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* 歌 ***
大切なものを見つけた。
愛すべきものを見つけた。
それは、花ではなかったけれど。
澄んだ青いファレンテ。
金糸雀色のコラリス。
薄桃のマーシャル。
深紅のラティカナ。
そして――――純白のレイファーナ。
私に与えられた名の花。
私が一番、好きな花。
咲き乱れる春の園。
彼は駆け寄った私の髪をすくい上げ、白い花を一輪そっと挿し、日差しのように微笑んでくれた。
誰よりも優しいその微笑が、私の胸にも花を咲かす。
それは、花園で咲き誇るどんな花よりも甘やかで。
それが、いままで目にしてきたどんな花よりも愛おしくて。
彼が私を抱き寄せて、甘く耳元で囁く。
―――――僕の白い花、と。
愛すべきものに出会えた。
それは花ではなかったけれど。
もっと、もっと、愛することのできるもの。
――――……やっと。