[天魔祭]-バトルロイヤル-
さて、この一週間なんやかんやありましたが遂に天魔祭当日となりました。
「さあさあ、今年もやって参りました、天魔祭! さて、今年の天魔祭は幾つかルール変更がございます。 先ずは、そちらのご説明を」
今年の天魔祭はテンシル王国と言う国が、開催場所となっておりまして、ここはレビルレイから数十キロ東に行った所にある至って平和な国となっております。
開催場所はくじ引きで決まるらしいです。
「バトルロイヤルに関しては以上の変更点となっております。 さて、早く開始しろと観客の皆様からお声が掛かりましたので、早速バトルロイヤルを開始致します。
転送は3人バラバラの位置に転送されます。
遠くになる可能性も有れば物凄く近くに転送される場合もございますのでせいぜい祈ってて下さいませ。
それでは、バトルロイヤル開始!」
その場に集まって居た参加者達が、一斉に光に包まれ私達の視界が白く染まる。
「眩しいなぁもう。 とりあえず、現在地の把握と武器の調達ですね。 視界の端っこにルナ達の体力バーみたいなのが見えるのも何かしらの魔法ですかね?」
ふむ、現在地は山脈エリアですか……。 中々、厄介な場所に飛ばされましたね。
山脈エリアは文字通り周りが山に囲まれてるエリアで待ち伏せなどをされると中々面倒臭い場所です。
より高い所を陣取った方が強いですからね。
「ルナ達はとりあえず近くには居ないみたいですね。武器は……あ、ありましたありました」
私は、岩場の影に刺さって居たなんの変哲も無いナイフを手に取り指の上でくるくると回す。
「さてさて、そこの岩の影に隠れてる人は相手してくれるのですか?」
「チッ、後ろからこっそり殺してやろうと思ったのに」
「あはは、面白い事言いますね。貴方如きの実力じゃ私には勝てないですよ」
男の人は真っ黒な大剣を担ぎ上げ、足に炎を灯し突撃してくる。
「ナイフ一本で俺の攻撃を受け止めれると思うなよ! クソガキが!!」
「まあ、確かにこの普通のナイフじゃ大剣は受けれないですね。 受けるつもりはありませんが」
半歩身を引き、男の大剣を避け男の手首を掴み男の身体を宙に浮かす。
「〈天龍〉」
空に浮いた男のお腹が空気の塊に押され男が地面に衝突し地面に減り込む。
「ふむ、これで一人脱落って事で良いんですかね?
いや、確か手元にあるクリスタルを砕けって言ってましたかね」
見事に地面に減り込み気絶している男に近づき手元のクリスタルをナイフで突き刺す。
大剣は重くて持てないので放置しときましょう。
「んー、とりあえずルナ達と合流ですかねー」
私は、鼻歌を歌いながらのんびり歩き出す。
ルナサイド
「ここは、雪原エリアかな」
どうやら、ユキネ達とは近くには居ないみたい。 とりあえず、武器の調達をしてユキネ達と合流かな。
「はははは、ラッキー! 武器も持ってないガキはっけーん」
後ろから声が聞こえ振り向くと、氷の塊の上にしゃがみ込み大鎌を肩に担いだ男が私を見下ろして居た。
「君、良いもの持ってるね」
「あ? 欲しいなら奪い取ってみろよ!」
鎌の使い方雑だね……鎌が可哀想。
力任せに振るわれる鎌を身を屈めたりして避け指を鳴らす。
「武器が無くても魔法で何とかなる」
私の影から伸びた黒い棘が男の手足を貫き男はその場で盛大にこける。
「ぐあああ!! 俺の足がぁぁ!」
「別に足が千切れた訳じゃ無いんだからそんなに騒がないでよ」
男の手に付いていたクリスタルを踏み砕き、地面に落ちた大鎌を手に取る。
「ほぉ、これは中々良い鎌だね。 流石にスキルは付いてないか……。」
いや、まあ付いてたら反則だもんね。
「ユキネは心配するだけ無駄だとして、カミラがちょっと心配だなぁ」
私は頭を抱えながら歩き出す。
カミラサイド
「ふわぁ、眠たい」
近くにルナちゃん達の気配も無いし敵も来ないし歩くの疲れたしどうしようかな。
「えーっと、僕の現在地は森林エリアだね。 見通しが悪いから死角に気をつけないとね」
僕はさっき拾った槍をくるくると回しながら森を散策する。
「ひーまーだー!!」
「だったら、私達と遊びましょう!」
上から放たれた矢を指で掴み取り上を見上げニヤッと笑う。
「いいねぇ、僕の暇つぶしになってくれるんだね。 君達、良い人だね」
木の上には3人の男女がそれぞれの武器を構え僕を見下ろして居た。
「暇つぶしになるといいですね!ルイ、アール、行きますよ!」
「おう」
「任せて下さい」
弓、片手剣、薙刀かぁ、薙刀欲しいなぁ。 うん、貰っちゃおう。
「とりあえず……君達、誰を見下ろしてるのかな?」
僕が、手を振り下ろすと3人が居た木の枝が圧縮され消滅する。
「な、何が起こった!」
「狼狽えないで!ルイ、補助魔法を!」
「あ、ルイってこの子?」
僕の右手には曲がってはいけない方向に腕が曲がったルイって子が、気絶していた。
「ルイ!」
「あー、ごめんね。 あんまりにも隙だらけだったからさ。 あ、そうそう。アールって人も大丈夫?」
弓矢の人が僕の言葉に後ろを振り向くとアールって人の左手に槍が刺さっていた。
「この、ガキ……よくも仲間を!」
「だって、これバトルロイヤルだよ? 当たり前だよね?それに、僕一人に3人がかりでも傷一つ負わされないって……よっわ」
なーんか、飽きてきたなぁ。 薙刀も手に入ったしもう良いかな。 ルナちゃん達とも早く合流したいし。
「君、もういいや。 暇つぶしにもならなかったよ」
女の人が放った矢を掴み取りそのまま回転し矢を投げ返す。
投げ返された矢は一寸の狂いもなく女の人の手を貫きクリスタルを砕く。
「ふぅ、やっぱりちょっと力セーブした方がいいかな……」
僕は、欠伸をしながら更に森の奥へと足をすすめた。
「あ、弓矢の人以外のクリスタル砕いてないや……まあ、いっか」




