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短編

浪費癖

作者: 花みかん
掲載日:2026/02/08

 私はインターネットショッピングが未だ辞められない。

「ありがとうございました」

荷物を手渡した配達員の男は、私の顔も見ずに立ち去る。今日も、あの子じゃなかった。

 私のインターネットショッピングの始まりは、四年前に遡る。不要不急の外出禁止。すぐに収まると言われていた感染症は、未だに治療法が明らかにならず、どんどん外出規制が厳しくなっていった。大学進学を機に上京してきたのに、大学にいける気配はなし。ちょっとした持病を持っていた私は、アパートに一人暮らし、学校にもバイトにも行けず、買い物も宅配でやり過ごしていた。こんなことのために貯金してた訳じゃないのにな。無駄遣いなんてしていないのに、貯金はどんどん減っていった。

 ベランダから見える、ありえないほど静かな街並みを見て、私はため息をつく。すると、玄関の前で物音がした。いつもの宅配だろう。……はじめは、何となく、ほんの少しの興味だった。一体どんな人が届けてくれるんだろう。私は咄嗟に動き出した。散らかった部屋の物をぴょこぴょこ飛び越えながら、玄関へ走って、扉を勢いよくあけた。

「……どうも」

私より何個か下?高校生くらいの子だろうか。帰るところを振り返って、私に挨拶をしてくれた。友達になれるかな、そんな期待を胸に私は口を開いた。

「あの!いつもありがとうございます!」

配達員は、驚いて会釈をする。そして、その場をあとにした。

 それからも、同じ配達員が毎日配達へ来た。私は彼女になんの話をしようか、話題を探すことが日々の楽しみになっていた。最初は彼女も興味無さそうだったのだが、少しずつ私の話をうんうんと楽しそうに聞いてくれるようになった。友達までもう少しかな、そんなことを考える日も時々あった。

 しかし、永遠に続くかと思っていたこの生活も、夏前になると少しずつ変化が現れた。私は少しずつ大学へ出向く日も増えていった。そして、ある日を境に、あの配達員は宅配に来なくなってしまった。

 高校生くらいの子だったし、きっと学校が始まって宅配をやめたのだろうなどと、私は自分の中で結論をつけた。もう遅いが、たった一言「友達になって欲しい」と言えなかった。配達員と客、でも私にとっては上京して初めての話せる相手。私はその一歩踏み越えていいのかどうかも分からず、迷って、とうとう彼女と会えなくなってしまったのだった。

 だから、私は今日も宅配を注文してしまうのだ。



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