司書が健康体になった、するとアイツに久しぶりに出会った
アイラに連行され、シュリエラが向かったのは図書館のすぐ隣。かつては図書館司書達の休憩所だった場所だ。
現在は改装され、小さなキッチンやシャワー室も整備され、ベッドやソファ、テーブル、デスクも設置されている。
シュリエラの生活空間となっているそこにアイラはずんずん入り込み、半ば引きずっていたシュリエラをベッドに投げた。
「さあ、おやすみなさい。」
アイラがシュリエラの横たわったベッドに腰掛けると、シュリエラは既に寝息を立てていた。
アイラは微笑み、シュリエラの頬を優しく撫でる。
「夢なんて見ずに、ぐっすり眠れるといいですわね……。」
シュリエラが目を開くと、アイラが隣で寝ていた。
アイラだって責任ある立場だ。
アイラははたしてこんな所で眠っていて大丈夫なのか、一抹の不安を覚えながらシュリエラは起き上がった。そして、そっとアイラを揺り起こす。
「……んぅ?シュリエラ?」
普段の高飛車な物言いとは掛け離れたアイラのかわいらしい声。シュリエラの雰囲気も柔らかい。
「おはよ、アイラ。」
「よく……眠れまして?」
「おかげさまで。そっちもよく眠れたみたいだな。」
ニッと笑ったシュリエラを見てアイラも口角を上げた。
「もう大丈夫……みたいですわね。じゃあ、私は行きますわ。」
「あぁ。ありがと、な。」
言いながらシュリエラは眉尻を下げ、頬を掻いた。
今日、図書館は開いていた。
昨日開いていなかったぶん、資料を探せなかった研究者たちが押し寄せている。
その出入口付近、いつもより幾分顔色のいい司書がカウンターの中で本の頁をめくっていた。
図書館の扉が開いた。
「久しぶりだな、シュリエラ!」
大声を出すとシュリエラに怒鳴られるので、小声だ。
しかし、その小声からは溢れんばかりの元気が感じられた。
「久しぶり。今いいところだ、ちょっと待てルディーノ。」
テンション高めのこの男。
国の第一王子を、シュリエラは声だけで当てて目も向けずにスルー。
若干落ち込む王子、ルディーノはちょっと切ない気分になりながらもその場に立っていた。
十数分後、漸くシュリエラが顔を上げた。
「さて、何の用だルディーノ王子殿。」
「や「断る。」……最後まで聞いてくれ。」
誰から見ても、ルディーノは不憫だった。