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世界の終わり、小さな逃避行  作者: 澪標
ワールドエンド
8/13

1-8

 しばらく無言で歩く。市街地の方に出てきた。確かにビルが何棟かは残っている。駅も残っていた。

 駅のロータリで立っていた男が蓬を見ると近寄ってくる。

「朔君、しばらく離れていてもらえますか。面倒くさいことになりますので」

 蓬はそう言い、男に近づいていく。俺は近くの建物の残骸の影に隠れた。

 蓬が身構えながら男と話しているのが見える。

「随分と遅かったじゃないか。一晩待たされるとは思わなかったぞ。……それでやったんだろうな」

「地震に会わなかったの?それが証拠よ。死体はもう無いわ、殺したと同時に消えたのよ」

「よくやったな。これで連盟での立場は保障されたも同然だな」

「そのことなのだけれど、私は連盟を抜けるわ。仕事は果たしたし文句はないでしょう」

「……おいおい、何いってるんだよ。お前にはまだ利用価値があるんだ、潰れるまで役に立ってもらわないとな」

 だんだんと剣呑な雰囲気になってきた。

「そう言うと思ってたわ。そんな組織だから嫌気がさしたのよ」


 男が懐から何か黒い機械を取り出し、スイッチを押しこんだ。

「これでお前は晴れて連盟から脱退した。裏切り者としてな。

 裏切り者には死を!!」


 どこにいたのか人が集まってくる。皆、蓬を見つめてブツブツと何かを呟いている。

 蓬はそれを無視して空を見上げる。

 俺も空を見上げると空は暗くなってきていた。そろそろ雨が降り出しそうだ。

 蓬の周りを人が囲み、俺のいる場所から蓬を見ることが出来なくなった。


 蓬は大丈夫なのかと思いつつ、俺が行ってもどうにもならないと思い静観していると、いきなり人垣が外側から崩れた。

 赤いコートを着た少女が人を鉄パイプで殴っている。

 動揺して綻びができた人垣から拳銃を手に持った蓬が出てくる。

「弓月!どこかに古式の人間が隠れているから、そいつを倒さないと意味は無いわ!」

 そう言い、蓬が俺の方に向かってくる。

「朔君、逃げるよ。弓月とは後で合流できるから。ほら立って!」

 そのまま走り始める。後ろを見ると、人が追いかけてきている。最後の方に蓬と話していた男が血まみれになって着いてきている。

「蓬!逃げられると思うなよ!ここから先すべての人間は連盟の手先となる。お前らの逃げる場所なんてないんだ!」


 蓬は銃を男に向け無造作に引き金を引いた。走りながらで狙いをつけれないのか男には当たらない。しかし男は立ち止まりその場に倒れこむ。

「くそがっ、蓬!それとそこの男!逃げれると思うなよ!」

 それを最後に男は動かなくなった。

「蓬、どういうことだ!現状の説明を頼む!」

「そんなもの逃げ切れてからする。弓月が連盟の術者を倒すまで逃げ切ればいいの。喋ってないで足を動かして!」

 追いかけてくる人たちは倒れた男の上を無造作に踏みつけこちらに向かってくる。

 ……おそらくは術者とやらが操っているのだろう。だから普通ならできないような惨いこともできる。

 これが連盟の能力者の力と思い、蓬が連盟から離脱した理由の一端が見えた気がした。

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