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いざ、逃亡戦-ユキネの本気2-


 さて、もうちょっと遊んでいたいのですが……。流石に、これ以上ルナ達をほったらかしにする訳にもいかないのでぱぱっとけりをつけましょうかね。


「ラキさん、でしたっけ? すいませんね。もうちょっと相手をしてあげたいのですが、時間が押してありますので早々に決着を付けさせてもらいますね」


「そう簡単にやられる訳にはいかねーな【獣爪】」


 ラキさんが手に持っていた2本の大剣がカチカチと音を立て形を変え、鉤爪の形へと変化し猫手とソルレットっと言う、足に装備する防具へと変わる。


「へぇ、面白い武器ですね」



 あれは、どう言う仕組みなのでしょうか?スキルに反応して形を変える武器なんて珍しい物持ってますね。


 私が、頭を捻ってるとラキさんの姿が消え私のすぐ横に蹴りが迫ってきていた。


「早っ!?」


 私はギリギリで身を後ろに逸らし避けようとするが蹴りの方向がいきなり変わり私を地面へと蹴り伏せる。


「ふぅ、まさか俺にこれを使わせるなんてな……大したガキだ」


 ラキが、その場を後にしようと身を翻した瞬間、ラキの首に向けて刀が振るわれる。

 ラキは、猫手で防ぐものの勢いに負け横へと吹き飛ぶ。



「なるほどなるほど……魔力を使って好きな様に向きを変えれる仕様ですか」


 頭から血を流したユキネが不適な笑みを浮かべながら流れてきた血をぺろっと舐めとる。


「何で立てるんだよ……まともに食らったはずだろ」


 ラキは、木を支えにして立ち上がり再度ユキネに向き直し猫手を構える。


 ユキネは空を見上げふぅっとため息を吐く。


 私もまだまだですねー、確率操作に甘えて弱点をつかれるとは。


 確率操作はあくまで目で捉えた確率を操作するものなので、死角からの攻撃又は目に見えないスピードなどで攻撃された際、効力が発揮できないんですよ。


 更に言うと目に見えたとしても確率を操作する時間が無ければ無意味となります。



「不気味なガキだ」


「いいスキルですね。スピード、攻撃力、性能、全てにおいて予想外でした」


 ユキネは空を見上げたまま目だけをラキに向けてニヤリと笑う。


 本能的にやばいと感じたラキは地面を力強く蹴りユキネとの距離を一気に詰める。


「お前はここで仕留めないと後々厄介な事になる!【獣爪・裂孔撃】」


 足の爪が金色に光、速く鋭い蹴りがユキネを襲う。


「ははっ、素晴らしい【魔王化】」


 ユキネの足元から黒い竜巻が空へと舞い上がりラキの体を吹き飛ばす。


「何だこの禍々しい魔力は……」


 ラキの肩が震え、背中に悪寒が走る。


「特別に貴方には私の本当の全力を見せましょう……。この環境ならあの子ですかね」



 さあ、見せてあげましょう大いなる存在の力を。



「おいで……【シヴァ】」



 ユキネが指をパチンと鳴らすとユキネの後ろに氷の結晶が現れ、結晶が割れると中から薄い水色のマントを羽織った、水色の肌をした女の人が現れる。


「精霊……だと」


「精霊をご存知なのですね」



 精霊とは各属性を司る神に近い存在の事、その中でも精霊王などの精霊の頂点は召喚などは愚か見る事も出来ず、人間では認識すら出来ない存在の事ですね。



「もし貴方がこの場を生き残れたら自慢していいですよ。信じてもらえるかは別ですが」



 ユキネがシヴァに目線で指示を出すとシヴァが軽く微笑みふぅーっと息を軽く吐く。すると、ラキの下半身が完全に凍りつく。


「こんな氷簡単に砕いてやる!」


 ラキが猫手で氷を攻撃するが氷はびくともしなかった。


「あ、それ、同等の力で無理矢理破壊するか、私が解除するまで一切傷つきませんので悪しからず。さて、運がいい貴方に精霊についてレクチャーをしてあげましょう」


 ユキネはラキの側へと近寄りラキの周りを周りながら言葉を続ける。


「精霊には二種類の戦わせ方があります。一つは今みたいに指示を出して精霊自身に戦ってもらう方法。こちらは、多数の敵を相手にする時に有効ですね。

二つ目が、精霊を武具に変化させその武具を使って戦う方法。こちらは単体の敵に使用するといいですかね」



 ラキの前にしゃがみ込みラキを見上げながら更に言葉を続ける。

 ラキも手を伸ばして攻撃しようとするが確率操作によりその手は全て空振る。


「まあ、この子達を召喚するのもいくつかの条件があるんですよね。一つはその召喚する精霊に合わせた環境である事。シヴァの場合は寒い場所などです。

そして、莫大な魔力を消費する事。これはまあ、当然ですね」


 ユキネはよっこいしょと腰を上げ元いた位置に戻りシヴァを見上げる。


「ごめんねシヴァ。貴方を直接戦わせてあげたいんだけど、相手は1人なので武器に変わってくれる?」


 シヴァは軽く頬を膨らませてから、自身の身を氷で包み込む。

 その際、周りに聳え立っていた氷の壁とラキを拘束している氷が割れシヴァへと吸収されていった。


「さあ、貴方はこれに耐えれるかな?」


 氷が砕け散り中から、水色の刀が姿を現す。ユキネはその刀を手に取りラキへと視線を送る。



「なるほど。それがお前の必殺技か……なら、俺も全力でお前を殺しにかかる!【真獣爪・真打】」


 猫手とソルレットが黄金に輝き、ラキの髪の毛が獣の様に逆立つ。


「零刀・氷雪。久しぶりに持ちましたがやっぱりいいですね。綺麗です」



 ユキネは氷雪を腰に差し居合の構えを取る。


「くたばれ!」


 黄金の爪の斬撃がユキネへと襲いかかる。


 ユキネは一呼吸置いた後、勢いよく氷雪を抜き放つ。


「【絶凍】」


 放たれた氷の斬撃はラキの攻撃を消し去り目に映る全ての景色が凍りつき砕け散る。


「……ふむ、これ食らって生きてるんですか、凄いですね」


 ユキネが驚いた顔の先には右半身を全て失っているのにも関わらず、まだその場で立っているラキの姿があった。



「ここ……まで……か。楽し……かった……ぜ」


 ラキは笑みを浮かべその場に倒れ込む。ユキネは氷雪を消しラキへと近づく。


「ゴホッ、な、なあ……嬢ちゃん……一つ頼まれてくれないか」


「何でしょう?」


「もし、アインヘルツって街に……行く事があったら妻と俺の……子供にすまねぇって伝えてくれ」


 ユキネは少し考えた後、笑顔を浮かべ


「やだ♡」


 と、答える。


「くっくっく、ケチな奴だな」


「そう言うのは自分で伝えてください【反魂】」


 ユキネの足元に黒い魔法陣が現れそこからカラスが無数に飛び立つ。


「運が良ければ、貴方はまだ生きれます。ついでにお仲間のお二人も運次第で生き返りますので祈ってて下さい」


 ユキネは、腰のポーチから3本の回復薬をラキの近くに置き身を翻し、木の上へと飛び乗る。



「ちなみに注意が一つ、もし生き残れたら私の事は誰にも話さない方がいいですよ。そう言う制約をかけましたので。それでは、また会いましょう」


 ユキネはそれだけいい闇の中へと姿をけした。

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