死神と微笑み
××××注意××××
読む人のことを考慮されていない、(多分)読みにくい文章になっております。
この筆者は、『()』を多用します。
たまに某イラストコミュニケーションサイトや某占いサイトに出没します。(関係無いよな?)
気まぐれにしか更新しないと思われます。
何処かで見た事があるような内容や設定があるかもしれませんが、オリジナルです。
これを元にしたような作品を作って良いのは、共に同じ世界を共有したドルディのみです。
キャラクターの勝手な使用は禁止です。
2次作品は世界観しか貸し出せません。
世界設定を捻じ曲げる、過去を想像して捏造する、
未来を妄想して作り上げる事は絶対に禁止です。
此の世は理不尽だらけだと思う。
何故なら、面接で落ちたからだ。
それだけを言うと、ただの不満だと思うだろう。
確かに、近年、就職難とか言われていて、超一流の大学を出たとしても、就職をするのが難しいとか言われている。
ーーだが、流石に50社は酷くないか?
溜息が出る。 ……そんなに、この見た目が駄目なのか。
トイレの鏡で、自身の観察をする。 改めて、自分を見る。
化粧をして整えてはいるものの、生気の無い澱んだ目。そして、疲れ切ったオーラ。これは随分幼い頃から放っていたらしく、幼い頃の写真を見ても酷い有様だった。当然、気合を入れて背筋を伸ばしても全然治らなかった。
うん、見事な死人面だ。
……さすがに、どんな会社、職場でもこの顔じゃダメか。
そう、落胆していると、
「やぁやぁ、そこで不景気面しているキミぃ!」
背後から声を掛けられた。
ーー何だコイツ
一応、形というか、『絵』としては人間の姿してるけど、コイツ人間じゃないよね。 にっこりマークみたいな顔に、男性用トイレのマークとか、非常口のアレみたいな体してるし。ってか関節も曖昧だし。
「何を言う! ぼくは社長だぞ!」
ぷんすこっ!と音を立てて(音を立てて?)目の前のソレは怒り出す。漫画的表現の湯気みたいなやつとか色々出てるのが見える(なんで?)。
あー、はいはい。 何かの詐欺だな、これは。見ない方が得に違いない。そう判断し、ふいと顔を背けた。
「そう邪険にしないでよぉ」
白いジンジャーブレッドマン風の何かは、私が顔を逸らした側に回り込む。うわぁ捨てられた子犬のような目でこっち見てる。
再び反対の方に顔を背けたら既に視線の先に居た。怖っ!
私ときちんと目が合ったのを確認した社長は
「ぼくの会社に来てみないかい? 安心しなよ! 恐らく、きっと、多分、めいびーだけど、採用するから!」
某胃腸薬の様なつぶらな目をキラキラ輝かせながら私に言った。
何だその超絶希望薄そうな “安心しなよ” って。 初めて聞いた。てか何気に地の文読むのやめてよ。びっくりするじゃん。警戒心爆上げしちゃうよ?
「そんな顔しないでよー、嘘だからぁ! ちゃんと採用するもん! 君みたいな人物をボクは求めてたんだから!」
モジモジするジンジャーブレッドマン(風)ってどう信用すりゃいいのさ。まぁいいか。 詐欺でもブラックでも、兎に角職探してたし。 寧ろ、『捜してた』の部類かもしれないけど。
もう面接に行く予定も、悲しいかな、友人や家族などとの予定もない私は白いソレの提案に乗ることにした。
「ところでさ、」
私はふと、社長(自称)に声を掛けた。
「なーに?」
「あんた、性別、ぱっと見じゃ分かりにくいけど、もしかして男?」
「そーだよ? 一人称 “ボク” だもん」
『性別ぱっと見じゃわかりにくいって何?』って顔してるけどおもっくそジェンダーレスな見た目してるからね。
ふーん。 『ボクっ娘』ってのもいるから一応聞いた。 そうか、男か。
「それが何?」
きゅ、と首を傾げた。 ふむ、仕草が可愛いな。 だが、
「ーーここ、女子トイレなんですけど?!」
そう言って、 (自称)社長を張り倒した。なんだか100均で売ってるようなふわふわで軽い紙粘土のような軽さだったけど、白玉団子のような確かな弾力があった。何言ってんだ私。
「何、白昼堂々と、男が侵入してんだよ!」
「思わず!」
思わずじゃねーよ!他に誰も居なかったから良かったものを。誰か居たら大変な事になってたと思うよ。マジで。
ここに居たのが私一人で良かったね。
「うん」
涙目でこっち見ても私何も感じないぞ。寧ろ余計蹴っ飛ばしたくなってきたぞ。
「えっそれはやめてよ」
じゃあその「オヤジにも殴られたことなかったのに!」的な顔とポーズやめて。
そしてここから出ろ。
(1日1小説5より改変/転載)
×××××
「……で、その『会社』は何処にあるんですか」
流石にもう女子トイレからは出ていて、私は社長(自称)と近くのベンチに二人(一人と一匹?)で座った。……ここ何処だっけ?……あ、面接帰りに寄った、ただの公園か。
「ボクが連れてってあげるよ!」
「えっ今ですか」
交通費とか今そんな持ってないんですけど。近くのコンビニとかでおろせばいけると思うけど。
「そんなの気にしなくていーんだよ★」
社長はにこにこした、正しくスマイリーなフェイスでそう言った。
交通費出してくれるとか送ってくれるとかだろうか。
「そういうのちょっと怖いんで地図か住所教えていただければ時自分で行けますし、ほら心の準備とか、色々「だから、そんなの気にしなくて良いって言ってるじゃん」
突然、社長(自称)は立ち上がると私の手を掴み、
「それじゃあ早速、会社へレッツゴー!」
叫んだ。
「人の話聞いて!」
その瞬間、私の叫びも虚しく、周囲の景色と共に真っ白に消え去ったのだった。




