準決勝第1試合②
2人の戦いは一進一退の攻防だった。キートは両手剣を使い一撃必殺とも言うような攻撃をし、和俊はそれを剣で受け流し、隙をつこうとする。
そのような戦いを続けていれば、どれだけ剣を上手く使おうともガタが来る。それが来たのは戦いを始めてから30分ほどしたときだった。2人の剣に亀裂が入ったのだ。
2人の剣は徐々に自壊していき、それから5分ほど経つと完全に壊れた。
剣が壊れた後はキートは魔法を使い始めた。それに対し、和俊は魔法を使えず、近づくことすら難しくなっている。それでも回りを走って、近づこうとはしているので諦めた訳ではないのだろう。次第にキートの顔は苦しい表情になっていく。おそらくMPが失くなってきたのだろう。
キートのMPは、前衛職にしては多いのだろうが、所詮は前衛。MPは特別多いわけでもない。魔力剣での大量のMP利用に加え、魔法の使用だ。そろそろ切れてきてもおかしくないし、必然とも言える。
このゲームでは、魔力切れと言う状態異常がある。魔力切れを起こした人は1日間、ステータス半減、MPが完全回復するまで魔法が使えないなどのバッドステータスが付く。
その状態にキートがなれば、ステータスに大きな差もなく、技術では勝っている和俊に圧倒的有利な状態ができる。
しかし、和俊はその様な勝ち方を望まないだろう。だから、和俊は魔法の中に飛び込んだ。
場はシーンと静まり返った。和俊が純粋な前衛職だからといっても、身体強化のみで魔法の中に飛び込んだら只ではすまない。
魔法から出てきた和俊は全身がボロボロになっていた。だが、目は死んでおらず、闘志を剥き出しにしている。
和俊はキートの懐に入り鳩尾を殴った。
キートは殴られた勢いのまま壁に突っ込み、HPが失くなった。
準決勝第1試合は和俊の勝利で終わった。
次は俺の番だ。