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グラン&グルメ~器用貧乏な転生勇者が始める辺境スローライフ~  作者: えりまし圭多
第八章

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ギルド長トリオ

誤字報告、感想、ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。

「うむ、Aランクの冒険者が二人行方不明になり、現場にいた騎士隊と他のAランクの冒険者が強制的に冒険者ギルドに転移させられた。その転移先が冒険者ギルドのロビー、通常は転移魔法では直接転移できない場所への転移ということもあり、緊急事態と見てたまたま王都に来ていたルチャルトラとピエモンのギルド長にも同行してもらった。ドリー達はギルドで事情聴取中、騎士団は――……少し、いやすごく騒がしかったが一度本部に戻ってもらった」


「話を聞いてどうなってることかと思ったが、沌の源は上手いこと解決できたようだな。ふむ、なかなかやるではないか、さすがだな。それから、食事を感謝する。王都に到着するなり報告を聞いて、こちらに向かったのでちょうど腹が減ってきたところだった」


「なんかだよくわからないが、通りすがりのベーに拉致されて王都に連れてこられた上に、アベルグラン捜索隊に組み込まれただけなのだが、念のためマジックバッグに入れてた膨張式ボートが役に立ったぜ。ところでここって、俺の持っている情報によると関係者以外入るとやべー場所じゃなかったか? アベルとハンクは元々そっち側だからセーフかもしれないが……ベーも強引にセーフだろうなぁ。俺とグランはアウトだと思うんだけど大丈夫なのか? あとそこの謎の亀も。それにしても新しいダンジョンで食べる焼き魚は格別だなぁ……もてなし感謝する。ってそうじゃねーだろ! 王都の地下に海に沈んだ町のダンジョンがあるって初耳だぞ!? ていうかなんで呑気に魚焼いて食ってるんだ! しかもグランは進行形で釣りまくってるし、アベルはいつの間にか寝てる!! もっと緊張感を持てよおおおお!! くそぉ……グランは相変わらず料理が美味いなぁ。そういえば前に貰ったカレーコロッケってやつは超美味かったな」


「カッ!? カカカッカーッ!! カカッカッカッ!!」


「お? なんだその亀、お前もカレーが好きなのか? カレーは美味いよなぁ、毎日でも食いたくなる。しかし、人間の料理の味がわかる亀なんて珍しいな。さては、グランの仕業だな?」


「む? 亀のくせに毎日美味いものを食ってそうだな」


「フッ」


「これは俺のただの勘だがこの亀はただの亀ではないな。一度勝負を――」


「カァ?」


「はいはいはいはいはいー、カメ君はちょっと普通の亀と違って色々できるすごい亀だけど、一応ただの亀さんなんでギルド長と勝負はちょっとお断りかなー。うちの可愛いカメ君が怪我をしたらいけないからねー。ってカメ君、張り切らないで! ていうかアベルはなんで寝てるんだよ!!」



 相変わらず俺達は水から突き出している鐘塔の上。

 あまり広くないその場所にデカイリザードマン、マッチョなおっさん、細マッチョ二人、ヒョロヒョロ一人とちっこい亀が詰め込まれているせいでとても狭い。そして暑苦しい。

 その狭い場所に携帯用コンロを出して、魚を焼いているので熱気ムンムン、煙もくもく。

 くそぉ、ベテルギウスギルド長は火耐性が高そうだから暑さに強そうでいいなぁ。というかこの赤いリザードマンを見ているだけで暑くなってくる気がする。

 ギルド長が三人もいて俺はめちゃくちゃ緊張しているのだが、アベルは疲れているのか鐘塔の柱に寄りかかってウトウトし始めている。

 そのままカクンといって下に落ちそうでこわいな。

 というかこの三人ものすごく気安い空気を出して、時々じゃれ合っているけれどギルド長仲良し三人組か!?



「ふむぅ……二人の話を纏めると、超再生力を持った正体不明の生物の使った転移魔法を回避した後それを追ってここまで来たと。そして、ここが今回の発端である沌の魔力の発生源だったと特定。それでその正体不明の生物を倒すと浄化されてこのような空間になったと。うむ、確かに辻褄は合っている気がするな」

 今回の件は先ほどアベルと口裏を合わせた内容で、アベルがギルド長達に説明をしてくれた。

 そしてその説明が終わったところで気が抜けてしまったのか、アベルがウトウトし始めてしまった。

 うおぉい!? こんなところで寝るなよおおおおお!!


