四 元勇者の二人旅、予告
「明日、王都へと向かう」
俺の声に、ラヴラは耳をピクリと反応させた。
「王都……?」
「ああ、お前用の武器を調達にな。俺の倉庫にはお前にあった武器が無いんだ」
霊脈を理解できたなら次は体術を教える予定だ。
と言っても、彼女に見合った戦い方、それに見合う武器がなんなのかは分からない。
そういう訳で、いっそ彼女が使いたい武器を王都で調達してしまう事にした。
それに、王都には少し用がある。
「僕、この剣でいいよ。わざわざそんな事しなくたって大丈夫」
そう言って、ラヴラは遠慮がちに腰元に付けてある剣に目を向ける。
とは言っても、おおよそ里の大人達用の武器を取ってきたんだろうその剣を使うには、まず背丈が追いついていない。
「いいんだ。これは言わば成長祝いだ、貰っておけ。俺からの祝品なんて滅多に受け取れるもんじゃないぞ」
そう言うと、ラヴラはちらっと俺の目を見上げた。
「仕事の方は大丈夫なの?」
「一日空いた所で、それほど損害が出る訳でもない」
「いいの……?」
「嫌か?」
ラヴラは首を横に振り、少し恥ずかしそうに言った。
「ありがとう」
そう言って尻尾を振る姿は、なんというか、やはり犬っぽい。
言葉にしたら怒るだろうなと思いつつも、俺は王都のある方へ目を向けた。
ざわりと、草木がなびいた。




