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図書館司書は営業スマイル猫かぶり

「お久しぶりです、王子殿下、レオネイド殿。これは珍しい組み合わせですな。シュリエラ殿、今日はお仕事はどうされたのですか?」


訳:久しぶりに現れたかと思えば王子を誑かしていい御身分だな仕事しないのかね貧民上がりの小娘が。


「お久しぶりです。ヴィドフ殿。」

「ヴィドフ様もお元気そうでなによりです。今日は研究員は休みですから、図書館は閉めております。ご存知かと思いましたわ。」


訳:相変わらず腹立つくらい元気だなクソジジィ人のこと言えないな仕事もせずに愛人に鼻の下のばしてるから今日図書館が休みだって知らなかったんだろザマァミロだっせぇ。



100%営業スマイル猫かぶり。

簡潔にシュリエラの様子を言い表せば、そうなる。

その証拠に、同伴パートナーとして腕をがっつり組んでいるルディーノの腕はシュリエラがいらつく度に強めに締め上げられている。

笑顔のルディーノは、口を動かさず相手に聞こえない程度の小声でシュリエラに文句を言った。


(ほ……骨……!軋んでる……!)

(うるせぇ。厭味に耐えるので精一杯だ。)


こちらもニッコリ微笑んだまま小声で返す。


ルディーノは身体的に、シュリエラは精神的に、早くも疲労を溜め始めていた。



立食スタイルの夜会だが、食欲なんて湧かない。

二人して酒をちびちび飲むばかりだった。


時折やって来る厭味な貴族達を適度に躱しつつ時間が過ぎるのをただただ待つばかり。



「ルディーノ殿下。差し出がましいですが、夜会、一人で出た方がよろしかったのでは?」


考えてみれば出自のはっきりしている、かつ、ルディーノとどうにかなろうなんて考えを持てない臆病なお嬢様。探せば一人や二人は居そうなものだ。


ルディーノは敬語で自信なさ気に文句を言うシュリエラを見て、微笑んだ。

ヒールの高い靴を履いたシュリエラは元々背が高いこともあって、ルディーノとかなり顔が近い。

ルディーノが喋ると、それはあたかもルディーノとシュリエラが恋人同士で、お互いに囁きあっているように見えた。


「僕は別に女だったら誰でもいいって訳じゃない。妹みたいに思ってるシュリエラが教養もあって綺麗なんだよって、色んな人に見せびらかしたいだけだよ。」


「口がお上手ですね。私をおだててもラリアットしか出ませんよ。」


「ラリアットも出さなくていいよ。あだだだ、腕折れるっ…。」



シュリエラの頬は僅かに朱く色づいていた。






(……褒められ慣れてないから、照れる。)





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