表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

蘇った格闘王

1994年1月22日。


93年度トーナメントの決勝戦が日本武道館で開催された。


リングス2年目にして、初めて決勝の舞台に立った前田日明。

王座を争うのは、グルジアのビターゼ・タリエル。立ち技では、タリエルの破壊力に敵わないが、寝技に関しては相手は無知だ。いかにグラウンドに持ち込むかが戦いの焦点であった。

タリエルの打撃がどれだけすごいのか。

例えるならボクシングで言えば、顔面を一切殴らず、ボディだけを殴ってダウンを奪うというところだ。

特に、二回戦のフライを貫いた正拳は、がっちり固めたガードの、僅かな隙間を打ち抜いた。破壊力はもちろんのこと、その精度も高く、いかに前田であろうと、もろにくらえばダウンは必至である。

だがグラウンドに持ち込んだからといって、前田の絶対有利とも言い切れない。ロープエスケープという「非常口」のあるリングスルールにおいて、タリエルの体格は逃げることにおいても有効だ。身長2メーター丁度。リング中央であっても、体を動かせれば、少し転がればロープに届く。


攻めも守りも、前田にとっては厄介な相手といえた。



だが試合は、前田のペースで進む。膝が万全なことに加え、関節技で膝を攻められる心配がないため、積極的に技を仕掛け、とんとん拍子にポイントを奪っていく。

だがタリエルもさるもの、反撃をみせる。右のパンチで前田のレバーを、左でボディを貫き、ダウンを奪い返す。苦悶の表情を浮かべ膝をついた。


武道館を埋め尽くす前田コールの大合唱。


立ち上がった前田が会心のレッグロックで勝利した。


両コーナーに登って雄叫びを挙げる前田。ここに、格闘王・前田日明が蘇った。



明けて94年度の新シーズンがスタート。前田が王者として歩んだこの年は、メインイベントのランキング戦を戦い続ける。


だが、前田はやすやすと勝ち進む。3月の横浜でアンドレィ・コピィロフ、4月の広島でピーター・ウラと中堅クラスを一蹴。5月の仙台ではバルセロナ五輪、男子柔道の金メダリスト、ハハレイシビリ・ダビッドをも倒した。


6月の有明では、今やライバルと言っていい、ヴォルク・ハンとの決戦にも勝利。


復活の前田に敵はいなかった。



そんな中、大阪で事件が起こった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