奴隷解放しました。後、なんか拾いました
話を詳しく聞くとこの子達の両親は数日前に奴隷商人に捕まりそうになっていたこの子達の身代わりとなって連れて行かれたそうです。
「でしたら、ギルドに依頼すれば良いのでは?」
「そんなお金僕達には無いんだよ!それに、ギルドに依頼してから冒険者さん達が受けるまでお父さん達が酷い目に遭ってると思うと……」
確かに、ギルドに依頼するならそれなりの報酬は必要ですからね。奴隷の解放なら尚更、それこそ数十万とか要りますね。
「では、何故私達に?」
「お姉ちゃん達は冒険者でしょ? それにそっちの黒いお姉ちゃんはサファイアランクみたいだし」
「んあ? 私?」
ルナは、りんご飴を口に頬張りながら自分を指差す。
「確かに私達は冒険者です。ですが、依頼すると言うことはそれなりの報酬は頂きますよ?」
私は、残っていたたこ焼きを食べ手を合わせご馳走さまでした。 と、呟き男の子に目を向ける。
「お金は無いけど、なんでもする!だから、お願い!」
男の子達が膝を突き頭を深く下げる。なんともまあ、綺麗な土下座だこと。
「貴方達の年齢じゃなんでもするって言っても限られてますよね? それは、報酬としては成り立ちませんよ」
「じゃあ、私が払う」
横で、成り行きを見ていたルナが口を開き私をじっと見つめる。
「ルナが? なんでまた」
「私の両親も奴隷商人に攫われて帰ってこなかった。 両親が居ない寂しさはよく分かる」
「まあ、それについては同情しますが、あんまり乗り気はしな……」
私がそこまで言うとルナが私の耳に顔を近づけ呟く。
「私の耳、触らせて上げる」
「よし、受けましょう。 その依頼」
私は勢いよく立ち上がりふんすと鼻を鳴らす。
そして、男の子達に案内され私はどこにでもある様な民家へと連れてこられた。
「この下に奴隷商人達が入っていくのを僕が確認したんだ」
なるほど、これなら一見普通の民家ですからね。カモフラージュにはもってこいですね。
「はぁ、やれやれ。 折角の休日が台無しです」
「また、こればいい。 私達は自由なんだから」
「まあ、そうですね。 貴方達はここで待ってて下さい。 そうですね、1時間で戻って来なかったらギルドに行って増援を要請して下さい」
「わかった!お姉ちゃん達、気をつけてね」
男の子の頭を優しく撫で、私はドアを蹴破る。
「埃臭いですね」
「まあ、民家に入ってくる人なんていないから」
さてさて、扉は……あそこですね。
私は、机を退けその下にあった扉を開く。
扉の先からは、歓声などが聞こえ今まさに奴隷オークションが始まる所だった。
「ほら、武器持ってくればよかったでしょ?」
「魔法とスキルと体術で充分」
ルナは、手の平を前に出し魔力を込め魔法を発動する。
いきなり吹き飛んだ、扉にオークション会場全員視線が集まる。
「別に、奴隷売買自体は禁止されてないのでお客達は無視でいいですかね?」
「いいと思う。 私達が受けたのはあの子達の両親の救出のみ。 それ以外は知らない。 ただ」
オークション内にいた、フルプレートに身を包んだ兵士がルナへと斬りかかるが、ルナはその剣をひらりと避け鎧ごと、兵士の肋骨を殴り折る。
「邪魔者には容赦しない」
おお、怖い怖い。 まあ、これも対人経験を積む良い機会としましょうか。
横から、突き刺して来た槍を掴みそのまま引き寄せ、その反動を利用し槍の持ち主のお腹に前蹴りを叩き込み、前のめりに倒れる兵士の背中を飛び超え後ろに構えていた兵士の首を足で挟み地面へとねじ落とす。
「この人達、強くは無いけど数が多いですね」
「魔法で一気にやっちゃおう」
「なら、私の出番ですね」
私の得意とする魔法は範囲撃滅魔法で、その名の通り複数人の相手をするのが得意な魔法です。
ちなみにルナの闇属性の魔法は、幻覚、隠匿などの妨害に特化してます。
中には、五感を完全に消滅させる魔法もあるとか。恐ろしいですね。
「さて、お客さま方は逃げた様なので、ここに残っている人達は、全員排除させていただきます。 あ、決して貴方達に恨みは無いです。 猫耳の為ですので」
私が、天井ギリギリまで飛び上がり手を前に翳すと、私の背後に、魔法陣が幾つも現れその中から様々な武器が姿を表す。
「んー、今日は槍の気分ですかね」
手を握ると対空していた槍が、一斉に降り注ぎ兵士達をどんどん貫いて行きます。
この他にも、剣を降らせたり、銃をぶっ放したりと様々な攻撃が出来ます。
ですが、降らせる事の出来る武器は一種類のみの制限があります。
「これが、リーさんから教えてもらった〈ブラッドレイン〉の威力です。 どうですか?楽しんで頂けましたか?」
私は、血の水溜まりとなった地面に目を向けニコッと笑う。
「それ、室内でやるの禁止。 危うく当たりかけた」
「何を言いますかしっかり受け止め、他の兵士に投げつけて居たのを見ましたよ」
さて、これで大方は片付きましたかね? 後は、あの子達の両親を回収して終わりですかね?
