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グラン&グルメ~器用貧乏な転生勇者が始める辺境スローライフ~  作者: えりまし圭多
第十二章

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サックサクのあっつあつ

誤字報告、感想、ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。

「ちょっと、グラン! 病み上がりなんだから大人しくしておいてよね! いい? 俺が帰ってくるまで絶対に大人しくしといてよね! グランの料理は食べたいけど、無理はダメだからね!!」


 と、自分も病み上がりで無理は禁物なアベルがめちゃくちゃ捲し立てた後、カリュオンを伴って王都にある実家に回復報告へ転移していった。


「ゲーゲーゲーゲーッ!!」


 トカゲ語はわからないけれど、サラマ君もめちゃくちゃ何かを訴えるように捲し立てて出かけていった。


「グランさんが目を覚まして安心したので、僕はそろそろ学校に帰る準備をします。あ、でもその前に夏休みの宿題を終わらせなきゃ!」


 そう、もう夏の終わり。ジュストの夏休みも終わる頃。

 俺が眠っている間に、月は地の月から沌の月――八月から九月へと変わっていた。

 八月の終わりには寮に戻る予定だったジュストだが、俺のことが心配で帰寮を遅らせたらしい。


 交通事情があまり良くない今世、予定通りに予定の場所に到着することの方が難しいため、多少の予定の遅れは致し方なしとされる。ジュストの学校もそうということ。

 それでもあまりのんびりしていると勉強が遅れるので、明後日にはアベルの転移魔法で学校と寮のあるオルタ・クルイローまで送っていく予定だ。


 そんなジュストだが、俺が寝ている間はまだうちにいるからと夏休みの宿題を先延ばしにしていたようで今日はスーパー宿題消化デーらしい。

 普段は真面目なジュストだが、そういう面を見るとやはり年相応で安心をする。


「夕方には戻ってくる」

「だいぶん回復をしたようですけど、あまり無理は禁物ですわ」

「いい? 私達が帰ってくるまで良い子でお留守番をしておくのよ?」

「チビッ子さん達はグランのことをお願いしますよぉ」


 と、ラトと三姉妹は森へ。

 幼女達がお姉さんオーラを出しているのが可愛い。

 転生開花の中には以前の俺が出会った三姉妹の記憶もあるが、今の俺にとってはやっぱり可愛い幼女なので、大昔の記憶は転生開花の奥底に沈めておこう。


 これが朝食後の出来事。

 そして残ったのは俺とカメ君と苔玉ちゃんと焦げ茶ちゃん。


 やだなぁ~、そんな目を光らせなくても病み上がりだから、大人しく家のことをしているよ。

 いてっ! いきなり氷とか木の実とか石ころとか投げつけないで!


 え? 病み上がりだからあまり動き回るなって心配してくれてるの? 

 もうだいたい元気なんだけどなぁ、みんな心配症……いてっ!

 わかった、わかったから! 色々投げつけないで!


 じゃあ今日は休み休み料理をするくらいにしておくよ。

 ジュストが明後日には寮に帰るらしいし、今日の夕飯は気合いを入れて作るか。

 うんうん、無理はしないためにもチビッ子達にも手伝ってもらうことにするよ。



 というわけで今夜はサンマ!



 俺がアベルに詰め寄られたように、カメ君もチビッ子仲間に詰め寄られてサンマをたくさん提供してくれたからね。

 追加で苔玉ちゃんがキノコをたくさんくれたし張り切っちゃうぞぉ!!


 サンマといえばやっぱり塩焼きが鉄板ではあると思う。

 思うのだが、それ以外にも美味しい食べ方はいくらでもある。


 ならば見せてやろうじゃないか、パワーアップした転生開花の本気をというものを!


 カメ君がくれたサンマに苔玉ちゃんがくれたキノコに加え、俺が眠っている間に見舞いにきてくれた者もいたようで、彼らが置いていった手土産もあった。

 ドリュアスの長老ミッシィアニエルと変態ドリュアスのイクリプスから秋の気配を感じる山菜やハーブが、家の改装をしてくれたペッホ族からは魔物の骨粉を原材料に加えて作られた真っ白な陶器の食器が、モールからは魔法銀で作られたカトラリーのセットが、ドワーフからは金属製のマグカップセットが、毛玉ちゃんからは森の奥に住む珍しいヘビが、そして勝手に家に出入りしていると思われる妖精達がこっそり置いていったと思われる果物や木の実や妖精の酒も。

 それからパッセロ商会からも、薬湯の詰め合わせをキルシェが届けてくれていた。

 

 それはみな、俺がこの家に越してきてからできた縁。

 まだ二年にも届かない短い時間だというのに気付けばたくさんの縁が繋がって、こうしてたくさん心配してもらえているのは本当に嬉しくて幸せなことだ。


 このお礼はちゃんとしないといけないな。

 だから今日はたくさん料理をするぞ!!


