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グラン&グルメ~器用貧乏な転生勇者が始める辺境スローライフ~  作者: えりまし圭多
第六章

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きっと大団円

誤字報告、感想、ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。

「すごい、ホントに無傷だわ」


 おい、家の中で攻撃魔法を使うな!


「これは生命の神秘……いえ、エルフの神秘ですわ」


 いや、それはギフトの神秘じゃないかな?


「水鏡越しでもおもしろかったですけどぉ、実物はもっとおもしろいですねぇ」


 現場はおもしろいよりも大混乱になるけどな!


「ホホォ?」


 毛玉ちゃん、その人めちゃくちゃ硬いから少しつついたくらいじゃ無傷だよ。不思議そうに首がクルクルまわっているのは可愛いけど。

 そしてフローラちゃんまで室内にやってきて、興味深そうにカリュオンを観察している。そのお兄さんは変な人だから、やることを真似しちゃダメだよ。


「客人をあまり困らせるんじゃないぞ」


 心配するな、カリュオンは多分楽しんでいる。なんだ、三姉妹がみんなカリュオンの方にいって、番人様は寂しいのか?


「ははは、ちびっ子三人とフクロウと花くらいなら全く問題ないぞぉ~。ちょっとその謎の植物とフクロウッ子のクチバシはチクチクするけど?」

 

 このバケツの中身、すっかり馴染んでやがる。正月に実家に帰ってきて、姪っ子と戯れるマッチョなお兄さんかな?

 あれ? 正月ってなんだ? アーーーーッ! 転生開花ーーーーー!!



 長いダンジョン生活からの帰還。久しぶりの我が家。

 その我が家のリビングでは、バケツを脱いだカリュオンが長いソファーの真ん中にドンと座り、その左右には珍妙な客人にハイテンションの幼女達。

 肩の上には毛玉ちゃん、ソファーの後ろにはフローラちゃん、カリュオン大人気だな!?

 そして向かい側のソファーに座って、その光景をじっとりと湿度高めの視線で見守るラト。

 あきらめろ、三姉妹は子供ではないが子供は珍妙なお客様が好きなもんだ。そしてカリュオンは超陽キャで子供や動物に好かれるタイプなんだ。あきらめて今日の子守りはカリュオンに任せておけ。





 ルチャルトラでカメ君と別れ、ついに帰って来た我が家。

 少しずつ日が長くなるこの季節、まだまだ外は明るい。

 俺達の様子を遠見の魔道具で見ていたのか、アベルの転移魔法で家の前に戻って来ると、ラトと三姉妹と毛玉ちゃん、それからフローラちゃんが出迎えてくれた。


 ただいま!!


 俺がここに連れてきた客人は、キルシェとアリシアに次いで三人目かな?

 客が来るだけでも珍しいのに、ハーフエルフでおもしろタンクで挙動も普通じゃない珍客となれば、三姉妹達がおもしろがるのも不思議ではない。

 カリュオンもカリュオンで、突然の幼女三人に謎の男、そして普通より大きなフクロウや動く植物に驚くどころか「やっぱグラン御殿だなー」と謎の納得をして、そのまま馴染んでしまった。

 深く追求しないで納得してくれるのは助かるのだが、その納得のしかたは微妙に異議がある。


 そして装備を脱いでリビングでのんびり。

 あああああああーーー、やっぱり我が家! 安心の安心の安心!!

 ドリーのとこのお屋敷も安全ではあったが、やはりお貴族様のお屋敷は緊張をしてしまい少し気疲れをした。

 何も気を使わなくていいし、だいたい安全な我が家最高!!

 アベルもどこからともなく高そうなティーセットを出してきて、一人でゴージャスなティータイムを始めている。


「はー、やっぱり自宅が一番だよね」

 アベルよ、ここは俺の自宅だ。

「グラン御殿は想像以上にグラン御殿だったなー。絶対ナニカがいると思ってたけど、斜め上向きすぎたなー。どうも、一晩お世話になります」

「うむ、苦しゅうない。ゆっくりしていけ」

 俺の家なのに俺よりも先にラトが返事をしているぞ!?