「ふははは!! 素晴らしい!! あれほどいた兵士を瞬殺とは、実に面白い」
壇上の上で、スーツを着た男の人が私を見つめ笑う。
「あれが、主催者ですかね?」
「だろうね。 あの人だけレベルが高い」
先日、観察眼というスキルを得たルナの目には対象の所有スキル、レベル、名前が見えている筈です。
「どれくらいですか?」
「46」
46ですか……弱いですね。
「じゃあ、ルナにお任せしましょうか」
「おけ」
ルナは、首を鳴らしながら壇上の上の男へと歩みを進める。
その間に私は、裏へと周り奴隷となった人達を解放するとしましょうか。
「おやおや、お嬢さん一人でこの私と闘おうと言うのですか?」
「ん、私だけで充分」
「随分と、自信があるようですね。では、死んで下さい」
男が放った影の様な魔法が私を包み込む。
なるほど、影を刃に変えそれを竜巻にして切り刻む魔法か……。
「闇属性で私と戦う気? 冗談でしょ」
私を包んでいた影をものともせずゆっくりと歩いて男へと近づく。
「は? この魔法は、ワイバーンをも切り裂く魔法だぞ!! 何故、お前は平気で歩いている」
「これが、本当の闇属性の魔法〈ナイトメア〉」
私は男の頭に手を乗せ魔法を発動する。
この魔法は、相手の脳に干渉する魔法で、対象に様々な痛みを与える魔法。そして、痛みが一定量を超えるとその痛みが外傷として現れ、対象はほぼ確実に絶命する。
「ぎゃぁぁぁ!! やめ……やめてくれぇぇぇぁ!!」
「闇の本質は、相手に絶望を与える事。 痛みと言う絶望の前にひれ伏せ」
私が、身を翻すと同時に男の身体から血が噴き出し地面に血溜まりを作り絶命する。
「終わりましたかー?」
「ん、終わった」
何回見ても、あの魔法は反則だと思うんですよね。触れさえすれば勝った様な物ですからね。
「私の方も、無事に奴隷達を確保出来ましたよ。あ、それとこの子知ってます?」
私は、私の後ろに隠れていた熊耳を生やした女の子を前に押し出す。
「熊耳族の子だね。 もう、絶滅したと思ってたんだけど」
「ふむ、どうしましょうか。 この子、帰る所ないみたいですけど」
正直、ダンジョンに置くのは気が引けるんですよね。ほら、ダンジョンって死体とかよく転がりますから、教育上よくないと思うんですよ。
「帰る所無いなら、ダンジョンに置くしか無い。 亜人じゃ無ければギルドに保護もお願いする所だけど」
ですよねー。
「貴方、名前は?」
「……ミーシャ……ミーシャ・レインスペード」
「どうします? 一緒に来ますか?」
ルナには、他の奴隷の人達を外へと連れ出して貰い、私はミーシャの前にしゃがみ出来るだけ優しい声で問いかける。
「でも、私、亜人だよ?」
「別に良いですよ。 亜人かどうかとかは私には関係ないので」
「じゃ、じゃあ、お姉ちゃん達について行きたい……です」
「そうですか。 じゃあ、帰りましょっか」
私は、ミーシャの手を握り外へと向かった。
「お姉ちゃん達、ありがとう!!」
「この度は助けて頂いてありがとうございます」
「このお礼はいつか必ず」
「ああ、良いですよお礼なんて。 報酬はきちんと貰いますから」
私は、ルナに目を向けジュルリと涎を垂らす。
「ユキネ? 顔、凄いことになってるよ?」
おっと、いけないいけない。女の子がしては行けない顔をしてしまいました。
「どっと、疲れましたね……帰りましょうか」
「だね」
「どこに帰るの?」
私はミーシャを抱き抱え、グリムに通信を繋ぎ扉を開けて貰いルナベル大深層へと帰還した。
その後、ルナベル大深層にはルナの叫び声が鳴り響いたと言う。
NEWメンバー
ミーシャ・レインスペード
レベル 1
ランク 無し
所有スキル
「交換&譲渡」




