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アイディアは過去からやってくる

 初めてアルに買い付けを任された僕は、失敗しないようにあることを決めたんだ!


・偉い人のための物

・使いやすい物

・触った感じが良い感じの物


 僕が欲しい物じゃきっとダメだと思う。

 あげる人のためじゃないとな!

 あ、なんかちょっと商人っぽいぞ?


「いいものー!素敵な物はどこかなー」


「お嬢ちゃん!お使いかい!? ウチの菓子はどーだっ!?」


 声をかけられて横を向くと、おじさんが店の小さな窓から顔を出してた。真っ赤な棒を噛んでるけど……お菓子かな?


「プレゼントを探してるんだっ! 菓子は買わねーよ!」


「あれ? 男の子だったか?」


 ひどいっ‼︎ こんなにフリフリしてるのにっ⁉︎


 言葉遣い……やっぱり僕は男に見えるのかな?

 こんな服着てても、そうなの⁉︎


「違うよ! わ……私……女だよ」


「お? おぉ。女の子ならもうちーっと淑やかじゃねぇと、嫁の貰い手がねぇぞぉ?」


「うっ……(うっさいって言いそうになった!)」


 僕だって頑張ってるけど、出ちゃうんだよ。

 あの倉庫にいた女の子みたいにできたら、他の人も僕が女だってわかるのかな。


「で、何探してるんだ?」


「わかんない。良い物探してるんだ」


「良い物かー。自分の物か?」


「んーん。贈り物!」


 おじさんは帽子を取ってパタパタ仰ぐと、奥の古そうな建物を指した。


「あそこに行ってみな! ガラスでできた置物とか色々あるぞ」


「そっか、行ってみるよ! ありがとう!」


「おうっ! またな坊主!」


「女だよ!」


「はははっ! じゃあな!」


◇◇◇


 おじさんと別れて歩いて行くと、教えてもらったお店があった。でも、僕が入るにはちょっと……怖い。扉も重そうだし、店内も暗い。


 カラン。


 すごく静かだ。


「いらっしゃい」


 優しそうなお兄さんがカウンターに居た。

 ニコニコ笑ってるけど、なんかちょっと怖い。


「こ、こんにちは」


「何をお求めで?」


「わかんない」


 笑ってるけど、なんか僕には早いような気がして……少し恥ずかしくなってきたぞ。


「お店の商品見てもいい?……ですか」


「どうぞ。でも、触る時は注意して。簡単に壊れる物もあるから」


「う、うん」


 色々商品を見た。ランプに、動物の置物、コップやお皿。


 でも、僕は見つけたんだ。これだって物をさ!


「羽飾りだ!」


「……目が利くね、それ」


 僕は知ってるぞ! これ、貴重な鳥の羽なんだ!

 白って染めないと出ない色なんだ。でもこの鳥だけは白を持ってるって父さん言ってた!


「へぇ……君の住んでるところではそう言うんだね。けど、ただの羽じゃないよ」


「え?」


 お兄さんは羽を持ち上げて、光にかざした。


「これはね、魔力を内包してる羽だよ。だから、ただの飾りじゃない。魔術道具の動力源としても使えるし、通信や魔力伝導にも転用できる。専門の術師が扱えば、高価な通信用の魔道具に加工もできるんだ」


「そ、そんなすごい物なの⁉︎」


「うん。だから高いのさ。バル金貨8枚」


「ひ、一枚でか⁉︎」


「そうだよ」


 バル金貨8枚かぁ……高いなぁ。


「なぁ、これってお店にどれだけある?」


「まとめ買いしたいの?」


「うん!」


「今、ウチにあるのは10枚」


「それ全部買うって言ったら、いくらか安くしてくれるか?」


「全部でバル金貨80枚のところ、少しだけまけて……75枚ってところかな」


「やったっ!」


「……君、羽で何か作るつもりかい?」


「うん! あとさ、ガラスでできた筒売ってる? 小さいの!」


「どれくらい小さいの?」


 僕は文字を書く石筆くらいの太さで、薬指くらいの長さを伝えた。そしてそこに羽を差し込む穴があって、ペン先を差し込む穴が欲しいって言ったんだ。


「羽でペンを作るのかい⁉︎」


 お兄さんは驚いてたけど、僕は知ってるんだ。

 だって《《見て》》きたから。いっぱい、いっぱいの物の作り方を!


 だから、羽とインクの入ったガラスの筒、ペン先を付けたら使うたびに付けなくても良い羽ペンが作れるんじゃないかなって思ったんだ!


「お兄さん、こんな感じのが作りたいんだ!」


 石板に僕が思い描く羽ペンを描いて見せたら、お兄さんは目を見開いて、それを持ったまま奥に引っ込んじゃった。


「えぇ……僕、どうしたらいいの⁉︎」


◇◇◇


 結構時間が経っちゃった。アルとの約束の時間にはまだ少しあるけど……帰ってこなかったら伝言残して、アルと一緒に戻ってくればいいよな?


 それまで、他の物見てよ。


 扉側の棚に飾られた物に目を奪われた。


「わぁ……ガラスでできたペンダントだ。綺麗だ」


 透明なのと色の付いた小さな丸いガラスが連なって、鎖みたいでカッコいい! アルが今着てる上着に着けたらかっこいいぞ‼︎


「むー。でも僕……お小遣い持ってないもんなぁ」


 食べ物も、洋服も、宿代もアルが払ってくれるから……僕がお金を使うことは無い。けど、こうやってアルのために何か欲しいと思っても買えないんだよなぁ。


「君」


「お兄さん! 遅いよー! 待ち合わせに遅れちゃうっ!」


 でもお兄さんは真剣な顔で言ったんだ。


「これを私に作らせてくれないか?」


「え、お兄さん作れるの?」


「私は店主だけど、細工師でもあるからね」


「ならさ、いつまでに作れる?」


「一つだけなら……今日、試作品を作るよ」


「本当⁉︎ ならさ、アルと一緒にまた来るから、説明をアルにしてくれないか⁉︎」


「アル?」


「そうっ! 僕と一緒に旅してるんだ!」


「保護者かな?……わかった。連れてきてくれるかい?」


「うん! あっ、お金っ! お金払うよっ!」


「それは……君の保護者と話そうかな」


 その後、僕とお兄さんは興奮して色々石板に書いたんだ。構造? とか、意匠? とかをさ。そして書き終わった時、二人でにっこりしたんだ!


「あぁっ、良いね! これは画期的だ! 何より美しいっ!」


「なっ! お貴族様が持っても変じゃないよな!」


「それどころか、貴族にしか売れないよ!」


やった!

アルに伝えたらどんな顔するかな⁉︎

むふふふっ!楽しみだっ!

初めての買い付けだぞっ!


……ん?これは、買い付けに…なるのか?




▶︎次話 異端と革新の境界







少しずつ過去がユリアーナを侵食していく感じがします。

それが吉とでるか凶となるか。

是非次話もお楽しみください

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