パーティの部・決勝~ユキの思い~
早めの投稿です。
前半はユキ視点です。
私は強くないのは分かっていた。
以前から和にいとお兄さんに守られて育ってきた私は、この『OLO』でやっと二人の役に立てると思った。
でも違った。確かに和にいの方はクラン関係の仕事では助けになっているだろう。でも、それだけだ。お兄さんの助けには慣れていない。いや、お兄さんの助けになれる人なんていないのかもしれない。
何でもそつなくこなし、優しいお兄さんを私が助けるなんて、おこがましいのかもしれない。
だがそれでは駄目だ。今までと何にも変わらない。
この世界に来た時に決めたんだ。二人の役に立つって。
そのためにもこの勝負、負けるわけにはいけない。勝って、胸を張って二人の隣に立ちたい。勝って証明するんだ。二人の役に立てるって。
だから私は━━━━
「皆さん時間を稼いでください。大技いきます」
「「「「OK、リーダー」」」
━━━絶対に勝つんだ!
~レイズ視点~
ユキの魔法で決着をつけようとしているようだな。
ユキの魔法はこの『OLO』で一番強いと言われているらしい。
さっき戦ったアインの魔法よりも強いのならば、魔法の威力で勝つことは難しいだろう。
俺の魔法の威力はアインのとほとんど変わらないからな。そうすると手数で押すか、近距離で戦うしかないのだが近づくのも難しい。特に『防壁鉄心』のゴーレンが邪魔である。
他のメンバーもそうだが、一人一人がスキルに頼り切らずに戦えている分厄介である。
ゴーレンが俺とユキの間に入ってくるので、攻撃は届かないだろう。
『爆裂魔』のバーンの戦い方は独特だ。二つ名の通り爆弾を使っているんだが、遠近両用で少々戦いづらい。近づいて剣で攻撃してきたかと思うと剣が爆発し、すぐに離れて手榴弾のようなものを投げてくる。
『隠者』のユスートは気配の消し方が上手い。本気で警戒していないと見失いそうになる。しかし、ユスート一人に警戒し続けるわけにもいかず、時々見失ってしまう。攻撃のタイミングぎりぎりに殺気を感じ防いでいた。
『剣姫』のナナは恐らく剣道をやっているのだろう。剣を使っているのに振り方がおかしい。刀もわきにさしているので、使わないのではなく使えないのかもしれない。一定の条件下でしか使えない武器もあるようなので、持っていたとしても可笑しくない。
『聖者』のコスラーはずっと魔法を使っていた。回復のタイミングもうまく、攻撃が当たったとしてもすぐに回復されてしまった。
このままやってもジリ貧だな。少し本気を出すとするかな。
レイズは一人、ギアを一つ上に上げた。