その後……。後、新しい物語の予感です。
「んっ……」
「あ、起きた」
ユキネはゆっくりと目を開けぼーっとしている頭で何があったのかを思い返しその場から勢いよく飛び退く。
「なんとなくそんな気はしていましたが……何をしてるのですかセイラ姉さん」
ユキネの目の前にはルナとカミラと仲良くお茶を啜っている紅月がいた。
「何ってユキネちゃんが起きるの待ってたんだよ。話たい事あるしね」
「このお菓子おいしー!」
「カミラ、食べ過ぎ」
状況がいまいち理解できないユキネが頭を傾け眉間に皺を寄せる。
そんなユキネを見てセイラと呼ばれた女性は手招きをしてユキネを呼ぶ。
「先ずは、攻撃してごめんね?」
「それはもういいんです。どうやって私がここのマスターだと知ったんですか?」
ユキネは渋々用意されていた椅子に座り用意されていたお茶を一口啜る。
「クラウスから聞いたんだよ」
その言葉にユキネは口に含んでいたお茶を吹き出しセイラを見つめる。
「クラウスさん?何故?」
「私、バベルの塔の副マスターだもん。後、ユキネちゃんがレビルレイで戦った男も副マスターだよ」
「待って下さい、全然理解が追いつきません」
ユキネは、自分が吹き出したお茶まみれになった机を拭きながら頭の中を整理する。
姉さんがクラウスさん所の副マスター? しかも、レビルレイのむかつく男も副マスター? 頭がパンクしそうです。
「クラウスからねーユキネちゃんの今の実力がどんなもんか見てこいって言われてさー。 まあ、私としては愛しの妹に会えたからいいんだけどね」
「紅月さん、質問があります」
ルナがお菓子を片手に持ちながら手をあげる。
「セイラでいいよ。どうしたの猫ちゃん」
「猫ちゃん……。 どうしてあの有名なクリスタルランクの冒険者である貴方がバベルの塔に?」
セイラは少し考えた後、口を開く。
「クラウスは私が家を出た時に偶然知り合ったんだよそれで、意気投合して仲間入り。 冒険者登録は他のダンジョンの情報知る為に登録して、適当にダンジョン潜ってたらクリスタルランクになっちゃっただけ」
「適当にやっても上がらないと思うんですけど……」
「セイラ姉さんは昔から天才と呼ばれていたからね。でも、昔と使ってる魔法が全然違うから気づきませんでした」
「あー旗魔法の事? あの魔法は、個人戦では役に立たないからね」
確かに、姉さんが使う旗魔法とは自分以外の味方にバフを掛ける魔法ですからね。
兄さんが使うバフより強力な分、自分以外と言う制約が付いてるんですよね。
戦争などの場所では光輝くんですがね。
「私の話は置いといて、ユキネちゃんとルナちゃんに提案があるんだけど」
「なんでしょう?」
「私も?」
「貴方達、学園に通ってみない?」
「はい?」
セイラの提案にユキネとルナはポカンとした顔を浮かべ互いに顔を見合わせる。
「学生じゃないと知り得ない情報とか経験とかもあるしどうかな?」
今更、私達が学園に通った所で学べる物は無いと思うんですけど……。
「それに、学園に勇者の素質を待った子が入学するって噂もあるんだよね」
「勇者ですか、でもそれ私達と関係ないですよね?」
「ルナちゃんには無いかな。ユキネちゃんは魔王化のスキル持っているからねいずれ確実に戦う事になると思うんだよね」
ふむ、魔王と言えば勇者と言うのは世の理ですからね。
「ルナ、どうする?」
「私はどっちでもいい。と言うかなんで私も?」
「ユキネちゃん1人だと何かと暴走しそうなんだもん」
セイラの言葉にルナが、確かにと小さく呟きユキネを見る。
「はぁ、分かりましたよ。 その代わり学費は全て姉さんが出して下さいね。 私達お金無いので」
「全然いいよー。さて、勇者が入学するのは今から5年後、だからそれまでに勉強をしましょう」
「セイラちゃん、私はー?」
「カミラちゃんは2人が学園に通ってる間ここの守護をして貰おうかなって、でも今のままじゃ弱いから私が直々に鍛えてあげる」
「と言うことは、カミラも副マスターに任命してた方がいいですね」
「そだねー、後、戦闘中も言ったけどダンジョン構造がお粗末だからそこも変えて行こうね」
そして、私達はそれぞれ勉強、特訓などをこなしながら5年後の学園入学への準備を開始した。




