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 今日は世界格闘技の決勝戦、新進気鋭の大和翔と王者アレックス・ファレルの対戦だ。

 金網で囲まれた八角形のマットに、屈強な者が、体格が大きく違う相手を睨みつけ仁王立ちしていた。


 彼はライオンの様な髪型の190センチの大男で2度王座を勝ち取った王者のアレックス。右ストレート→左フック→右ローキックのライトニングコンビネーションは、わかっていても殆どの者は躱せない、そのまま打撃で倒れるか、受けきった後にタックルされ関節を取られるか、絞め技をくらい試合が決してしまう。王者の二文字がピシャリと合う、それがアレックスだ。

 片や半眼で少し下を見据え静かにその時を待つ若者は黒髪の細マッチョなイケメン175センチの日本人、空手、合気道、居合を修めたとか、古武術の宗家だとか、忍者の末裔だとか話題が尽きない。 


 発掘したのはアレックス、最高の場所で最高の試合をしようと誘い、強者と対峙したい欲求に抗えず今までの修行の成果を試してみたい翔16歳まだまだ少年の顔つきだ。

 観客席には格闘技ファン、色んな職業の人達が、日本人が、カケルに歓喜していた、もの凄い人気である。


 トータルファイトウォーリアの選考、予選から本戦の全ての試合をカケルは今まで1ラウンドKOで全勝し無双状態。

 今まで、修行と学業のみの真面目生活で、本戦開始前の特集では美人レポーターとの話はしどろもどろに答え、本戦の選手集合時には身体のラインがモロに出る水着を着たラウンドガールを直視して、固まってしまったりと、歳相応で素朴なところが観客にウケが良い、そんなカケルを見てアレックスからはリラックスしろよと茶化されていた。


 カケルのセコンドには、主宰の母体である空手会の有名どころが2人程、カケルの実力を認め、最後までサポートを買ってでた。


 会場は最大限に興奮状態、大晦日の役者は揃った、両者、全くダメージ無い状態でリングイン、レフェリーから注意事項を聞いたあと、青と赤の拳を軽く合わす。

 近代の格闘技の王者か古より続く武術か今夜、その答えが明かされる。

 お互い、間合いを切った、世紀の対決が今まさに始まる。


「ラウーンドワン、ファイ!」


『プッ・・・』

(ん〜気になるなぁ、このまま見たいけど!録画したやつ見るの明日の夕方?なんで無償で風邪でダウンした姉貴の代わりに婦人服の初売り支援なんぞしにいくんだろ、姉貴は気に入った店の子がいたら声かけろとか言ってたけど、爽やかに声かけて彼女ゲットして、リア充な今後とかは、奥手な俺に無理だろ・・・しゃあねー行くか。)

 一人愚痴りながら、俺はベージュ色のコートを着てアパートを後にした。

 スマホ片手に歩いていたが、思いの他、冷たい風がキツく両手をポケットに入れ、サミー、サミーと歩いていた。

 アレックスの、コンビネーションを俺ならこうやって躱す!とか謎な動きをしてカップルの笑いのネタになりながら、アパートから1キロ先のとある百貨店についた。


 ・・・終わった、福袋って誰が考えた?開梱、詰め込み、包装、移送、陳列、マジ疲れたよ、姉貴の同業者は綺麗な女性、可愛い女性ばかりで、初見は心弾むが、作業内容を聞いた後は事務的な話以外してねーし、休憩なんざ無いし・・・でも丸い眼鏡の黒髪のショートカットの子はほんわかの雰囲気で可愛いなぁ・・・会釈もしてくれたし・・・終わり次第、解散になったし・・・何も無し帰るか。


 眠気を我慢しながら黙々と帰路を急いだ。交差点に差し掛かったその時、「キ〜!ガシャン!」出会い頭で自転車と接触!足に衝撃が走る、ふらつき転倒し、途中で壁に頭をぶつける。俺は自転車とぶつかった。


「痛ッ!・・なんだ?車?いや、衝撃が軽い、自転車?頭から血?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・なんだかとても眠い、コレヤバイパターン?おかしい、痛みは・・・?

