[天魔祭]レイド戦-カミラ-
さて、レイド戦のフィールドに転送された訳だけど……。
「だから、女子供は下がってろって言ってんだろ!」
「はぁ?なんで、私達が貴方みたいな人の言う事聞かないとダメなのよ!何様よ!」
と、このように30分位言い合いをしていて全く進展しないんだよねー。
「ねぇ、早く行かないと時間切れになるんじゃないのー?」
僕が言い合いをしてる2人に声かけるも2人は僕の声に見向きもせず言い合いを続行した。
もう、先行っていいかな?めんどくさくなってきた。
僕は薙刀を首に担ぎ、2人の間を素通りして門の奥へと足を進める。
僕の後を追うようにして残っていたメンバーが我先にと走り出しあっという間に僕を追い抜いて行った。
「なんだ、やる気あるんじゃん」
そして、歩く事数分。
おそらく、ボス部屋であろう大きな門の前に辿り着き門を見上げる。
「でっかぁ。このデカさの門が必要なほどでかい奴が中にいるって事かな?」
「そうとも限らないのじゃよ」
僕が不思議そうに首を傾けているといつの間にか横に腰の曲がったおじいちゃんがいた。
「それはどう言うこと?」
「天魔祭のレイド戦には二種類あっての、一つは大型の魔物を倒す普通のレイド戦。もう一つは、ランクがバラバラの魔物がワラワラ出てくる殲滅戦があるのじゃ」
ふむ、それだけ聞くと殲滅戦の方が楽に思えるけど……。
「そっちの方が楽じゃない?」
「フォフォフォ、青いのぉ。考えてみよ、大型の魔物を一体倒すのとほぼ無限に出てくる魔物を倒すのどっちが楽か」
確かに終わりの見えない戦いは、精神をやられるから、そう考えたら大型の方が楽か。 周り気にしなくていいし。
「話してないでさっさと行くぞ!」
さっきまで、言い合いをして時間無駄にしてたのはどっちなのかな。
僕はため息を吐きながら、男の人の後に続き中へと足を進めた。
「これは……」
「運がないのぉ」
僕達の目の前に広がっていたのは、ゴブリン、スケルトンなどの低級の魔物が部屋を埋め尽くしている光景だった。
「よりにもよって殲滅戦の方かよ……。 くそ!各自奥にある青い柱を破壊しろ! そうすれば、雑魚の転送は終わる!」
ふむ、要はあの奥の柱を破壊するのが目標だね。よーし、さっさと終わらそう!
僕は薙刀を構え、警戒している男達の間をすり抜け魔物の真ん中へと飛び上がる。
「いっくよー!【天翔斬】」
空中から、勢いよく薙刀を振るい地面にぶつかった瞬間、衝撃波が周りの魔物達を木っ端微塵にしていく。
「あのバカ!下がれ!柱に近づきすぎだ!」
何を言ってるのだろう?近づかないと破壊出来ないのに。
僕は男の言葉を無視して薙刀を振り回し魔物を葬りながら青い柱を目指した。
「まずは、一本!」
魔物を足蹴にし空中に飛び上がり柱を思いっきり攻撃すると、柱が崩れさりそれに呼応するかの様に他の3本が光を強める。
「なんだ、楽勝じゃん」
地面に着地する為、柱から飛び降りた瞬間、僕の体全体を強い衝撃が走り、僕は男達の後ろの壁まで吹き飛ばされる。
「貴方のせいで厄介な事になったわ」
女の人が、僕を睨みつけた後視線を戻し杖を構える。
その視線の先にはゴブリンなどとは比べ物にならない程大きな身体を持つ巨人が瞳を光らせていた。
「あんなの聞いてないよ」
「サイクロプスじゃな。Bランクの魔物じゃ」
「でも所詮はBランクでしょ。僕の敵じゃないね」
「一体なら……の」
サイクロプスが出てきた柱が更に青く光続々とC〜Bランクの魔物が続々と出てくる。
「どう言うこと……!?」
「殲滅戦のセオリーは同時に四つの柱を破壊せねばならんのじゃよ。 一本づつだとああやって出てくる魔物が強くなっていく」
