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冷酷勇者と獣人少女。  作者: いぬはしり
一章 冷酷勇者と獣人少女
3/67

三 ドラゴンとの戦闘

 人々の声で騒がしい城下町を歩く。

 この城下町、この王国で勇者パーティは結成された。


 過去に、パーティのみんなと武器を買い漁ったり、つまらない雑用なんかもこなしていた。

 人々の喧騒の中、俺は少し物思いにふけた。


 魔王討伐パーティの仲間、パグラ、レーティ、イグノス、ヴィオセント、ラッタハットは王が直々に指名した、優秀な冒険家達だった。

 思想に違いはあれど、まあ、仲はよかったはずだ。


 同じ釜の飯を食い、同じ寝床で休みにつき、同じ敵を相手に戦っていた。

 ありあわせで出来た仲間モドキだが、退屈はしなかった。


 ……いや、そう思っていたのは俺だけかもしれない。

 パグラの言い分じゃ、そもそも俺はあまり好かれていなかったらしい。


 パーティの全員からそう思われていたんじゃあ仕方がない。

 誰にとやかく言われようと、俺のこの性格は変わらない。


(……考えるのはよそう。あの時から、俺とあいつらは仲間ではない)


 仲間ではない。ということは、次会う時は敵になるかもしれない。

 わざわざ変な情を湧かせる事もない。



 そしてしばらく経ち、景色は平野に変わった。

 こっから先は魔物が出る。だから、既に一般人の影は無くなっていた。

 それどころか、冒険家さえもいない。

 この平野にひとりぼっちだ。


 澄みきった遠い空を見上げ、感覚を研ぎ澄ませる。

 固有能力《空間把握》により、モフィラを探り当てる。


 じわ……じわ……と脳の内側が熱くなり、瞳孔が開く。

 そこから強烈なまでの光が入り込み、脳内で色が付いていく。


 と、その時。



 ぞわり、と。



 空気が冷たくなるのを感じ、意識を

 この感覚は……強大な魔物の気配だ。


 ふと、遠くから魔物の叫び声が聞こえてきた。

 その魂をも汚染するような禍々しい轟きには聞き覚えがあった。


 俺は急いでそこに走る。



「ギュアアアアアアアア!!!」



 やはり、そこにはドラゴンがいた。

 風をぶん殴るように紅い翼をはばたかせ、こちらをギロッと睨んでいる。


 そう思ったのもつかの間、奴が翼を勢いよくはばたかせば、突如辺り一面の大地がざくっと斬られた。

 どうやら、おもいっきり敵意があるようだ。


「驚いたな」


 まあ、()()()()だったら、一瞬で終わる。


 と、次に迫り来るは奴の爪だった。


(こういうデカブツ相手にはこれだ)


 その巨大な爪が俺にぶつかる。

 強大な暴力が俺の体の内に衝撃を巻き起こす。

 だが、ダメージは受けない。


 この衝撃を、()()する。


 そして、俺は意識を集中させた。


 ーー《弱点把握》。

 そこだ!


 俺は流れるように奴の頭へ飛び乗り、手を付ける。

 そして、さっきの蓄積した衝撃を、()()する!


 ーードオオォォォォンッ!!


 ぐわんとドラゴンの頭が揺れ、倒れた。


 俺は頭から下り、一仕事を終えたように溜め息を吐く。


(さて、こんな所にドラゴンなんているはずが……)


 倒れたドラゴンの死体を見る。

 こんな城の近くに、ドラゴンが住み着いてたのなら、国の者が気付くはずだ。

 さすがに気付かないほど無能ではあるまいし。


「……」


 このドラゴンをやったのは誰だと探されて、俺の現状を特定されたらめんどくさいな。

 だが、まあいい。とりあえず、この死体は置いていって、王国への警笛を鳴らしてやるか。

 


 再び、俺はモフィラを探すために《空間把握》を使用する。

 ギュンギュンと視界がズームされ、やがて、一つの森が目に入ってきた。

 さらに拡大、拡大。

 獣耳の子供達が木に登ってはしゃいでいる。間違いない、ここがモフィラだ。


 俺は視界を戻し、そこに足を運ぶことにした。

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