 さすが野生児系ハーフエルフのカリュオン、ラトと三姉妹が人ならざる者ということには気付いているようだ。

 あれ? フローラちゃんどこにいくの? あ、お茶とお菓子? さすが気が利くね。

 でもそのバケツの中身、あったらあっただけ食べるから気を使わなくていいよ。それについさっきまで海岸でティータイムをしてたし?


「ホーッ! ホッ!? ホォー…………」

 俺もソファーに座って毛玉ちゃんが俺の肩の上に飛んで来て肩と首筋に頭を擦りつけた後、すぐにカリュオンのところに戻っていって、こちらを見ながらカリュオンの髪の毛をつついている。

 あ、そういえばさっきセファラポッドを投げつけられたから、生臭かったかも? 夕食の支度をする前に風呂に入ってくるか。

「久しぶりの家は落ち着きすぎて、座ってしまうと動きたくなくなるな。よっと、ひとっ風呂浴びたら夕食の準備をしようかな」

 とりあえず生臭いのは嫌だから風呂だ風呂。ソファーから立ち上がると、三姉妹の注意がカリュオンから俺に移った。


「ご飯! 久しぶりに作り置きじゃないグランの料理が食べられますわ」

「ひと月も過ぎてないのに不思議ね。ずいぶん久しぶりに感じるわ」

「できたてをそのまま保存しておくことができてもぉ、やっぱりできたてが一番ですぅ」

「おう、風呂から出たら張り切って夕飯を作るぞー」

 野営用の携帯調理器具でも料理はできるが、やはり広々とした自宅のキッチンの方が圧倒的に作業もしやすいし、美味しく作れる気がする。

 ふふーん、今日は何にしようかなー?

 久しぶりの我が家、暫くのんびり、やりたいことがたくさんあるぞー!!









「ふんふんふふんふ~ん」

 ひとっ風呂浴びてスッキリした後は、キッチンで夕食の支度。

 今日の夕食はカリュオンがカメ君にもらっていたブリっぽい魚かな? 捌いてみたけれどだいたいブリっぽいな?

 いや、少し小振りだから……ええとなんだっけブリの小さいやつ。あ、やめとこ、転生開花の反動もくるし、これは深く考えたらいけないやつな気がする。

 セファラポッドと謎の二枚貝は下準備もしないといけないし、明日以降だな。というわけで今日はブリッ!!

 


 ブリは内臓を傷つけないように丁寧に捌かないとな。こんなとこでも解体スキルは役に立つのだ。

 獲れたて新鮮だしブリならきっと刺身にしても許されるやつだ。しかしあまり大きくないので作るものは限られてくるな。

 刺身の他に照り焼きか、ブリご飯か、ブリ大……ブリララパラゴラか。どうせ刺身はみんな食べないだろうし、俺の分だけ確保してこっそり食べよう。

 俺の好みでいくと照り焼きかなぁ。照り焼きとブリご飯のおにぎりにしよう。おにぎりは醤油を塗って軽くあぶって、出汁をかけて食べてもいいな。


 そして頭……とりあえず適当な鍋に試しに入れてみたが、鍋から魚の頭が生えているみたいでシュールなことになった。

 このままオーブンで兜焼きにして皿にドンッて載せて出したらダメかな? カリュオンは喜びそうだが、他には不評そうだな。

 頭は食べやすいサイズにカットして野菜を足してアラ汁にするか。アベルとラトには特別サービスで目の部分入れてやろう。


 これだけではもちろん足りないので、唐揚げを追加しておくか。アベルもラトも三姉妹も唐揚げがあればだいたい納得する。

 む? 全体的に茶色いな? 醤油を使った料理を中心にすると茶色っぽくなりやすいんだよな。

 そういえば食材ダンジョンでゴマを手に入れていたな。亀島にいるうちに乾燥させたのもあるし、スピッチョの胡麻和えにしよう。これならほんのりとした甘味と香ばしさもあるからアベルも平気だろう。

 スピッチョを使うついでに、スピッチョ入り卵焼きも作っておくか。

 今日はカリュオンがいるからなー、いつもより多めに用意しないと食卓が蹂躙されてしまう。今日は朝練で暴れただけだからいつもよりましか?

