出て来たことは無いから、安心して良いわ」

「安心できねぇ……」

「そうかな?」

「Aランクの群れってのは……ね」

「Aランクなんか、北に行けば普通にいるぞ?エリザベートに来た魔獣を率いていたのは、SSランクの魔人だしな」


ゴブリンがDランクで1対1である現状、そのはるか上であるSSランク魔人。興味は当然あるだろう。直接対峙すればまた別だろうが、そこまでソラは気にしない。


「……どんな相手だったんですか?」

「青い肌で、大剣(クレイモア)を両手に持ってたな。それと、未来予知ができたらしい」

「未来予知って……」

「勝てませんよね?」

「全部バレちゃうじゃん」

「……どうやって勝ったんですか?」

「居着きを誘った」

「いつき?」

「人の名前か?」

「居着き、体の動きが止まる瞬間のことだ。武術家が1番嫌うものだな」

「それを……誘えるってこと?」

「ああ。あの魔人の技は未熟だったからな。逃げ場を無くすように動けば誘えるものだ」


ミリアとフリス以外、意味不明といった感じの顔をしていた。実際意味不明だが、ソラはできるのだから仕方が無い。ミリアとフリスのように諦めるべきだろう。

それが良いことなのかどうかはさておいて。


「さて、休息はこれで良いな。また始めるぞ」

「はーい……」

「仕方ないでしょ。強くならないといけないんだから」

「そうだけどな……」

「魔法だって上手になったんだし、大丈夫だよ」

「そうですか……」

「じゃあ行くぞ」


そしてジュン達はソラ達により、またボコボコにされた。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー











「ここは……これか?」

「いえ、こっちの方が良いわ」

「確かに。マジシャンをDの7へ、Fの6を中心にアタック」

「じゃあ、アーチャーをEの5へ、マジシャンにアタック」

「そっちか。なら……ヒーローをFの6へ、アーチャーにアタック」


その夜、ソラ達は城の中にある談話室のような場所にいた。ここの区画は元々ジュン達がいた場所だが、都合が良いとソラ達も空き部屋に入れられたのだ。そのため、彼らも来る。


「ソラさん、何をやってるんですか?」

「将棋じゃないですよね……」

「レルガドールね……フリス強すぎよ」

「そうかな?」

「そうなんですか?」

「ああ。失敗したら後13手で詰む」

「違うよ。ヒーローをFの7へ、ヒーローにアタック」

「……後4手ね」

「……しかも逃げ場も無いな。俺達の負けだ」


ソラは負けを宣言し、レルガドールを片付けた。

が、ジュンとカズマ、そしてハルカが興味深げに見ていたため、再度並べ直す。


「最初はこう並んでる。ここから交互に動いていくものだ」

「詳しくはどんなものなんですか?将棋に似た感じですけど……」

「スタック系のゲームがあるだろ?あれと似た感じだ。駒を動かして、周囲を攻撃する。攻撃を喰らえば取られるし、持ち駒は再利用できるけどな」

「……何ですかその混ざりまくったゲーム」

「初めて見た時は俺もそう思った」


ゲームと将棋の融合、作ったのはもしかしたら転生者だったのかもしれない。この真相は分からないが、今は関係が無いのも事実である。


「まあ、1回見せるか」

「そうね。フリスにも勝ちたいし」

「わたしは負けたく無いけど……やろっか」

「どんな風なんだろうね」

「オレにも見せてくれ」

「ゲームほど見栄えがするわけじゃないけどな。フリス、先手は貰うぞ」

「うん、良いよ」


もう1局指し始める。そして……


「よし勝った!」

「やったわね!」

「あ〜負けちゃった」


ソラとミリアのコンビが、ようやくフリスに勝った。だが相性が悪いため、その損害は大きい。


「……5戦して1勝だけかよ」

「先生、強すぎですよ……」

「こんな強い人初めて見たわ……」

「先読みが……10手くらい先までですか?」

「フリスさんの動きに迷いって無かったよね?」

「まあ、こうなるのは仕方ないからな」

「私とソラはフリスに対して、本当に相性が悪いからね」


1勝4敗という大差がついてしまった。勿論、フリスが4連勝した後に、ようやく2人が勝てた形だ。その3人の間の実力差を、レルガドールを知らないジュン達は誇大して感じていた。


「まあ、こんな感じで息抜きをしたって何も問題は無い。気負いすぎるなよ」

「そうなんですか?」

「ああ。勉強の合間にゲームをするようなものだ」

「それはちょっと違う気が……」

「冒険者って、そういった酒場とかに行くと思ってたんだけどなぁ」


男と女でグループが分かれた時、トオイチが聞いてくる。男としては気になるだろうが……このパーティーではやめた方が良い。


「大半はそうだぞ。だが俺達の場合……行ったら後でどうなるか、分かるだろ?」

「……絶対酷い目に遭いますね」

「……オレ達もそうか」

「僕は行くつもりが無いから良いですけど……」

「そういうことだ。絶対に行くなよ」


ソラの場合は夫婦なのだから、そういった問題は無いのだが。








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