おじいちゃんはやれやれと首を横に振り合掌のポーズをとる。
「ゆくぞ!【閃光拳】」
おじいちゃんの拳に淡い光が灯り、その光は徐々に強さを増して行った。
「残り三本を一気に壊すぞ! 魔物共は俺たち前衛が相手をする、後衛たちは柱を狙え!」
「貴方の命令を聞くのは癪だけど仕方ないわね!」
女の人が詠唱を始めそれに続くように後衛の人達が弓を引き絞ったり、詠唱を始める。
それを確認した前衛の人達が、各々誘導スキルをなどを使い魔物の群れへと突っ込んでいく。
「ガキ!お前が巻いた種だ!動け!」
男の人の声に正気を取り戻し頬を目一杯叩いた後、薙刀を構え男達の後に続き走り出す。
「くそ、数が多すぎる! 柱の破壊はまだか!」
「今やってるわよ! でも、硬すぎる……。」
後衛の人達が魔法を放つが、サイクロプスなどに防がれ柱に攻撃がほとんど当たっていなかった。
そして、前衛部隊も圧倒的な数により1人……また1人と倒されて行った。
「はぁはぁ、くそ。本当についてないぜ……」
剣も折れ、盾も砕けた男の人が肩で息をしながらもなんとか立ち上がる……が、立ち上がった瞬間無数の槍が男の人を貫き、棍棒で頭を叩き潰される。
前衛が崩れた事により、足止めされていた魔物達が後衛へと向かい走り出す。
後衛の人達も魔法などで応戦するが、間に合わず魔物の群れに飲み込まれた。
「ぜぇぜぇ、お嬢ちゃんだけでも逃げなさい」
「はぁはぁ、やだよ。これは僕が招いた事だ僕の手で蹴りをつける」
僕が、おじいちゃんの言葉にそう返答し振り返った瞬間、目に入ったのは斜めに一刀両断されたおじいちゃんの半身だった。
「これで、僕1人か……。ごめん……ごめんなさい皆んな」
僕は口を噛み締め、雄叫びを上げ周りの魔物を倒しながら柱へと走り出す。
圧倒的な物量により、僕の身体には無数の傷が付けられるが、痛みを我慢しひたすらに走った。
やっとの思いで柱に辿り着き薙刀を振るうが、ほんの数センチ届かずサイクロプスの蹴りをまともに受け魔物達を吹っ飛ばしながら地面へと打ち付けられる。
「かはっ!! あとちょっとだったのに……こんな所で僕は死ねない」
周りに群がっていた魔物達を、雷の魔法で焼き殺し薙刀を杖にして立ち上がる。
「目立たない様になんて言ってられない【龍化】」
僕がそう呟くと手足が龍の鱗で覆われその衝撃で更に魔物が吹き飛ぶ。
「全員僕が殺してやる」
雄叫びを上げ、魔物の首をねじ切り、噛み殺し、爪で切り裂く。
更に背中から翼を生やし空へ羽ばたき柱へ急降下する。
「今の僕に柱を同時に破壊する力は無い。なら、一本一本を全力で叩き折る!」
加速を利用して柱を蹴り砕き、崩れた柱を利用して隣の柱へと攻撃を仕掛けるが、青い光から出てきた大剣に防がれ、更にその上からハンマーで地面に撃ち落とされる。
「Aランク……アルクナイトが三体とか無理でしょ」
後少しなのに……。その少しが届かない!
アルクナイトのハンマーと大剣により僕はボールみたいに地面に叩きつけられては、蹴り飛ばされ、さらに追い討ちでゴブリンなどが放った矢がお腹を貫く。
意識が遠くなる中で天魔祭に参加する前にユキネに言われた言葉を思い出す。
「いい?部分的な龍化はいくらでも言い訳が聞くから良いけど、完全な龍の姿になるのはダメだからね?
賞金稼ぎに狙われる可能性があるし、カミラさんまだ、理性保てないでしょ?」
ごめん、ユキネちゃん。約束破っちゃうね。
まさに、魔物達の攻撃が僕に命中する瞬間、黒い雷が僕に向かって落ちる。
「【真龍化】」




