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馬鹿じゃないの

 

 私、いえ私達は真司が待っている渋山の犬の交番前に出るエスカレータを昇って外に出る直前で階段側に行って


「祐也、今日も直ぐに終わらせる。三十分も掛からないと思うからいつもの所で待っていて」

「了解」


 祐也は、そのままもう一度階段を降りた。地下道を通って反対側に抜けるのだ。そして私はそのまま外に出て左に曲がった。


 直ぐに分かったけど…。何あれ?通りすがりの人がジロジロ見ている。そうだよね。いくら冬だからって、暖冬の今日、脛が隠れる位迄の長さの黒のコート着ているんだもの。横に立っているお巡りさんに通報してやろうかって感じ。


でも私が見ても飛んでも無く高そうだと分かる。周りの人もそれだから見ているんだ。この前は髪型を変えて今度は格好か。どれだけ金に飽かして好きな事しているんだ?


 あっ、変なチャラいお姉さんに声を掛けられた。見ていよ。


 簡単にスパッと断った感じ。慣れているのかな。お姉ちゃん何か一言言いながら横断歩道の方に歩いて行った。詰まらないな。付いて行けばいいのに。


 私は、それを見てない振りをして、あいつに近付いた。キョロキョロしていたあいつが私に気が付いた。近寄って来て


「あっ、友坂さん。おはようございます」

「おはよ。金丸さん」

 何も言わない。少しして


「どうですか、このコート?」

「似合うんじゃない」

 馬鹿かこいつ。これ見せる為に会ったんじゃないよな?


「俺、この前髪型変えて見たけど、友坂さんに気に行って貰えなくて、…だから今度は格好変えて見たんです。どうですか?」

「あんたねぇ、それを見せる為にわざわざ、会ったの?」

「はい、少しでも友坂さんに気に入って貰おうと思って」

「はぁ、馬鹿じゃない…」

「あのまた〇ック行きませんか?」

 ここで、こいつと別れたかったんだけど、まあいつも〇ックまでは行っているからな。


「良いわよ」

「じゃあ、行きましょう」


 横断歩道を渡り〇ックの前に着くまででも、周りからジロジロ見られた。お店の中に入って並んでいる間も


―ねえ、あれって。

―そうよね。ゴッチのソルバトーレのデザインのロングコートよね。

―オートクチュールレベルよ。値段想像出来ないわ。

―イケメンで背も高いし、その上超リッチ。

―一緒に居る女の子と不釣り合いよね。

―聞こえるじゃない。


「はぁ、聞こえた?私とあんたじゃ不釣り合いだって」

「大丈夫です。友坂さんとはまだ付き合っていません。会って貰っているだけです」

 あいつらの言っている意味分かっていない。こいつ本当に筑和付属か?



 カウンタで並んだ。本当は暖かい紅茶でも飲みたいけど、この前飲まないと言った手前、バニラシェイクにした。これも美味しいけど。


 二人で席に座ると

「あの、似合わないですかね?」

「とっても似合っているわ。他の子が認めていたじゃない」

「いえ、友坂さんから見てです」

「私は如何でも良いわよ。そのコートがあなた似合おうが似合うまいが」

「そうですか」

 もう少し何とか言ってくれないのかよ。


「ねえ、それ見せるだけだったら。もう会う目的果たしたんでしょ。私帰るわね。さよなら」

「えっ、ちょっ、ちょっと…」


 あーぁ、今日も行ってしまったよ。やっぱりこれって目立つもんな。気に入らなかったのかな。次の奴にしてみるか。


 残された俺が何気に外の景色を見ながらバニラシェイクを飲んでいると

「あの、ちょっと話できませんか?」

「あっ、俺用事あるから」



 私は、あいつと別れた後、急いで祐也の所に行った。

「お待たせ」

「えっ、もういいの?」

「うん、あいつ、なんか足首近くまである長い黒のコート着て来た。それを私に見せたかったみたいよ」

「なんだそれ?ポリーポッターに出てきそうだな」

「私も分からないわ」


 それから祐也の家に戻って彼のお母さんが返って来る迄、二人で楽しい事をした。あっちだけじゃないよ。



 翌週は持久走が有った。祐也も私も運動は苦手じゃないけど、持久走は嫌い。ひたすらグラウンドをクルクル回るんだもの。


 でも、途中で祐也が、追いついて来たから最後まで一緒に走った。周りから揶揄われてしまったけど。


 それから、またいつもの時間に戻って、学校、バイト、デート、勉強と毎日を楽しんだ。勿論、最近土曜日は、あっちが多いけど、日曜日は朝からその週の教科書の予習をする様になった。


 もっと成績を良くして、出来れば推薦で国立を狙いたい。


 もう、あいつの事は頭の中から忘れていたんだけど二月の終りにまた、スマホに連絡が入った。祐也の部屋に居る時だけど、直ぐに出た。


 また、驚いていた。今度は三月の第三週の土曜日に会ってくれという事だったので、会うと直ぐに返事した。また驚いた。


 祐也には、その場で伝えて、いつもの予定でその日は動く事にした。



 俺、金丸真司。何故か前回位から美琴さんが、スマホに直ぐに出てくれて、こっちの会いたいという日を先延ばししないで直ぐ会って良いと言ってくれている。

 もしかして、会うと素っ気無い振りしているけど、俺の戦略が功を奏しているかな。


―――――


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひフォローとご評価★★★★★を頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします。




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