学園編始動
さて、セイラ姉さんがダンジョンに来てから5年の月日が経ちました。
私は15歳となり五年間ひたすら勉強と特訓、レベル上げなどを行い現在のレベルは120となりました。
まあ、今は魔法でレベルを下げておりますが……。
「はぁ、めんどくさい」
私の横でルナが耳を垂らしながらため息を吐く。
「すごくわかるけど、口に出さない方がいいよ」
私はふふっと笑いながら足元に転がっている人達を見下ろす。
「勝者ユキネ・ルナペア!!」
さて、今何やってるかと言うと入試の実技試験をやっておりました。
内容としてはペアでのバトルロワイヤルですね。
最後の一組になるまで戦ってその戦闘を見て点数が決められる方式らしいです。
「なんだあの2人強すぎるだろ」
「本当に学生か?」
周りのざわざわとした声を無視し私とルナはその場を後にする。
レベルを下げたからと言ってその他が変わるわけでは無いのでまあ、学生レベルだと余裕ですよね。
「あ、しまった。姉さんからあんまりやり過ぎないように言われてたのに」
「嬉々として戦ってたくせに何を言っているの?」
「そんなことないもん」
「でも、これこのまま行くと一番上のクラスになるんじゃない?」
確かにルナの言う通り、このまま試験を続けると上のクラスになって貴族やらなんやらがめんどくさい事になりそうですね。
「姉さんからも勇者候補の子とはなるべく関わらない方がいいって言われてるしこの後の試験は少しだけ力抑えめにしましょうか」
「はーい」
出来れば、中間位の成績で合格したいんですよね。
上は貴族とかがめんどくさいし、下は絡まれる確率が高いので。
「次、なんだったっけ?」
「次は魔法の実技だね」
「じゃあ、会場に行きましょうか」
私とルナは雑談をしながら会場へ向かった。 その際、誰かに見られてる気配がしたが敵意が無いようなので無視する事にした。
「第二次試験は魔法の精度を見させて貰う。各々好きな魔法をあの的に放って貰う。真ん中に近いほど点数高いからよく狙うように」
試験官の人が説明を終え順番に魔法を放って行く。
「ルナ、勝負しましょうか」
「どんな?」
「あの的を狙ってより低い点数を取った方の勝ち。勿論、的にはちゃんと当てること」
「いいね、乗った」
「報酬は今日の昼ご飯奢りで」
ユキネとルナが顔を見合わせにっっと笑った後、それぞれの位置へと歩き出す。
「おい、あの2人」
「ああ、さっき他の奴らをボコボコにした奴らだ」
「体術はすごかったけど、果たして魔法は……」
さーて、どうしましょうかねー。私とルナは魔法の制御を本格的に磨いて来たので意図して真ん中を外す方が難しいんですよね。
無意識に真ん中を狙ってしまうみたいな感じです。
「【アイスアロー】」
「【ダークアロー】」
私とルナが同時に魔法を放ち、ほぼ同時に的へと着弾する。
「ホワイトベル58点、ルミナスクローバー55点っと」
「お昼奢りね」
「くっ、流石ルナ」
ルナがフッっと笑い、鼻歌を歌いながら歩き出しその後に続いて頬を膨らましながらユキネも歩き出す。
「なんだ、魔法は大したこと無かったな」
「なんか、拍子抜けだな」
「この後はお昼休憩を挟んだ後、座学の試験に移る各々、食事などを済ませた後、1時間後にここに集合だ。遅れたやつは即刻失格だから気をつけろ」
試験官はそれだけをいい、教室から出て行く。
「さて、ルナ、お昼食べに行きましょうか」
「私、特上串焼きで」
「ぐぬぬ」
ルナにご飯を奢り食堂でまったりしていると、先程感じた視線をまた感じため息を吐く。
「はぁ、いい加減鬱陶しいね」
「どうする?」
どうすると言われても、揉め事を起こす訳にも行かないですし……かと言って放置も鬱陶しいしなぁ。
「んー」
「ふわぁ、ユキネに任せるよ」
ルナはあくびをしながら机に突っ伏し尻尾をゆらゆらとさせながらユキネを見つめる。
「やれやれ、相変わらずマイペースなんだから」
私は、首を横に振り椅子から立ち上がり視線のする方向へと歩き出す。




