入学
この世界の一部の人の右手には、能力が付与されている。
100人に1人程度くらいだろうか。
身体能力を向上させる能力、飛行する能力など、様々な能力がある。
俺は...能力を持っていなかった。
「いやぁ、入れた入れた」
「何で通るんだろうねぇ...」
ここは右手の能力がある者のみ入学が許されている学校。
その能力を極める学校のようなものだ。
隣にいるのは神埼リサ。もちろん能力者だ。
「アンタ一応無能力者よね?なんでここ入れるの?」
「まあ気合でちょちょいと...」
そう。俺はこの学校に入学していた。
なんで入れるかって?気合だって言ってるだろ。
「とりあえず私達は2組らしいわね。同じクラスだし一緒に行きましょ」
「...1学年の教室ってどこ?」
「そこからなの??」
「ここが2組か」
教室の中には...まだ誰もいないらしい。
「鍵は10分になったら自動的に開くらしいからちょっと待つか」
「そうね。あと3分くらいかな?」
その時、後ろを誰かが通った。
振り返ってその人を見ると、背の高い赤の髪の女がいた。
「あら。ごきげんよう」
「コンニチハ」
自分より背の高い女子なんてほとんどいないから驚いてしまった。
「貴方達は2組かしら?」
「はい。私達は2組です。」
「ずいぶんと可愛らしい女の子を連れてるのね。」
と、その赤髪の女はくすりと笑う。
「え?コイツそんな可愛いですか?」
刹那、隣から殺意マシマシの視線を感じた。
「...可愛いです。コイツは。」
「随分と仲が良いのね」
「...まあそうですね。実に10年ほどの付き合いですし...」
「で?付き合ってるの???」
...初対面なのに随分とグイグイ来るな。
「ないない。彼と付き合うとか死んでも嫌ですよ。」
「それはちょっと酷くない?」
...まあ私もリサとは無理だけど。
「そろそろ鍵の開く時間ね。私の名前は水橋 涼。よろしくね。」
そう言い残して、涼はその場を去っていった。
涼とは良い仲になれそうだ。
「っと、鍵空いたよ」
「お、じゃあ入るか」
そうして、俺達は教室に入る。
「広いな。」
「広いね。」
人が100人近く入りそうな広さ。こんな広さ必要だろうか?
机はざっと40個程度。まあ普通の学校と同じ位だ。
とりあえず棚などを漁って暇をつぶすとしよう。
30分ほどして、クラスの人全員が集まった。
「この人たち全員能力持ってるんでしょ?ちょっと怖いな...」
「逆にこの学校では持ってるのが普通なんだよなぁ...」
それもそうか。と思いながら少し待っていると放送が流れた。
スピーカーから1人の女の声が聞こえてきた。
「ようこそ新入生の皆さん。これより、クラス振り分けのテストを行います。」
...クラスがざわめく。それもそうか。そんなの知らされてないんだから。
「...オイオイ、いきなりテストってマジか?」
「これはさすがに私もびっくりだよ。入学初日にテストなんて...」
「今皆さんがつけているであろうバッチを賭けて、この学校の敷地内で戦ってもらいます。」
ほう、戦いとな?
「敵を戦闘不能にし、バッチを奪ってください。時間切れとなったときに所持しているバッチの数でどのク
ラスに振り分けられるかが変わります。」
「...戦闘不能って?」
「まあ、気絶させるかそこら辺だろうね。多分殺しはダメなんじゃないかな」
「当然殺しは禁止。また、友達だろうが赤の他人だろうが、人と組んだ場合は即退学となります。右手の能
力の仕様に関しては使用を縛りません。能力を駆使してバッチを稼いでください。」
「能力が無い俺ってどうしたら良いんだ?」
「そんなの想定されてないでしょ...」
「それでは、10分以内に中庭まで行ってください。そこにある魔法陣を踏むと、ランダムに敷地内の何処か
に飛ばされます。開始の放送がされてから、戦闘を開始してください。」
「...魔法陣、ねぇ」
「まあ能力自体魔法みたいなもんだし、それくらいあっても不思議じゃないでしょ」
「それもそうか」
そして、生徒がぞろぞろと移動を開始する。俺達も中庭へと行った。
「これ、何人いるんだ?」
中庭には数え切れないくらいたくさんの生徒がいた。
「大体1000人くらい...?クラスが多いとは聞いていたけど、まさかここまで多いとはねぇ...」
「皆さん集まりましたね。それでは、魔法陣をお踏みください。」
...と、教師が言い、生徒全員が魔法陣の中へ足を踏み入れた。
「これ地獄につながったりしてないよな?」
「さすがに無いでしょそんなん...」
「じゃ、また後でな。せいぜい死ぬなよ」
「ルールで殺しはなしって言われてるし、それに死ぬとしても無能力者のアンタでしょ」
「それもそっか。じゃ、また後で」
「ばいば〜い」
そういいながら、俺は魔法陣の中に足を踏み入れた。
「...うお、こりゃすげえ。瞬間移動したわ。」
...校内放送が響き渡る。
「これよりテストを開始します。生徒の皆さんは行動を開始してください。また、終了の合図がされたら、
直ちに戦闘を終了してください。」
「...さて、どうやってバッチを稼ぐか...だよな。」
俺は無能力者。だから能力者に対して正攻法で戦うと勝ち目はほぼ無いと言っても過言ではない。
「いい感じに弱めの能力者と遭遇できたらいいなぁ♪」
...と言いながら、俺は校内を散歩するのだった。
こんにちは!如月凪です!
小説なんて普段書かないので、どんな感じで書くか考えるの大変ですねぇ...
これからも頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いします!