弓聖対紅天使③
「くそ!」「戻るぞ」「急げ!」
盾役は、越えられると元の位置に戻ろうとするが、何も対策をしないレイズではない。
「【泥沼】そこで止まってろ」
盾役の進行方向に泥の沼を設置する。盾役以外ならすぐに越えることが出来た可能性があるが、盾役では無理だ。鎧の重さに盾の重さ。さらにAGLの低さも加わり、泥沼から抜け出そうとすればするほど、沼にはまっていってしまう。
「二人は泥沼の解除を頼む。私があいつとは一対一をする」
「「はい!」」
「おいおい。いいのか?六対一でも厳しそうだったのに、さしでやろうなんて。馬鹿なのか?」
「む。私は馬鹿ではない。それに、さしで勝てるなんて思ってはいない。私は時間稼ぎをするだけだ」
「へえ~。その余裕はいつまで続くかな?【炎の槍】【炎装:剣】」
炎の槍を数本放ち、剣に炎を纏わせる。
「なめるな!【二発撃】【三発撃】【四発撃】【五発撃】【彗星の一矢】」
二発、三発、四発、五発、と同時に矢を放っていき、残りの炎の槍が一本になったところで、今までの威力とはけた違いの矢が放たれた。
その矢は炎の槍を消し飛ばし、レイズに向かっていた。
「へえ。凄い威力だね。でも、足りないなぁ~」
レイズが剣を一振りすると、矢は縦に真っ二つに分かれた。
「なに!ちっ、くそっ!【彗星の一矢】【彗星の一矢】【彗星の一矢】【彗星の一矢】!」
四連続で放たれたが、結果は先程と同じ。いや、先程よりも酷いものとなった。矢は縦に、横に、と切られ、最後の一つは細切れにされた。
「な!?」
「夜々さん。救出終わりました!」
「すいません!今すぐ戻ります!」
「どうするのかな?まさか、この状態で俺に勝てるだなんて考えてないよね?」
「皆すまない。私たちの負けだ。降参する」
『夜々率いる野良パーティの降参により、勝者レイズ!』
「何でですか!夜々さん。私たちはまだ・・・」
「そうじゃないんだ。私のMP切れというのもあるが、あいつの足元を見てみろ。矢がいくつも落ちているだろ。あれ全部、【魔技】を使って撃ったやつなんだ。それが、全部あのざまだよ。このまま戦っても負けていただろうな」
こうして、弓聖と紅天使の勝負は決着を迎えた。
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『天才達は全てがゲームで決まる世界で無双するようですよ』
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