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混乱の中で


 私は、お風呂から上がるとスマホに祐也からメッセージが届いていた。それと一緒に録画ファイルも。


 そのメッセージには一言『もう明日から来ないで』としか書いてなかった。そして録画には私と政臣さんがラブホに入って行く映像が映っていた。


 えっ!なんで!

 直ぐに祐也にスマホで連絡したけどブロックされていた。頭の中が真っ白になった。なんで祐也がこの事を知っているの?


 政臣さんは言った。

『一度位なら分からないですよ。それにここに居るなんて知らないでしょう』

私もこの事は誰も知る訳ないと思った。そして私は体の欲求に耐えられずに入ってしまった。


いけなかったんだ。入っちゃいけなかったんだ。今度ばかりは言い訳が出来ない。裕也は言った。会わないでと。それを無視して政臣さんと会う事を優先して、挙句してしまった。


今度だけは言い訳が立たない。どうすれば、一回だけと思ってした行動がこんな事になるなんて。


お風呂から出たばかりで髪の毛は濡れているし、体はタオルを巻いたままだった。でも何もする気が無かった。




俺は、美琴と近藤という男がラブホに入って行く姿を見た時、頭が真っ白になった。俺は美琴に会わないでと言ったのに。


あいつは男とラブホに入る事が目的で俺のお願いを断った。今迄美琴が俺に言っていた事。私は祐也しかいない。私の心の中は祐也だけなの。あれは全て嘘だったんだ。もしかした真司の時だってしていたのかもしれない。


そんな事どうだっていい。俺は裏切られたのか。それとも嫌われたのか。まさか、何か月も抱いてないから他の男を選んだのか。



藤原さんと別れて最寄り駅で降りて家に戻る途中、段々涙が出て来た。近藤という男は駒留だと言っていた。頭がいいから勉強を教えて貰うんだって。


なんで俺と一緒に考えようとしなかったんだろう。美琴はやはりそういう男が好きだったんだろうか。

目の前にいる俺で取敢えず間に合わせていただけなんだろうか。


家に戻るとお母さんの声も聞かずに部屋に入ってずっと考えていた。この後どうすればいいかという事を。



祐也が家に帰って来ると何も言わずに自分の部屋に行ってしまった。今日は藤原さんと会うと言っていたけど、何か有ったのかしら。



 俺は昼位に帰って来た事は知っている。その後は、ぼーっとしていた。


「祐也夕飯よ」


 そう言えば、お昼は食べていなかった。ショックのままに藤原さんと分かれてそのままだった。流石にお腹が空いた。


 一階に降りて洗面所で顔を洗ってからダイニングに行くとお母さんが食べずに待っていてくれていた。


 お母さんは黙ってご飯とみそ汁を盛ってくれた。何も言わずにそれを食べてまた二階に上がろうとした時、


「祐也、藤原さんと何か有ったの?」

「何も無い。美琴に裏切られた」


 えっ、どういう事?今日は藤原さんと会っていたんじゃないの。それに美琴ちゃんに裏切られたなんて。



 次の日、祐也はいつもの時間に降りてくるとご飯を食べて、私の作ったお弁当を持って学校に行った。寝たのだろうか。とても疲れた顔をしている。



 俺は、いつもの様に駅のホームに行って電車が来るのを待った。美琴は来ない。来ても別の車両に行くだけだ。


 学校の最寄り駅について一人で登校した。教室に入ると上野が話しかけて来た。

「葛城、おはよ。ちょっと良いか」

「……………」

 俺は何も言わずに付いて廊下に行くと

「葛城、どうしたんだ。顔が疲れているぞ。寝て無いのか?」

「ああ、ほとんど一睡も出来なかった」

「なんで?」

「これを見てくれ」

 俺はスマホに入っている、昨日撮った録画を見せた。


「こ、これって」

「その通りだ。だけど他の人には言わないでくれ。静かにしていたい」

「分かった。信じられない。この前は誤解だったか仕方ないが、これは決定的だな」


 俺は頷くしかなかった。



 昼になり、美琴は来なかった。一人で教室でお母さんが作ってくれたお弁当を食べた。


 放課後になり、一人で塾に行っても美琴は来なかった。学校休んだのか?



 次の土曜日は学期末考査の前の週末なので藤原さんと会う予定はない。美琴は来ないので一人で勉強しているとスマホが鳴った。藤原さんからだ。


『はい、葛城です』

『佳織です。裕也さん、大丈夫ですか。あの後とても苦しそうな顔をして帰って行かれたので心配です。もし宜しかったら今から伺いましょうか?』

『大丈夫です。今勉強中なので』

『心配なのですけど』

『学期末考査が終わったら会いましょう』

『はい。そう致しましょう』


 祐也さんの声は深く落ち込んでいるけど、勉強をやろうという気力はあるみたい。それに学期末考査が終わったら、会いましょうと言ってくれた。


 次にお会いした時は、私が思い切り慰めてあげれば良いのです。友坂さんも来ていないようですし、取敢えず大丈夫そうですね。



日曜日も美琴は来なかった。あいつと会っているんだろうか。もう俺なんか美琴の頭の中には無いんだろうな。


昨日藤原さんから電話が有った。俺を心配しての事だったが、今はこんな姿見せたくない。学期末考査の内に気持ちを立て直さないと。



 私、友坂美琴。裕也からのメッセージと貼付された録画でショックを受けてそのままにしていたら、髪の毛も濡れたままだったので軽い風邪を引いてしまった。

翌日はお母さんに風邪を引いたので学校連絡してくれとお願いして一日休んだ。


 お母さんは風邪の薬を持って来てゼリー状の栄養ドリンクを飲んでから水と一緒に飲む様に言われた。お昼もおかゆを作ってくれて食べた後、薬飲んだ。そして

「美琴、何か有ったの?」

「なんでもない。落着いたら話す」

「そう」


 一昨日まで祐也君と一緒に楽しくしていたのにどうしたのかしら。もう金丸の件は無くなった以上、祐也君とのお付き合いに何も問題は無い筈なのに?



 夕方になり、熱も大分下がった。次の土曜日は祐也の所に行く予定だけど、とても行けない。どうすればいいんだろう。


 取敢えず、熱が完全に下がるまで寝て居よう。でも月曜からどうすれば。


――――― 


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひフォローとご評価★★★★★を頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします。




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― 新着の感想 ―
[一言] 美琴が悪いのは確かだが、裕也も別の女に会ってるのに一方的に裏切られたとかお前が言うなと…
[良い点] 美琴がついにやらかしてくれたところ。このまま新しい彼におぼれて時間を無駄に費やして、、そのまま幸せになるのかな? あるいは真司が降臨するのか? クズぽいので、できれば一度地獄を見てほしいと…
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