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決勝戦④
狙われるタイミングは和俊にも分かっていたのだろう。レイズが剣を振り抜こうとすると、和俊は突然剣から手を離した。さすがのレイズもこのタイミングで、剣から手を離すとは思ってもおらず、突然のことに驚きバックスッテプで和俊との間を取った。
「おいおい、試合中に剣から手を離したなんて親父さんに知られたりしたら、やばいんじゃないのか?」
「さすがの親父も、ゲーム内のことは分からないだろう。それに今は、お前に勝つために最善を尽くさなければならないしな、親父に怒られることなんか気にしてられねえよ」
「そうか、よ。おらっ!」
言葉を交わすとレイズは和俊の懐に潜り込み、剣を振り抜くふりをした。和俊は当然それを防ごうとする、しかし、レイズの剣は鞘にしまったままだった。
「隙を見せたな。これで終わりだ」
レイズはそう言うと、和俊の顎にアッパーカットを喰らわせた。
和俊は、そのアッパーで脳を揺らされたのか、白目をむき気絶し後ろ向きに倒れた。
「決勝戦勝者レイズ
これより、個人の部優勝レイズ」