 アベルがウトウトしているうちに魚が焼き上がり、ギルド長達はそれをもりもりと食べながらここに来た経緯を話してくれた。

 すみません、お手数をおかけいたします。

 帰りはバルダーナギルド長の乗ってきたボートに乗せて連れて帰ってください。

 普通の人間の俺には水の上をピョンピョン移動するとか、泳いで帰るとか無理なので、船に乗せてくださいお願いします。

 というかその膨張式ボートかっこいいすね!! 今度ギルドにカレーコロッケの差し入れを持っていくので詳しく見せてください!!


 で、和気藹々と焼き魚パーティーの流れになると思ったら、アベルとバッチリ口裏を合わせた状況説明に、王都冒険者ギルド長のハンブルクが何となく腑に落ちない風に首を捻っている。

 この人なぁ……めちゃくちゃ強いだけではなく勘も鋭いんだよなぁ。そりゃあもぉ、野生児ハーフエルフのカリュオンといい勝負かそれ以上じゃないかってくらい。

 その上、頭も切れる。

 さすが大国ユーラティアで一番大きな冒険者ギルドの長を長年勤めているだけはある。

 過去にも散々、アベルとやらかした隠蔽工作を見抜かれまくっているから、内心ハラハラドキドキである。

 しかも今回は更に二ギルド長追加状態。そんな状況なのにアベルがスヤァとしてしまった。

 俺もスヤァとしたらダメかな? さっきまで頑張っていたねむいねむいのデバフさんはどこにいったのーーーー!!


「うむ、表に出すには差し障りがなさすぎな、わかりやすすぎる良報告だな。だが、綺麗に纏まりすぎた話で逆に気になる。して、ここで見てはいけないナニカを見たのか? それとその亀は役に立ったか?」

 うおおおおおおおおお、ベテルギウスギルド長おおおおおおお!!

 やだ……その鋭い眼光めちゃくちゃ恐いっす。

 リザードマンってだけで迫力があるのに、ベテルギウスは更にそれに加えて貫禄と迫力がある。

 もしかしてベテルギウスギルド長も知っている方の方なんですかね。ルチャルトラのギルド長が、どうして王都の秘密を知っている側なんでしょう!?

 ていうか、カメ君はただの亀さんですよ~!!


「あ、それは俺が聞いたらまずいやつじゃね? 表向きは遺跡といわれている王都地下の謎の空間の存在は、その詳細までは俺も小耳に挟んだ程度しか知らないというか、詳細は知ったらいけないやつってのは知っているから、俺は何も知らないし聞かない! いいか、話すなら俺は耳栓をするぞ! もしかしてグランはその知ったらいけないやつを見ちまったのか? ほほぉ……つまり、見てしまったからアベルと口裏を合わせているのか? その亀は最近よく連れているちょっと変わった亀だよな?」

 バルダーナギルド長は知らない側の人? でも何かしら情報は持っていそうだよね?

 めっちゃすっとぼけているけれど知っているやつですよね!?

 その反応からして、やっぱ知ったらいけないやつじゃないですかーーーー!!

 それと、どさくさで核心を突いてくるのやめてくれませんかね。

 カメ君はただの亀さんなんだってば!!


「カメェ?」

「ええと、だいたいはアベルが説明した通りかな?」

 カメ君と一緒にすっとぼけておこう。


「アベルに口止めをされているのかもしれないが、安心しろ我々もだいたい知っている側だから隠す必要はない。王都の安全のこともあるので話してくれないか?」

 そうだよなぁ、ハンブルクギルド長の言う通り王都の安全に関わることだからなぁ。

 カメ君とヴァなんとかさん以外のことは話しておいた方がいいかもしれないな。報告書を書く時にもう一度アベルと話し合って辻褄を合わせよう。

 それから、みんなを戻したのはアベルの転移魔法なのも内緒だな。


 アベルはウトウトどころか完全に爆睡しているし、俺一人でちゃんと説明できるかな。




お読みいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
ピエモンギルド長のグラン感…王都ギルド長は瞬間移動出来るから実質アベルですね!(
[良い点] アベルさんウトウト…可愛いw てか、ギルド長ズ!ってか、ベルさん!べーさん?さすが!もう色々話すしかなさそう?そして、ベルさんも、べーさんも、どっちも可愛いし呼びやすいですね!似合わないけ…
[良い点] うーんカオス。相変わらず場面に映るキャラクターが増えると、それが誰であれ相乗効果でカオス度が上がっていくんだよなあ。 ギルド長ズは一人を除いて若干天然感があるのもそれに拍車をかけているよ…
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