蹂躙
人のみをもって修羅とかす【人修羅】は使い続けられる時間はそう長くはない。レイズの力をもってしても十分程度が限界だ。
だが、相手の人数もそう多い訳では無い。十分もあれば十分に倒しきれるはずだが、魔法という不確定要素がある以上楽観視は出来ない。
「さあ、かかってこい!一人残らずひねりつぶしてやる!」
「調子に乗ってんじゃないわよ!
前衛は総攻撃!後衛は詠唱!」
『はい!』
「そんな時間がもらえると思ってんじゃねえぞ!」
『水よ!【水園】!』
「【氷龍】」
相手の半分の人数がパーティの部でアインが使っていた【水園】を使う。
そしてアインはその水を利用して氷の龍を作り出した。
くしくも技の組み合わせはパーティの部の時と同じだったが、今回の氷龍は中まで氷で満たされており、尚且つ大きさも前回の比ではない。
「大きさだよりか?【土狗】纏え【炎装】【水爪】」
前衛を倒すために一匹の犬を土で作り、炎を纏わせ水の爪を作る。
「集え【小土狗】纏え【炎装】【水爪】」
土狗を小さくしたものを十匹ほど作り出し、こちらにも通常サイズと同じものをかける。
「いけ」
指示を出すと同時に十一匹の土狗は前衛へ向かって走り出した。
土で出来てはいるが、岩のように固いそれに前衛は苦戦した。
剣で切り裂こうにも硬すぎてまともに刃が通らず、逆にあちらの剣身が欠ける始末だ。
また、水で出来た爪を防ごうにも元が水で出来ているため簡単に通過してしまう。そのまま体にまで攻撃が届くため、防ぎようがない。
唯一倒せているのがアインの操る氷龍なのだが、土狗が小さいため倒すのが難しく、自分の味方と入り乱れているためまともに攻撃できなくなっていた。




