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phase7   再会(2)

「てめぇ昨日の高飛車暴言女っ!」


歩美の友達に対しての第一声がそれと言うのもどうかと思うが、つい思わず口に出てしまう


が、許せ妹よ


「...ああ、あなた、どっかで見たと思ったら、昨日の...ボソっ(負け犬)」


「って、お前今また負け犬言いやがっただろ!?」


昨日に引き続きなんて女だコンチクショーっ!


「まさかいえいえそんな、そんな恐れ多いことなんてこれっぽっちもまったく全然思ってなんてないですよ?高飛車暴言女だなんて言われて気にしてる訳でもありませんしね。ええ本当に」


なんて嘘臭い!


「...ああでもまさか、まさかあなたがアユの知り合いだったなんて。ええ、それは大変失礼しました」


と思ったら、昨日とは違い下手にでる彼女


ちょっと調子が狂う


というか、これだと俺が悪者みたいじゃんか


「いえ、昨日はつい、あまりに惨めに哀れに情けなくも四つん這いになっている同じ高校の男子がいるな~と思い見下していたら、思わずつい隠そうとしていなかった本音が口の端から漏れ出てしまったんですよ。ええはい」


「......ふっ」


前言撤回


これはなにか?


つまりケンカを売られていると、そういうわけなのか?


ふん、ああ、いいぜ


昨日は女の子と思って見逃してやったけど、これ以上の暴言となるとさすがに対抗手段をとらせてもらうぞ?この野郎(女だけど)


「ふっふっふ...」


「ふふふふ...」


お互いを牽制し合うように笑い会う二人


かなり怖い絵柄だと思う


てかこの図って、傍目からはどんな風に見えてしまうのだろう


「ま、まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ、まぁ~二人とも落ち着いて、ね?」


と、二人の間に割って入ってくる歩美


でも、そうそうケンカの仲裁をしたなんて経験はないのだろう


その笑顔は見事なまでに引きつっている


「ほら、宗馬はそんな怖い顔やめてさ。それにツバサちゃんも、どうしてそんな宗馬に敵愾心むき出しなのか分からないけど、そんなのらしくないよ?ね?ね?でしょ?ね?」


それでも、必死に仲を取り持とうとする歩美


その表情に健気さというか、まぁ、哀れさを覚えなくもない


「............」


それはそのツバサという名前の彼女も同様なのか、何やら気まずそうに前髪をいじり出している


「ね?ね?ね?ここは私に免じてさ。ね?お願いお願いおねが~い!」


そして早くも「ね?」と「お願い」だけで押し切ろうとしている歩美


何というか、実にボキャブラリーの少ない奴だ


それにそろそろ、その似合わない作り笑顔も限界っぽい感じ


「ね?ね?...ね?」


「む」

「あぅ...」


でも、そんな哀れみたくなるような顔を見ていると、逆に何だか嫌な心持になってきてしまう


例えていうなら、まるで子犬でも虐めているような嫌な感覚だ


そしてそれは、どうやら目の前の「ツバサちゃん」とやらも同じ思いだったらしく


「...そうねごめん分かった。だから、その怯えた子犬みたいな顔はやめて?何だか、私の方がアユを虐めてるような気持ちになってきたよ...」


と、とても素直に謝罪した


ああ、俺も全く同じような事思ってたよ


「...ほ、ホント?ホントにもういい?大丈夫なの?それと宗馬もOK?いい?平気?」


何が平気じゃないかと言えば、お前の顔と言いたいところだが、さすがに口には出さずに頷いて答える


「あ、ホント?ホントだね?絶対だよ?いい?」


だが、それでも安心できないのか、それとも引き際がよく分かっていないのか、再度、俺と彼女に確認する歩美


あっち向いたりこっち向いたり、ホント犬っころみたいな奴だ


思わず撫でてしまいたくなるじゃないか


そして当の本人は、俺達の困ったような表情を見届けてから、ようやく安堵のため息をつくことに成功する


「ふぅ~~良かったよ~...も~、ケンカの仲裁なんて始めてなんだから勘弁してよね~」


心底ホッとした様子の歩美


てか、やっぱり仲裁は初めてだったか


まぁ、いい経験したってとこか

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