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第七話




 あの後からも高野くんから連絡が来る。

 たわいもない会話。

 高校に行ってからも高野くんは部活が大変らしく、たまに愚痴を聞いている。 

 なんで連絡が来るのかわからないけど、害はないし、しつこいわけでもないから、自分のペースで返している。

 でも葉山くんと加原さんのことは聞けないまま。

 葉山くんと二人で出かける話も一時停止中で。

 水族館に行こう!ってなったけど、暫く忙しいらしく、まとまった時間がとれたら必ず行こうと言われている。

 嬉しい気持ちと不安な気持ちが入り混じる。

 葉山くんが二股をかけるような人じゃないことはわかっているし、彼女がいるのに他の女の人、いくら幼馴染だったとしても、二人で出かけようと誘わないって信じてる。

 でも実際のことは本人しかわからない。

 葉山くんと加原さんが付き合っているかちゃんと確認しないと。

 どう切り出すのがいいか悩んでいたから、なかなか連絡できなくて。

 この関係が壊れるかもしれないと思うと身が竦む。

 だけど真相を知らないと私は前には進めないし、もしかしたらものすごくひどいことをしているのかもしれない。

 文章だとうまく伝えらないから話したい。

 (でも忙しいって言ってたから、時間を作ってもらうのは厳しいよね)

 うーん、とぐるぐる頭を巡らせながら学校から駅まで歩く。

 (全然授業に身が入らなくてずっと上の空だった)

 ハーッと息を吐き、トボトボ歩いていると、ちょっと先に葉山くんの友達の戸川くんが。


「あっ、戸川くんだ……」


 小声で言ったつもりだったのに、聞こえていたみたいで戸川くんが不思議そうに振り向く。


「星名さん……?」


 私の名前を呼んで立ち止まってくれるから、緊張しながら戸川くんの隣まで行く。


「おっお久しぶりです。遅くなっちゃったけど、この間はありがとうございました」

「久しぶり。本当に無事でよかったよ」


 おずおず言う私に、柔らかい口調で声をかけてくれるから力を抜くことができた。


「本当にありがとう。葉山くんには言ったんだけど、今度戸川くんと佐伯くんにも改めてお礼させてほしいんだ」

「旭から聞いた。気にしなくていいのに。あっ今度一緒に出かけるんでしょう? 旭楽しみにしてるよ」


 その言葉にドキッとする。

 葉山くん、戸川くんに話したんだ。

 でも今出かけるか迷ってますなんて言えないし、葉山くんは加原さんと付き合ってるのか戸川くんに聞くのは違う。


「そのことで葉山くんに聞きたいことがあって。でも葉山くん忙しいって言ってたから時間を取ってもらうのは悪いかなって」


 上手く言葉が出てこなくて下を向きながら話す私に、戸川くんはうーんと言いながら


「確かに今旭は忙しいけど、星名さんが話たいって言えば旭はすっ飛んでくると思うよ」


 そう言ってくすくす笑う戸川くんを見て

 

「えっ? どうして?」


 私の頭にはてなマークが浮かぶ。


「旭は星名さんのことになるといつも以上に一生懸命になるから」

「そっそうなんだ」


 驚きと嬉しさのあまりにやけそうになるけど、ふと加原さんが頭をよぎって固まる。


「旭は真面目で不器用だから間違いもいっぱいしてきたらしいけど、心の中心にある思いや考えはずっと変わってないはず。だから話せば真剣に向き合ってくれるよ」


 懐かしむかのように優しい声で伝えてくるから、無意識に戸川くんの横顔を見つめてしまう。

 (二人の間にも何かあったのかな)

 戸川くんも温かくて優しい人なんだろう。  

 

「あっ!旭に知られると怒られるから、俺が言ったことは内緒だよ」


 戸川くんが悪戯っぽく言うから私は吹き出す。

 つられて戸川くんも笑うから二人ででケタケタ笑った。

 戸川くんのお陰で、強張っていた体が少し緩んだことに気づく。


「ありがとう、戸川くん。葉山くんに連絡してみる。それとお礼のこと考えておいてくれたら嬉しいな」


 迷いが晴れ、私はやっと決心がつく。

 今日連絡しよう。

 本当のこと、葉山くんから聞くんだ。

  


 

 

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