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2-2

 弓月は思いつめたような顔で俺の前に座る。

 迷うような素振りを少し見せた後、意を決したようにして話し始めた。

「これから先、私たちの目的が果たされるまで朔さんを守りながら行動することはできる。巻き込んでしまったのは私たちの責任だから」

「……蓬はどう考えているんだ?」

「蓬さんの考えは知らない。けど私はこの選択がベストだと思う。それに今あなたが一人で行動しても、自分の身を護る手段がないから」

「雨に打たれて、気を失って、それで俺は力を得たんじゃなかったのか?」

 その言葉を聞いて弓月は悲しそうな顔をした。

「父さんは確かに世界に干渉できる力を分配した。けどそれは戦うために使うものではない……」

 そう言われて気付く。例え血がつながっていなくても、彼女の父親だった存在の死があったことを。神の死の上に現状があることを。

「……すまない。君の気を考えずに」

「分かってくれたならそれでいい。それにあなたの力はすぐに目覚めるようなものでもないし。

 新式は目覚めるのに相当時間がかかる。目覚めても些細な力でしかないから自覚することもないだろうし」

「神は何を考えてこんなことをしたんだ?」

 些細な力を人に授けて一体どうしようと考えたのか。

「父さんは世界を変えようとした。誰でも変えることが出来る世界に。人が皆、より良い世界を望むなら世界はそれに応えるようにって」

 大層な話である。が、そう説明されると成程とも思う。

「朔さんがこれからどうするにしろ、連盟の存在がある限りその影を意識していかなければいけない。その事だけ覚えておいて」


 それを最後に弓月は部屋から出て行った。

 もう選択肢は一つしか残されていない。弓月の話を聞いて、一人で行動しようとは思わない。

 けれども、弓月の考えと蓬の考えは恐らく違うだろう。

 蓬は俺の安全を考えての発言だろう、けど弓月はどういう考えで俺にあんなことを言ったんだ?

 完全に俺の選択の幅を狭める意図しか見えない。

 けど彼女の顔はそんな考えで俺に言っているようには見えなかった。


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