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* 歐 ***
姉さまが好きだった。
姉さまを愛していた。
姉さまは、わたくしの全て――――――――
だから、姉さまを独り占めするあの花が大嫌いだった。
「もうすぐ咲くわ」
そう言って、嬉しそうに微笑む姉さま。
この花は、もうすぐ咲くのでしょう。姉さまの「好き」を受けて咲くのでしょう。
姉さまの花は咲くのに、どうしてわたくしの花は枯れたのでしょう?
わたくしの花は枯れたのに、なぜ、姉さまの花は咲くのでしょう?
姉さまの花が咲くのはイヤだった。
だから、捥いだ。
姉さまは優しいから、許してくれる。
だって、これできっと、わたくしが姉さまの一番になるのだから。
――――――だから……、
こんなの、いらない。
そうよね、姉さま?