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ガルドアヴィ邸 ー廊下ー

 粉雪を固めた様な漆喰の壁、黒曜石のタイルに赤銅色の絨毯が無限の如く錯視する廊下は動作する物を拒む様に静寂に燃える。

 ただガスランプだけがこの固定された空間で一種、動作する事が許されているかの様に橙色に揺蕩う。

 そして『キツネの子』も何故かこの空間にいる事が許されていた。


「今日の会場はどちらなんだい? 兄弟」


 重厚な廊下を路地裏を歩む様にナイフをクルクルと手持ち無沙汰に遊ばせながらカイは隣を歩くアレフに聞いた。


「本日はガルドアヴィ邸、第五応接間となっております。おぼっちゃま」

「第五ってどれだけあるんだよ」


 何も変わらず終わりも見えない廊下を歩く二人。

 カイはただ歩く事にも飽き、おもむろにガスランプを通り越しザマに叩く遊びを実践する。


「……てか、なんでガスランプなんだろうなぁ。ガルドアヴィって魔法使えるんだろ? 」

「王国一の貴族は王国一の変人って事だろ、噂じゃあ魔法が嫌いらしいぜ」

「ふーん。貴族ってのはよくわかんねぇな」

「……あぁ、そうだな。警備魔法すらかけてないし」

「気にいらねぇよなぁ、強盗なんて来るはずないってタカを括っている傲慢な野郎だぜ、きっと」


 まだまだ続く廊下、使用人の一人とも出会わない。

 カイがガスランプを叩く拍子に発する音につられて廊下も伸びていっているのではないかとすら思える程に。

 次第に口数も減り、カイもガスランプを叩くのも飽きた様だ。

 二人の足音のみが静寂を破る。

 ふとガスランプの下に男が立っているのが見えた。

 男は執事みたいだ。

 ただ指示を待つ様に、姿勢を伸ばし後ろ手に腕を組んでいた。

 男と目が合うと軽く会釈された。

 盗賊を客人だと勘違いしたのだと哀れな執事にほくそ笑む二人。


「今日って何人だっけ? 」

「6人さ。あと5人になったな」


 二人は獲物を確保する準備をしながら執事に近づく。

 執事と対峙した。

 執事は改めて深い会釈をしる。

 そして、客人が漸く来たかの様に慇懃に用件を伝えだした。


 「キツネの子のカイとアレフ様。我が主人ガルドアヴィが御二方との対話を所望しております。御同行願えますでしょうか?」


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