 いてっ! だから氷とか木の実とか小石をぶつけるのはやめて!!



 カメ君の提供してくれたサンマは、それはもうすっごい量。

 とてもじゃないが今夜の夕食だけで消費できる量じゃないし、全部うちで消費しようと思うとずっとサンマのターンになりそうなので、サンマは美味しく料理をしてお見舞いをくれたみんなにお裾分けしようと思うけど、いいよね?

 うんうん、美味しいサンマを食べたらみんなカメ君に大感謝をして、カメ君のファンが増えるかもしれないね。

 ここは内陸部だから新鮮な海の魚はまず流通しないし、もしあったとしても庶民には手が出せないくらい高額だからね。

 森の中で外部と関わらず生活している者ならなおさら海の魚は珍しくて虜になるかもね。


 じゃあまずはお裾分け用のメニューからいこうか。

 ふふふ、作っているうちに食べたくなると思うから味見を兼ねてお昼ご飯もそれにしようか。


 作り方は簡単。

 三枚におろし骨もはらわたも皮も取り除いたものを更に一口サイズくらいに切って水気を拭き取り、それらの両面に塩と胡椒を軽く振って片栗粉をまぶしてフライパンでカラッとカリッと揚げ焼きにするだけ。

 そしてそこにリュネ干しの果肉を包丁の背でトントンと潰したものを添えるだけ。

 リュネ干しの果肉以外にもレモン汁でもいいし、すりおろしたララパラゴラと醤油でもいい。


 簡単サクサク、一口サイズで無限にパクパクいけちゃうんだよなあああ!!

 おかずというよりおつまみ感が強いけれど、これなら素手で摘まんで食べることもできるからお裾分けにちょうどいいだろう?

 揚げたてを収納スキルに入れて、できたてホカホカをお届けしよう。


 でもその前に――やっぱ誰かにあげるものはちゃんと品質チェックをしないといけないよなぁ!?

 品質チェック。そう、味見である。


 油を張ったフライパンでジュワアアアアアアアアアアッと揚げ焼きにしたものを、油切り用のバットに並べてしっかり油を切ってホッカホカサクサク。

 リュネ肉とレモンと用意して、最後に大根にそっくりなマンドレイクの亜種のララパラゴラをすりおろせば――。



 サクッ!


 サクッ! サクッ!! サクッ!!!


 サクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクッ!!



 とララパラゴラをすりおろし始めたところで背後から聞こえる軽快なサクサク音。


「キャメッ!」


「キョエッ!」


「モキュッ!」


 とチビッ子達のちょっぴり篭もった声。


 もう何が起こっているかなんて勘のいい俺はわかっているが、そこは冷静さを保ちながら声の方をゆっくりと振り向くと、視界に入ったのは予想通りの光景。

 キッチンの作業スペースの上にチョコンと座る青と緑と茶色。

 その前足の中には揚げたてサクサクのサンマがッ! しっかりとリュネ肉やレモン汁を付けて!

 そしてサクサク音と共に減っていくバッドに並べられたサンマの揚げ焼き。 


 こらああああああああああ!!

 つまみ食いって量じゃない勢いでつまみ食いをするんじゃなああああああい!!


「カメェ?」


「キエェ?」


「ズモォ?」


 可愛く首を傾げてダ……もう、しょうがないなぁ。

 そんな口の周りに色々付けながら可愛く首を傾げて、前足で親指を立てて美味しかったアピールをされると怒るなんてできないじゃないか。


 しょうがないから、俺もつまみ食いを始めよう。

 揚げ物は揚げたてが美味しいからしかたない。

 ジュストを仲間外れにするのは可哀想だからジュストも呼んでだな。もちろんフローラちゃんもだ。

 家にいない奴らには内緒だよ。


 それじゃあ作りながらスーパーサクサクつまみ食いタイムにしようか!

お読みいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
他はともかく妖精さんからのはお供え物な気がするのでグランは加護与えないとwwww
三匹からのツッコミ!w過保護なようで、グランさんやり過ぎちゃうからちょうど良い! つまみ食いじゃなくなってる!いつもの日常!w 沢山のお見舞い…グランさんの人徳ですね!
キャメッ!キャメッ! モキュッ!モキュッ! 秋刀魚を食べる苔玉…シュールwww
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