表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願望を抱いて転生を  作者: [装備]片栗粉(紙袋のヤツ)
クーベリカ村の日常
10/26

ヴォイヅェルトのデザインセンスは、泣ける

村で生まれた子供の中でもヴォイヅェルトとクレアルージュは、少し特殊過ぎて幼い頃は、孤立していた。 

才能がある分野のセンスが良すぎたためだ。

魔法の才能が高過ぎた為に幼くして違法奴隷商をボコボコにしたヴォイヅェルト。

錬金術と鑑定眼が大人並みで自力で錬金魔術にたどり着いたクレアルージュ。

才能を除けば普通の子供なので自重しない。結果、年上の子たちが自重させるために面倒を見始めたことで次第に馴染んだ。そして2人のストッパーになっていた。

そんな中、孤児院で始まった勉強会に2人が参加し始めたことで一番面倒を見ていたガーラントも参加して一気に広まった。

自重しない2人であるためなにも気にしなかっただけだろう。村で唯一、孤立していた孤児院であったが気がつけば馴染んでいる。

そしてヴォイヅェルトの新たな才能デザインセンスが判明した。よく見ればクレアルージュが身につけている小物は、すごいセンスが良かった。ヴォイヅェルトがデザインしていたらしい。

このことから何人かが開発に参加してストッパーや制作で動いている。更に孤児達には、いいバイト代になる。

出来上がった駒のラフデザインは、少し凝っていてガーラントは、引きつった笑顔で少しだけ訂正してもらった。完成品の破損を避ける為に省略し、一部金属部品を使うことにした。更に駒の裏に駒の種類を刻み分かりやすくするアイデアまでもらいデザイン兼設計図が書き上がった。あとは、加工しながら少しだけ手直ししたり打ち合わせするだけだ。

チェスの駒は、どれも彫刻でも通用する出来上がったりを目指す予定で作るので今から気が重い。木材加工職人は、若手総出で手伝うことになった為ガーラントが加工した駒を50組分作るのである。

チェスの駒は、一組32駒になる。それを白と黒16駒づつに分けてキングの駒を取り合う。縦横8マスで行う国取合戦だ。作る駒の総数は、キングとクイーンの駒が各100。ルーク、ビショップ、ナイトが各200。ポーンが800と作る量が多い。

しかもチェス盤も加工が必要だ。

更にリバーシもデザインができたら加工しなければならない。リバーシは、盤の両端に駒を置くスペースを作ってあるのでいいが、チェスは、更に駒をしまうケースも必要となる。

今回は、機能面での自重が必要無いためにデザインが自重していない。

ヴォイヅェルトの自重なしデザインに拍車がかかる。若手職人が駒を加工している間に駒をしまうケースまでデザインしていた。難しい加工では、ないが手間がかかる仕様だ。足りない材料も先にハイルに頼んあった為に逃げ道は、なかった。

それだけではない。盤の方も黒いマスは、縦の木目に対して横方向に木目を変える為彫って埋め込むようにした。少ない為に駒に使えなかった黒い色の木材を彫ってはめて行き最後には、平らに仕上げた。凹凸無い見事な仕上がりだ。ケースの方は、出来上がったものに裏はフェルトを張り表には皮を張った高級感ある逸品に。チェスの駒は、予定を変更して盤に嵌め込んだ木材の黒に近い色を黒い駒にだけ着色、全てに艶ありの塗装を施して盤を丁寧に布に巻いた。最後に駒の金物の取り付け、ケースの蓋側に駒の色を印字したら完成だ。

誰もがあまりの難題に無言のまま完成させたチェス。

達成感よりも解放感が強かった


「チェスは、あとは、ルールブックを作って終わりだ」


この言葉にガーラントをはじめ若手職人達が泣きながら喜び、声にならない声を上げていた。


「ヴォイヅ、僕が言うのもなんだけど………自重しようか」


クレアルージュすら同情していた。

 

「何いってんだ?まだリバーシがあるだろ?」


自重どころか鬼がいた。

死んだ魚の目をする職人達、引きつった笑顔の子供たち、頭を抱える仲間たち、お兄ちゃん大好きなフランシスカとプラムシリカですら「兄がごめんなさい」といいたげな顔をしていた。


しかし蓋を開けて見れば若手職人は、リバーシの盤は、焼きつけで線を引くだけなので石の部分をひたすら同じサイズの円状の板を作り黒く塗ったものと塗ってないものをを張り合わせるだけなので余裕がある様だ。

装飾もある程度自由なのでみんな楽しく作業していた。


クレアルージュが錬金術で加工した版画盤で1人もくもくとヴォイヅェルトは、ルールブックのページを量産している。


「もし後々職人が楽になることがわかっていた?」「きっちりやらなければならなかったチェスの駒のケースの作業を先に子供たちにさせて経験値を上げていた?」と考えに至ったジェスロ、アスカ、ガーラント、ハイルがクレアルージュを見た。クレアルージュが意味ありげにニヤッとしたのを見て渇いた笑い声が響いた。

 

今回、2人の手のひらの上で最初から踊らされていたと気がついてしまったらしい。彼らは、ぼったくりレベルの高値で強気に出たがすんなり売れた。

量産簡易盤のリバーシは、そこそこの値段で売ったがすんなり売れた。

因みにハイルの父アンソニーが代理で開発者のヴォイヅェルトとクレアルージュの名前を登録している。この世界の商人ギルドは、開発者登録も出来る仕様である。要は、特許申請である。2人は、まだ直接訪れた事がないため仮登録だが既に制作販売料がとんでもない金額になっている。そのため早く訪れてほしいと願われているが2人は、知らない。後に金額を聞いてフリーズすることになる。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