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正義=  作者: きゅ~ぶ
第一節 異端者狩り編
2/4

一章 =引きニートを極める男【前編】

……こんなはずじゃなかった(・ω・`)

.




一。



朝。


朝方の冷え切った空気が部屋中を支配する。


カーテンを閉めきっているせいで、妙に閉鎖的な部屋の中、パソコンのモニターだけが淡い光を放っていた。


部屋の中は至って普通。

見るからに男子高校生の一般的な部屋で、ベットの下を漁ればエロ本の1冊や2冊は出てきそうな程に普通だった。



そんな中、机に向かってキーボードに突っ伏すような形で寝ていた少年が目を覚まして、ゆっくりと体を起こした。当然のようにまぶたは閉じたまま。


(うーん……、今何時だ?)


目をこすりながらチラッとデスクトップの右下を確認する。


7時17分。


帰宅部には朝練の概念がないため、今からゆっくり準備しても十分学校には間に合う時間だった。


(完全に寝落ちてんな~、昨日何時まで起きてたんだっけ?)


確か、4時前にツイッ○ーに『ねむぽよwwwwwwwww』とつぶやいたのを最後に記憶がないから、だいたい3時間睡眠。


いつも通りだ。


さて、そろそろ準備でもしようか思ったところで、扉の向こうから階段を駆け上がってくる音が聞こえた。と、同時にバタンッと勢い良く扉が開け放たれた。


「一義!さっさと起きないと食べちゃうよっ!」


少年、坂上一義(さかがみいつぎ)は、半開きの目で扉の前で仁王立ちをしている母の姿を捉えた。

……何を思ったのか裸エプロン姿の母を見てため息しかでない。


「食べるって、俺の朝ごはんを?」

「ううん、一義を」

「ホントそういうの勘弁して下さい!」


母、坂上涼(さかがみりょう)は黒髪美人でスタイルも良く、家事スキルも万能なのだが、言動通りのダメ親。一義は毎日のようにセクハラを受けていた。



「わかったから、もう起きたから、さっさと降りて服を着てくれ」


一義は呆れたように、寝癖のついた髪を掻き毟りながら、めんどくさそうに言う。



「え?この状態で振り向いちゃっていいの?」

「……。」


裸エプロンで振り向く= ーーーー


「もう、一義のえっち♪」

「『えっち♪』じゃねぇ!!俺が違う方見てたらいいんだろ!?だからもう行ってくれよ!」

「母親に向かってイってくれなんて一義ったら「あぁ!!もう!うるせぇええええええぇぇぇぇええええええぇぇぇえええええ!!」」



どうして自身の親のケツなんざ拝まにゃならんのだ!それも寝起きそうそうに。

まったく全体的にふざけてやがる。


一義の悲痛の叫びは、2階建ての家中に響いた。

……これはこれである程度いつも通りの目覚めなのだが。



こんないろんな意味でいつも通りな感じで、坂上一義は今日という日を迎えてしまった。










二。



頭がクラクラする。

昨日遅くまで起きてたせいか、朝から思いっきり叫んだせいか、母にご飯を口移しさせられかけたせいか。とにかく朝から体中が重い。疲れ切っていた。

ため息と一緒に吐く息は、いちいち白くなってのぼっていった。


「今日を乗り切れば明日から冬休みだ。大丈夫。今日だけ乗り切ればいいんだ」


そう。

今日は2学期終業式の日。明日からは晴れて冬休みに入る。学校の束縛から1ヶ月近くも解放されるとなれば、今の疲れなんてどうという事はない。


「明日からは存分に引きこもってやる」


……こっちもこっちでダメ人間な一義だった。



少ししてから、赤信号に引っかかり足を停めていると、


「よぉ、坂上!」


と言いながら隣に学校指定の紺のジャージを纏った男が並んできた。


「なんだ、古谷か」

「なんだとはどういう事だ失礼なニートだな」

「うるせぇ」


古谷啓祐(ふるやけいすけ)

一義のクラスメイトで一緒に連んで遊ぶ事が多い友人だ。そして、


「ってかなんでジャージなんだよ」

「帰宅部の朝練に決まってるだろ」


相当な馬鹿だ。


というよりも、人前で馬鹿をするのを信条としていて、とにかく面白かったらなんでもするタイプの馬鹿。別に染めたわけではない茶色の短髪。ある程度は整った顔立ちからは想像もつかないような馬鹿だった。


古谷はシュシュシュッと息を吐きながらシャドーボクシングをしだした。

それ帰宅部関係ねぇだろというツッコミを待っているのだろうか。


「そういや、坂上と合流しちまったって事は、こっから全部赤信号になるんじゃないか!?」

「悪かったな、疫病神で」


少し残念というより、めんどくさそうな表情をする古谷。


疫病神というのは、一義のちょっと変わった体質だ。


(不幸体質か……)


とことん運がない。ここまでの道のりでも、信号はすべて丁度いい感じに赤信号になってしまっていた。それでもまだマシな方で、いつもなら信号待ち中にトラックが突っ込んできたり、道を歩けば鉄柱が降り注いできたりなんてこともざらだ。


「つーか、俺と一緒にいて『赤信号ループ』程度で済むと思ってたら痛い目遭うぞ」

「威張って言うことじゃねぇよな、それ……」


むしろ、このあと何かあるんじゃないかと身構えてしまう。

それに今日が終業式というのにも妙な胸騒ぎを感じていた。


と、そこでようやく信号が青に変わる。


「まぁ、なんにせよさっさと行こうぜ。そろそろベットが恋しくなってきた」

「そこまできたら流石だな、坂上」

「当然だろ。俺は引きニートを極める男だ」


この胸騒ぎはきっと気のせいだと、そう自分に言い聞かせながら、一義は学校に向かってゆっくりと歩き出した。





.



坂上一義。


本作の主人公。

黒髪短髪で若干の癖っ毛。

ボサボサって程じゃないけど整える気ゼロ。

取っ付きにくい感じのつり目。



坂上涼。


一義の母。

変態。



古谷啓祐。


馬鹿。




よし、以上キャラクター紹介でした!!

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