○トラッシュ僕なんだかとっても眠いんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「やっぱ天使は来なかったか・・・」俺は意識を失った・・・


 「・・・・すか?」

 ・・・声が聞こえる、聞き覚えのある声だ。

 「大丈夫ですか?立てますか?」

いや、ついさっき、確か自転車にぶつかって、その後、どっかに頭をぶつけた・・・⁈痛みが全くない、出血も。

 「ん〜?多分、大丈夫ぽい。ッて!ちょ!お前、ヤマトカケル!」

「試合はどうなったの?勝った?」

「どうやら、大丈夫みたいですね。そうです、大和翔です。お名前を伺ってよろしいでしょうか?」

「俺は楠木拓、クスキでもタクでも好きな様に言ってくれ!」

「無事の様ですね良かった、それではクスキさんと呼ばせていただきます、そして、申し訳ありませんが、神様が呼んでいますので、僕についてきて貰えますか?

「お、おう⁈今、神様って言った?」

「はい、神様が待ってるみたいです。」


 まったく状況が掴めないまま、カケルの後を追いかける。周りを見る一面真っ白な世界で硬い雲の上を歩いてる感じ。アレ?ひょっとしてここ天国?


「そうそう、僕の事をご存知の様子ですね、ありがとうございます。試合の結果でしたね、1ラウンドの残り15秒でお互いモノ凄い打ち合いをして、たまたま、僕の得意の間合いになった時、アレックスさんの胴に1発良いのがカウンター気味に入りそこからを起点に勝利する事が出来ました。紙一重ってこの事だと思いますよ。」

 「!!! アレックスに勝ったのかよ!しかも1ラウンド!新王座!チャンピオン!とりあえず握手して下さい!」

 「アハハ、ありがとうございます。僕はまだ16歳で高校1年生なので敬語なんて不用ですよ?」

 「カケルっていえば、今話題の人だぞ!俺は会えて嬉しいよ!」

「ありがとうございます、ですがすみません、僕もまだここの状況が掴めていません、スタッフさん達の打ち上げを断り帰宅して疲労困憊なので入浴後にすぐ床についたのですが、視界が突然白くなり、声が聞こえてきて神さまだと伺いました、なので声に従って歩いてます、途中で男が倒れているので一緒に連れてきてほしいとも、言われました。」

 「こんな何も無い所で声が聞こえきた?なんかの番組?スマホ持ってる?」

 「いえ、何も持っていません、僕も良くわかっていないんですよ何もない処なので・・・」

「そーなのか・・・あっ!そーいえば自転車?に当たったあと、よろけて頭を打ちつけて・・・アレ?痛くない、出血してない。⁇⁇」


確かに今どんな状況なのか良くわからないなぁ。

「おーい、おーい!こっち、こっち‼︎

二人とも、良くココに来てくれた!」


突然目の前に淡く光るお爺さんが語りかけてきた。


「どちら様?」

「神じゃ。」

「はぇ?神⁇さっきカケルも神さまとか言ってたけど、マジか!・・・ん〜って事はここはいわゆるあの世ですか?」

「まぁそんなところだ、これから君達はとある世界に行ってもらいたいんだよ。」

「ん〜俺はいいけど、カケルは駄目だろ、日本の超期待の星で、若い奴からお年寄りまで皆に愛されてる奴だ。」

「そんな、楠木さんも簡単に受けてはいけませんよ、御家族、御友人が帰るのを待っていますよ!」

「そこについては心配せずとも、地球の1秒がとある世界では100年程じゃ。行ってもらいたい世界で寿命を全うすれば、地球に帰れる。」

「なんだか調子の良い話ですねー?リスクとか裏話とかあるのでは?」

「お主は、クスキタクと言ったか、なかなか聡い。リスクは死が存在する事、地球と同じで良いモノも悪いモノもいる。裏話というか、本音はお前の救済とカケル君の器を限界以上を引き出し次元を超える者になる為の準備の場、二人とも次の世界は好きに過ごしても良いぞ。それがクスキの救済、カケルの次元超えとなる。」


「⁈ちょっーと、まった!この世に帰ってきたときは只、何事もなく、1秒弱たっただけで帰ってくるって事?二人分の人生を歩めって事?それとカケルは次元超え?俺の救済?」


「その通りじゃ、彗敏で助かる」

「では、異世界へと旅立つがよい」

 1人納得した神は両手を上げると、俺とカケルはゆっくりと光に包みこんだ。

「え〜⁈チート なスキルとか、神の道具とかは?しかも行きますって言って無い・・・」

『ピカーーーーーン』


2人は白い世界から消えると同時に神も微笑みながら消えて辺りは何も無い白い世界に包まれた。

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