勇者パーティと戦いました。後、なんか身体に不調がありました
一緒の階層に居た大きな狼を撫でながらルナの報告を待つ。
「貴方お名前は?」
「わふっ」
あ、話せないタイプでしたか……。 ランク高そうだったから話せるかと思ってました。
狼さんと話していると周りにも一回り小さい狼達が集まり出し、私が毛玉に埋もれる。
「あぁ、ここが私の楽園でしたか……」
『ごめん、ユキネ。 やられちゃった」
っと、狼達と遊んでる間にルナが突破されてしまった様です。
『OKですよー。 ルナは大丈夫ですか?』
『大丈夫。 一人は動けなくしたからそっちに3人行く』
おお、一人倒してくれただけでも大変ありがたいです。
『じゃあ、ルナはクラウスさんの所に戻って休んでおいて下さい』
私は、狼達にバイバイと手を振り背中を伸ばし桜華を抜く。
「流石は勇者パーティですね。 ルナの居た階層からこんなに速くここに来るとは」
階層の入り口の方を見ると真っ白なフルプレートの鎧を纏った大剣使いと、まっきんきんの鎧を着たカッコいい男の人、それに黒のローブに身を包んだ、体型からみて女の人ですかね? 女の人が、姿を表す。
「くそ、まさか75階層にあんな強い奴が居るとはな」
「セイラがやられたのは予想外だったね」
「リュウヤ、あそこ」
っと、どうやら気づかれたみたいです。
「どーも、勇者パーティの皆様、バベルの塔へようこそ。 この先はマスターがいる部屋……通るなら覚悟して下さいね」
仮面の奥の瞳が妖しく光輝き、周りに桜の花弁が舞い落ちる。
「さっきの奴より強そうだな」
「流石はダンジョンレベル98って所だよね」
「でも、私達は負けない」
3人ですからねー、正直勝てるとは思ってません。ですが、クラウスさんが楽になる様にある程度、体力削ってさっさと撤退しましょう。
「作戦会議は終わりましたか? それでは、行きますね【白の世界】」
ダンジョン内が雪景色に変わり周りに雪と桜が舞い落ちる。
「何だこれ」
「2人共落ち着いて。 景色が変わっただけだよ」
景色が変わっただけ……。 本当に勇者なのでしょうか?
「違う!? 逃げて!!」
おっと、魔法使いの方の方が察しがいい様です。 これは厄介なので先ご退場願いましょうか。
「遅いですよ。【白燕】」
雪が燕の姿に形を変え魔法使いさんへと放たれる。 魔法使いさんも炎の魔法を唱えガードするが、周りに振る雪が全て燕となり魔法使いさんを襲い、魔法使いさんの腕が斬り飛ぶ
「キイラ!! お前ぇぇぇぇ!」
「待て! サクス、無闇に突撃しちゃダメだ!」
サクスと呼ばれた男の人が、勇者さんの静止の言葉も聞かず私に斬りかかる。
「この空間は私が支配しています。 そうやって突っ込むと……ほら、危ないですよ」
地面に降り積もって居た雪が針となり、サクスさんの身体を貫き、白く積もって居た雪が赤く染まる。
「サクス!!」
これくらいの実力なら私が来なくてもクラウスさん一人で何とかなったんじゃ無いでしょうか?
「ふむ、どうしたもんですかね……」
私は、気絶しているサクスさんを見上げながら顎に手を置く。
「君は絶対にゆるさいぞ……」
おや? なんだか勇者さんの様子がおかしいですね。
勇者さんの身体に金色の光が纏わり付き、勇者さんから放たれる殺気、魔力などが膨れ上がる。
「【限界突破】」
ふむ、限界突破でしたか。 限界突破は、身体に絶大な負荷をかける事により一時的に人としての限界を突き破るスキルとなっております。
「これは要らないですね」
身体に負荷がかかるのは憤怒だけで充分です。
「謝っても遅いぞ!」
「謝る? 何故ですか? 人の家に勝手に入ってきたのはそちらですし」
「うるさい!!」
勇者さんが剣を構え私に斬りかかる。 私も桜華で攻撃を防ごうとするが、突如胸に激痛が走り勇者さんの攻撃をまともに喰らい岩に激突する。
「な、なんですか今の痛み」
私が立ち上がった瞬間に勇者さんの蹴りが私のお腹を捉え更に岩へと押しつけられる。
「さっきの奴は逃したけど、君は絶対僕が倒す」
「女の子を蹴るなんて良い趣味してますね」
私は口に溜まった血を吐きながら勇者さんを蹴り飛ばしその場で膝をつく。
私の身体に何が起こってるのでしょうか? そんなリスクのあるスキルなどは所有してない筈ですが……。
「これで、終わらせてあげるよ!」
勇者さんの大剣に光が集まり周りの大気が震えだす。
ふむ、仲間を二人減らせて勇者さんに限界突破も使わせましたし、まあ上々な働きでしたかね。
「申し訳ないですけど、体調が優れないのでここでさよならさせていただきます」
私は桜華に魔力を流し勢いよく抜き放つ。
私の放った斬撃と勇者さんの斬撃がぶつかり合い周りの山などを消し飛ばしながら相殺される。
「くそ! 逃げられたか」
勇者さんは、地面を殴りつけた後仲間達に駆け寄り回復魔法をかける。
「すいません、クラウスさん。 あんまりお役に立てませんでした」
「いや、十分だ。 助かった」
クラウスさんは私の頭を撫でて武器を構え目を閉じる。
「まあ、見とけや。 ランキング一位の実力見せてやるよ」
おお、クラウスさんが初めてかっこよく見えます。 これが、1位の貫禄なんでしょうか。
その後、勇者さんがクラウさんの所に来ましたが秒殺されてダンジョンから帰って行きました。
やっぱり、限界突破のデメリットが効いて居た様で私と戦った時よりも動きが鈍かったです。




