表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トワの奏弦士  作者: 苫古。
◆第1章◆ 花とヨルの箱庭
7/57

* 唄 ***

 私は、素直に涙を流すことができない子供だった。

 

 花を折られて、悲しかったのに。

 花が枯れていくのを見るのは辛かったのに。




 ―――あの子の花が、庭で枯れた。



 蕾もできていない、あの子の花が。


 それは、あの子が花を愛してあげなかったから。

 花に触れようともしなかったから。


 あの子は涙を流した。

 涙を流すあの子に、大人達は「優しい子だね」と言って微笑み、温かい眼差しで慰めた。


 ―――涙を流せば、誰もが優しいの?

 ―――涙は優しいことの証なの?


 ―――花を見捨ててしまったのに? 

 ―――泣き叫ぶ花の声から耳を背けたのに?


 ―――涙を流せば、許されてしまうの?




 私は……素直に涙を流すことができない子供だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