一回戦・第五試合
試合の開始と同時に駆け出したアイリスとユイは敵の本陣に向かっていた。
勿論索敵を欠かすことは無い。レイズに教わった事の一つである。
「ユイちゃん、向こうに敵の攻撃組がいるけど・・・どうする?」
「レイズに言われたのは敵の本陣を潰すことだけど、攻撃組を倒しちゃダメとは言われてないし・・・・・実力を試すためにも戦ってみようか」
「うん!」
「じゃあ、3、2、1で行くよ」
「分かった。魔法使うね!」
「3・・・2・・・1・・・行くよ!」
「【炎砲】【三重詠唱・風弾】」
敵のど真ん中に火の砲弾を撃ち込み、追い打ちをかける様に後衛に向かって風の球を撃った。
敵のタンクがいち早く魔法に気づき魔法は全て防がれたが、防御が完全に間に合っていたわけでは無いようで半分ほどHPは削れていた。
しかしタンクのHPは瞬く間に僧侶に回復されてしまった。
「いつの間に来やがった!でも、魔法使い一人だったら雑魚だろ!おら!」
タンクはその場を離れなかったが、剣士はアイリスが一人で来ていると思ったようだ。
「【炎園】」
アイリスは剣士の周囲を火の海へと変えた。
「くそ!意外とダメージ大きいな!ソウ、かいふ、く・・・」
剣士はダメージを負い、僧侶に回復を頼もうと後ろを向いた。
そして、驚きの光景に言葉を失った。
パーティのメンバーが自分を残して全員殺られていたのだ。
「なんでだ!お前は一人じゃなかったのか!」
アイリスの方へ振り向き、剣士は怒りの声を発した。
「何を言っているんですか?私、一人なんて一度も言ってませんけど。あなたが勝手にそう思っただけですよ。ではさようならです」
「なにをいって
その後の言葉は続かなかった。
「ユイちゃん先に行こうか」
「うん。こいつら全然強くなかったね」
「そうだね」




