[天魔祭]レイド戦-ユキネ2-
しばらく様子見をしてたけど……。
「弱いですねこの人達」
さっきから攻撃を仕掛けてるけど、一向にダメージ与えれてないですね。まあ、即興のパーティーなので連携が取れてないのは仕方ないのですが。
「ユキネ!!回復!」
「またですか……【ヒール】」
ふむ、どうしましょうね。 あんまり目立ちたくないのですが、このままじゃ皆死んでしまいますね。
「しょうがない。お二人ともサポートお任せしますね」
私は一緒にサポートに回っていた二人に頭を下げライオンに走り出す。
「力を見せて頂きますよ桜華」
私の声に呼応するように桜華がピンク色に輝き桜が舞い落ちる。桜華を抜き放つと周りに舞っていた桜の花びらが前線で戦っていた人達を包み込みサポート陣の近くに吹き飛ばす。
「技の名前は……なんでもいいか〈抜刀零式・桜龍〉」
地面を滑りながら桜を纏った桜華を振りぬくと桜が斬撃となりライオンに襲い掛かる。
前にルナに放った技の抜刀バージョンですね。威力は居合の方が強いです。
ライオンは爪を振りかざし私の斬撃を受け止めるが斬撃の威力に耐え切れず受け止めた爪が砕け散り腕を切り飛ばす。
「ふむ、まあまあですかね」
半身は持っていくつもりだったんですかね、訓練が足りませんね。
私は、桜華を握っていた手を閉じたり開いたりした後ライオンを見上げる。
「しっかしタフですねー。もう血も止まっているようですしどうしましょうね」
そんなことを考えていると先程吹き飛ばした前衛の人達が戻ってきました。
「おかげで体力回復できたぜありがとな」
「いえいえ、邪魔だっただけなので」
とは言えこのままじゃこちらの体力と魔力が尽きるのが先ですね。
私は桜華を肩に担ぎ顎に指を置き頭を悩ませる。
「ユキネは少し休んでてくれ、ここからは俺たちが相手だ」
「いえ、私も戦います。正直、勝てるかどうかは分からないですが」
確率操作を使えばまあ、倒せるでしょうが……。一応、ダンジョン運営もありますしこの方達が、ダンジョンに来た時に正体がバレかねませんからね。
「っ!!全員、退避!でかいの来るぞ!」
バリスさんの声に反応しライオンを見ると大きな口を開け魔力を口に溜めてました。
「あーこれはまずいですね」
退避したと同時にライオンから尋常じゃない程の殺気が溢れ後ろのサポート陣、私、バリスさんを除く前衛に構えていた人達がその場に膝をつき顔を歪める。
「くっ!!ブレイブハートの効果が切れていたのか」
「違いますね。ブレイブハートの効力をかき消す程の殺気なだけです」
正直な所、あの方達がどうなろうと知ったこっちゃないんですがね。
「桜華!!」
桜の花弁が膝を付いてる人達を包み込み私は、少しでも軌道を逸らそうとライオンへと走り出す。
「待つんだユキネ!」
ライオンの下に潜り込み全身にかけていた身体強化を足の一点に集中させ力いっぱいライオンの鳩尾を蹴り上げる。
空中に蹴り飛ばされたライオンは少しひるんだ後、口を真下に向け溜めていた魔力を放出する。
「これだから他人と関わるのは嫌なんですよね」
私は、フッと笑い放たれた光線に飲み込まれる。
『ユキネ・ホワイトベルの生体反応を確認中・・・エラーが起こりました再度確認・・・エラーが起こりました・・・確認・・・エラー・・・エラーエラーエラー・・・新たなスキルを確認。会得しようとしてます。実行しますか?』
待って下さいね。光線に飲み込まれたと思ったらなんか変な空間にいました。どこですかここ。
『ユキネ・ホワイトベルの意思を確認中。実行しますか?』
なんか、よく分からないですが貰える物は貰っておきましょうか。
『肯定の意思を確認。最終通告です、このスキルを会得することにより対象者の運命が大きく変わる可能性があります。尚、スキル会得後98.5%の確率で死亡します。実行しますか?』
「確率は変えるものですよ」
私は98.5%と表記されたゲージを0%まで引き下げ肯定の意を示した。
『肯定の意思を確認。スキルを付与します・・・成功。続いて、蘇生を実行・・・・・・成功しました。これよりユキネ・ホワイトベルの体を再構築・・・成功。獲得したスキルは、【魔王化】。スキル【魔王化】を会得したことによりスキル【暴食】、【色欲】を会得し代償にスキル【魔獣化】が消失しました。続いて【魔王化】を会得した事によりレベルが大幅に上がります』
その言葉を最後に声は聞こえなくなり周りの黒い空間が音を立てて崩れ光に包まれる。
ライオンのお腹を黒い光が貫き、光線でできたクレーターからゆっくりと立ち上がり周りを見渡す。
「ああ、そうですね。邪魔な奴らには消えて頂きましょう」
「ユキネ?無事でよかった!」
ライオンの隙を付き私に近寄ってきたバリスさんが私の肩に手を触れた瞬間、バリスさんの片腕が吹き飛びバリスさんが叫び声を上げその場に倒れこむ。
「ああ、すいません。邪魔です」
私は、バリスさんに冷たい視線を向けた後、ライオンへと歩いていく。
「あの攻撃は少々痛かったです」
起き上がったライオンに向けて指をパチンと鳴らすとお腹から流れていた血が徐々に透明になり最後には水となった。
「惑星魔法《海王星》」
惑星魔法は前世の私が命を懸けて作った魔法です。種類は全部で10種類。そして今、使った《海王星》は対象者の体内に流れている全ての液体を水に変える魔法です。
「さて、あなた達にこのことを話されては色々困りますので支配下に置かせて頂きます。【色欲】」
【色欲】は相手を魅了し言いなりにできるスキルです。【精神攻撃無効】のスキルを持っていたら無効に出来ますが予め持ってないのは知ってましたので。
「私の命令は一つです。ここで見たものは全て忘れて下さい」
バリスさんを含めたその場にいる全員が虚ろな目で頷いた後、全員が眠るようにその場へと倒れこんだ。
「ふう、とりあえずこれでいいですかね……」
私もその場で倒れこみ意識を手放した。
次に目が覚めたのはどこかのテントでした。テントから外に出ると、歓声が沸き上がり集まっている人の視線の先に目を向けると見慣れな姿をしたルナが映し出されたモニターがありました。
「あの、嬢ちゃんすげーな!!一人でXランクの魔物を圧倒してるぞ」
「しかも、これは戦っているというより……」
「「踊っているようだ」」
ユキネ・ホワイトベル
レベル80
ランク サファイア
所有スキル
【確率操作】【テイム】【連撃】【憤怒】【強欲】【怠惰】【暴食】【色欲】【観察眼】【交換&譲渡】【魔卸】【白の世界】【黒の世界】【範囲成長】【範囲成長加速】【超回復】【魔王化】【血盟】




