裏から表へ
この年のリングスにおいて、新たな力が台頭…というより、実力者が本領を発揮した。
その名はハンス・ナイマン。
元々オランダのみならずヨーロッパの空手界においては指折りの実力者であり、バックボーンで残した実績は、エース・フライを遥かに凌ぎ、総帥・ドールマンにもひけをとらなかった。
だが、中々ルールに馴染めずはじめのうちは結果が出なかった。
しかし。この年5月の仙台大会でビターゼ・タリエルとのランキング戦において、引き分けに終わったものの、3位タリエルの打撃を凌ぎ、ダウンを奪ったことが評価されついにランキング入りを果たす。
普段は「オランダ軍団の裏番長」と呼ばれていたが、この年から表舞台に出てきたのだ。
ナイマンの凄さについては別の機会に述べるが、この年はオランダの転換期であった。
11月、有明にて行われた、トーナメント準々決勝においてフライ対ナイマンという、オランダのエースの座をかけた一戦が行われた。
ナイマンがTKO負けまであと1ロストポイントまで追い込まれるものの、逆転のKO勝利。これ以降、ナイマンは優勝候補の常連となり、フライが2回戦すら突破することはなかった。
そして同じ有明で、リングスのみならず、総合格闘技の歴史においても数少ない大金星が上がったのである。
あげた男の名は、山本宣久。