ヴォイヅェルトクラッシュ
「ナスタさんに実験協力要請ー!ヴォイヅ、スライム狩り手伝ってーー。っ!?ハーピィの雛!?ヤバっ!!可愛すぎ~~~」
ドア開ける前に勝手に開けて勝手に話し出したのは、クレアルージュだった。
助けて保護したハーピィの雛。
群れに帰すので名前は、つけない。
「母さんの用事の話以外は、明日話すよ。」
「そうして。クレアちゃん、私に用事って?」
「ニッキさん達が皿洗い用の完全無害の薬品が売れるっていうから実験協力お願いしようと思って、安全は、確かめてあるからよるに使ってもらいたいなぁーって」
「冒険者にも売れそうだな」
「ヴォイヅ、僕にヒントくれたの冒険者だからね。あれ?引退で元冒険者?」
「お皿洗い楽になるかしらー?」
「母さん。なぜ俺を見る?」
「あなたも、クレアちゃんみたいに生活に役立つ魔法を作ってちょうだい」
「ナスタさん、ヴォイヅには、無理だよー無理無理」
「クレアちゃんのいう通りね!」
これは、マズいとヴォイヅェルトは、思考を巡らせていく。
ヴォイヅェルトには、前世の記憶は、あるが生まれてから病院生活だった為に生活知識は、皆無だった。
しかも手伝わせたことがあるが壊滅的だった。
家事系のものは、クレアルージュが発案している。
魔法系の発案ならヴォイヅェルトが指示で形にしている。
ここでは、保存食の開発、再現をしているが料理は、外から入って来ている。
他の転生者が開発、再現しているのだろう。
ありがたいのは、ヴォイヅェルトの転生前に呼んだ小説の内容と違いスパイスが安い事である。
スパイスは、魔物避けになり、一度で量が取れるため流通しやすい。
例外としてハーピィや竜、龍、幻獣系、アンデッド系には、効かないらしい。
ハーブやキノコは、育てるノウハウがないため高い。
だが近いうちに転生者が育てるノウハウを生み出しそうである。
食が充実しているありがたい状況だった。
だがグリステン王国以外は、そうでもない。
グリステン王国は、冒険者が強い国のため盗賊が少なかった。
さらに他の国に比べて魔物が比較的に強い。
悪事を働きたくても難しい。
冒険者への依頼についてこの国では、金銭以外も可能な為、依頼しやすいのだろう。
ヴォイヅェルトは、貶されながら現実逃避に思考していた。
しかし限界は、あるもので膝から崩れ落ちた。
「心を鍛えるか……」
ヴォイヅェルトの切実な独り言だった。
「ぴぃ」
起きたハーピィの雛に慰められた。
ヴォイヅェルトは、現実逃避にソファーに座り、ハーピィの雛を膝に乗せてモフるのだった。
ハーピィの雛は、喜んでいた。