 ……マグカップ蒸しとエビフライも追加しておこ。それからデザートはプリンでいいか。


 よし、これだけあれば足りるかな?

 料理が完成する頃には外はすっかり薄暗くなっていた。

 配膳台に料理を載せて食堂にいくと、三姉妹達がお茶やカトラリーを用意してくれていて、アベルとラトが何やら睨み合っている。どうせまたしょうもないことで煽り合っているのだろう。

 あー、この雰囲気、帰って来たって感じ。


「はいはい、夕飯ですよー。料理を並べるのを手伝ってくれた人にはデザートが増えるよー」

「あ、スピッチョがある。俺はできるだけ少ないやつがいい」

「唐揚げの皿は私の前に置こう」

「いや、俺の前でもいいぞぉ」

「はいはい、唐揚げの皿は三つあるからな、均等に置こうな。スープはこれとこれがアベルとラトのな、一番美味しい部位だよ」

「え、ホント? ひっ、スープの中に魚の目があるよ!!」

 賑やかな食卓、順々に料理の皿をまわしていく。


「あれ? その取り皿はグランの前だけですの?」

「あ……」

 ウルに言われて我に返る。ついくせで俺の場所に小さな皿を置いてしまった。

 そうだ、今日からカメ君はいないんだった。

「あー、間違えた。この皿は片付けておこう」

「グランは相変わらずうっかりさんねー」

 ヴェルの言う通り、ホントにうっかり。短い間だったけれど、それくらいカメ君のいる食卓が、俺の中で当たり前になっていた。

 ただただ寂しさを感じながら、出してしまった小さな皿を手に取り配膳台へと戻すため、テーブルに背を向けた。


「カッ!!」


 あー、寂しすぎてカメ君の声が聞こえた気がする。

「は?」

「おぉっとぉ!?」

「なっ?」

 アベルのとぼけた声、カリュオンの楽しそうな声、ラトの驚いた声。


「あらぁ? あらあらぁ~? このカメさん、ラトの結界を抜けて来ましたよぉ? すごいですねぇ?」

 え? クルの声にテーブルを振り返ると、すっかり見慣れてしまった海の色。


「カーーーーーーッ!!」

「なぁにが"寂しがってると思って会いに来たカメ~"だ! さっき別れたばかりなのに寂しいわけないでしょ!! ご飯食べに来ただけだよね!? チビカメのくせに転移魔法なんて生意気だね!! それにどうやってここがわかったの!? 来るの早すぎるよ!!」

「ケーーーッ!!」

「いたっ! 氷!? もしかして家の中を濡らさない気遣い!? 相変わらず気が利くわりにむかつくカメだね!!」


 俺がつい小皿を出してしまった場所にカメ君。

 最近すっかり見慣れたこのアベルとカメ君の仲良しコンビ。


 そっか~、会いに来るってアピールしていたもんな~。そっか~、来ちゃったか~、仕方ないなぁ~。


「いらっしゃい、カメ君」


 一度配膳台に戻した小皿を再び俺の席の横に置いた。






お読みいただき、ありがとうございました。


※次更新は一月四日の予定です。

今年一年ありがとうございました! 来年もまたよろしくお願いしいたします!

それでは皆様良いお年を!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] うわー寂しかったからカメくん会いに来てくれて読者だけど嬉しい! 頻繁に会いに来て欲しい。
[良い点] さすが、カメ君。皆の期待を裏切らないw カメ君はカメ君のままでしたねw [一言] 作者様も皆様も良いお年をお迎え下さいませ。
[良い点] カメ君海水をひとっ風呂浴びてきたみたいになってるw [一言] ラトはカメ君のことサクっと見抜いてそう。 来年の更新も楽しみにしてます!
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