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未来を渇望するA

生まれてから16年

僕は、この大学病院の個室から見る世界と

画面ごしの世界しか知らなかった

 

家族には、恵まれたと思う

両親共に僕の為に在宅仕事にしたと兄から教えてもらった

両親には、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちもあったが

両親の深い愛情が何よりも嬉しかった

毎日交代で来てくれた


兄も姉も毎週2回は、必ず来てくれた

兄は、使い終わった教科書を持ってきて勉強を教えてくれたり

学校でのことや出来事や事件などを僕が羨ましく思わない程度に気を使いながら話してくれた

姉は、小説やDVDなどの病院内での楽しみを与えてくれ

病院で出来た友達が亡くなった時に一緒に泣いてくれた


父方祖父母は、近くに住んでいて可愛がってくれた

父方祖父母が相次いで亡くなった時に

可愛がってくれたにも関わらず両方とも葬儀にも出られず今もどこかで二人の死を受け入れてない自分がいた

母方祖父母は、父方祖父母が亡くなったあと家を買い取り近くにきた

そして可愛がってくれた


病気は、原因不明

助かる可能性にかけて被験者になりたいと両親と相談して

12歳で半モルモット状態になる

結果、治療費の大半が免除になった

14歳の時には、僕は、もう長くないと悟り主治医に相談

死後に解剖をしたいという病院の意思に了承した

家族には、『やめてくれ』と泣かれたが

僕みたいに苦しむ人の為に何かしたかった

ただ生まれて病院だけで過ごした人生に『意味』や『理由』が欲しかった


僕は、日に日に弱っていく中で死をすでに覚悟していた

15歳の誕生日には、すでに立ち上がれなくなり

本を読むこともすごく体力を使った

そして1日でも先の未来を望んだ


16歳の誕生日には、聴覚と視覚意外の感覚を失い動くことも出来なくなった


そして常に1秒先の未来を望んだ

まだいかている

まだ死にたくないと

感覚は、できていた

でも生きたいという願望がこころを浸食していた


気がつけば最近は、家族みんな揃っていた

感覚の亡くなった右手になぜか家族の温もりを感じた

みんな揃って泣いていた

生きていたかった

永く生きていたかった

愛されていることが幸せだった

家族と過ごせることが幸せだった

何かを残したかった

生まれた意味を知りたかった

自分の家に行って見たかった

父方祖父母をちゃんと見送りたかった

親孝行をしたかった

兄に気を使わせず話したかった

姉と出掛けて見たかった

母方祖父母に孫の死を見せたくなかった


『あぁ…死にたくないなぁ…』



そこで僕は、死んだはずだった

目を開けたとき僕は、普通に動けていた

白い空間に知らない人達がおり僕と同じ様に戸惑っていた

「「ようこそ!転生の間へ」」

そこには、光に包まれた2つのシルエットがあった

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