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チートスキル【確率操作】を駆使する異世界生活  作者: arice


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いざ、逃亡戦-ユキネの本気-


 さて、これで追ってきた人は片付きましたかね?

これなら別に戦わなくても逃げ切れましたね。


 私が背中を伸ばしルナ達の後を追おうと木の上に飛び乗った瞬間、背後から凄まじい殺気が私を貫く。



「なんだ、いるんじゃないですか……強そうなのが」



「あらまぁ、みんなやられてるじゃん」


「弱い癖に突っ込むからですよ」


「まあ、何でもいい。獲物が生きてりゃな」



 私は木の上から飛び降り奥から出てきた3人を観察眼で確認する。



 真ん中の男の人がレベル115、女の人が110、少年みたいな子が105……全員私より遥かにレベルは上ですね。

 ちなみに私の現在のレベルは天魔祭で魔王化のスキルを手に入れてレベル80、そして、先ほどの人達を倒してレベル81に上がりました。



「とりあえず、竜人を狩る前にあの子供じゃね?」



 と、少年が私を指差しニヤニヤと笑う。



「失礼ですね。貴方も子供じゃ無いですか」


 全く、同じ歳くらいなのに子供なんて失礼ですよね。


「僕は歴とした大人だ!」


 そう少年が叫ぶと同時に少年の姿が消え、次に姿を見せた時には既に私の首目掛けて短刀が振るわれていた。


「っ!?はや!」


 ギリギリで、桜華で短刀を受け止め少年を蹴り距離を取るが、着地した先に女の人がいて女の人の蹴りが私の脇腹を綺麗に捉える。



「貴方は、感情的過ぎるんですよ。ハクト」


「だってあんなん言われたらむかつくじゃん!そう思うじゃんね ラキ」


「知らん、どうでもいい事だ。それより、先に進むぞ」



 はぁ、やれやれ、何でスピードでしょうか……全く目で追えなかったですよ。

 女の人の蹴りも凄まじい威力ですし、これは肋骨の2、3本は折れましたね。



 桜華を振り抜き周りに舞っていた桜の花びらで瓦礫を吹き飛ばし、口に溜まった血を地面に吐き出す。


「ほぉ、アリナの蹴りを受けて生きているとはな中々丈夫な様だ」


「あれで仕留めきれないとかアリナ弱くなったんじゃん?」


「しばきますわよ?」



 さて、どうしたもんですかねー魔王化は強い事は強いのですが解けた後めちゃくちゃ疲れるんですよね。

 確率操作もあの少年……ハクトの姿を追えないのでは意味無いですし。



 私は警戒をしながら頭をフル回転させどうにか出来ないもんかと悩ませる。


「あの程度なら僕だけで充分じゃん? 2人は氷の壁破壊して先進んでていいよ」



 ハクトが短刀をクルクルと回しながら、私に向かって歩き出す。



「しょうがないですね、周りがどうの言ってられません」


 私は口に咥えていた飴玉をガリっと噛み砕き、桜華を消し白雪と黒雪を召喚する。



「魔力が膨れ上がった? 何をしたじゃん?」


「答えて上げましょう、この飴は私が自作した魔力糖って言いまして、舐めている間だけ魔力を抑える事が出来る代物です」



 私、魔力の調節が下手なので常に少量の魔力が体外へ流れ出てるんですよね。



「まあ、魔力が上がったところでお前が強くなった訳じゃないじゃん?」


 ハクトが短刀を逆手に持ち、地面を踏み抜き高速で私へと攻撃を仕掛ける。

 が、放たれた短刀は私の魔力障壁に阻まれ、キンッと言う音と共に空へと舞う。



「この様に魔力が高いとその分、魔力障壁も固くなります。 覚えておいた方がいいですよ」



 落とした短刀を慌てて拾いに行こうとするハクトの顔面を蹴り上げ、蹴り上げた先に先回りをして両方の刀でハクトを切り付ける。



 ギリギリで魔力障壁で防いだハクトだったが衝撃を殺し切れず地面へと撃ち落とされる。



「それでこれが私の得意技【炎星】」



 私が腕を振り下ろすと、はるか上空から真っ赤に燃え盛った炎の塊が氷の壁の中目掛けて落下して来る。



「化け物じゃん」


 ハクトは、冷や汗をかきながらも呪文を詠唱し炎の塊に向かって魔法を放つ。

 その魔法が炎の塊に当たるとプシュンと言う情けない音と共に消滅し炎の塊が氷の壁へと落下した。



「……なるほど、貴方が防御役ですか」



 森の木々に燃え移った炎をかき消しながら水の球体がラキ達を覆っていた。



「ラキのお陰で助かりましたね」


「金にもならない奴に時間をかける必要も無い3人で叩くぞ」



 んーあの水使いの防御厄介ですね……少しばかり本気出しますかね。



「【黒の世界】」



 黒雪を天高く掲げると今まで明るかった森が闇に覆われ、一筋の光さえも通さない真っ黒な空間が3人を飲み込む。



「警戒しろ、何をして来るかわからないぞ」


「わかってるじゃん!」



 うんうん、警戒するのはいい事ですよね、無駄ですけど。



「【黒牙(こくが)】」



 黒雪を軽く振ると、ハルトの下から影で出来た大きな口が現れ、ハクトの下半身に噛みつきぶちぶちと音を立てて食いちぎる。



「ハクト!」


「や……られた……じゃん」



 ハルトは口から血を吐き出し、影の口へと飲み込まれて行く。

 その光景を見た、アリナが血相を変え私へと突っ込んで来る。



「待て!アリナ!」



 ラキの声にも反応せずアリナは足に魔力を込めて蹴りを放つが、私に当たる直前で纏っていた魔力が霧散し蹴りも不自然に宙を切る。



「無駄ですよ、もう貴方達の攻撃は私には届きません【確率操作】」



 ラキとアリナの攻撃の命中率を0%に引き下げ、ラキにはついでに魔法発動成功確率を0にする。



「そして、もう一つこの黒の世界では魔力を使えませんので悪しからず」



 私はぺこっとお辞儀をして黒雪を、更に軽く振る。



「そんな攻撃当たりません!」



 アリナが、身を翻し攻撃を避けようとするが突如現れた、黒い斬撃がアリナを斜めに一刀両断にする。



「【黒爪(こくそう)】」



「ハクトに続きアリナまでもやられたか」



 2人がやられたにも関わらず特に動揺した素振りも見せないラキが、私をじっと見つめ首を横に振る。


「どうやら、俺ではお前に勝てそうにも無いな」


「なら、さっさと帰ってくれませんか?」


 私の言葉にラキがはっはっはっ!と大笑いしどこからともなく、大剣を2本出し私に剣先を向ける。


「仲間やられておいそれと帰れるか」


「その選択後悔しないで下さいね」


 空から急降下した、私の攻撃とラキの大剣がぶつかり合い凄まじい轟音を辺りに響かせ周りの木々が衝撃波により粉々に砕け散る。



「さあ、仇打ちだ」


「害虫駆除開始しましょう」

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