7.there must be some way out of here
夜になり、看守の見廻りも終わった。
張り詰める空気。ブリウスは身を屈めた。
息を殺し、鉄格子の扉を閉める。
ライセンスの後に続き廊下を這って進んだ。
並ぶ他の牢は静かでまるでひと気を感じなかった。
――まさか……〝脱獄〟など!
ブリウスは最初信じられなかった。
ライセンスは随分と前から計画していたという……この鉄壁のデスプリンスからの脱獄を。
――できるわけがない! しかし今こうして牢から出ている。
気は確かだ。どれほどの罪か……捕まれば刑期も延びる。それとも射殺されるか……。
だがもう戻れない。
ブリウスは必死にライセンスの後について行った。
クリシアに会いたい一心で迷いを掻き消した。
――クリシアを連れて遠くへ……。遠くへ逃げよう。……生まれ変わろう……もう充分、罪は償った……。
監視カメラの死角を狙い、闇に溶け込む二人。
排水溝の蓋をこじ開ける手際のいいライセンス。
平然と突き進むライセンスの背に怖ろしささえ感じながらも、その目の奥の訴えにブリウスは強く引き寄せられた――それは自由……〝自由〟。
二人は地下水路を走った。ずぶ濡れで、喘ぐ息で懸命に。
慎重に足場を探りながら重く覆い被さる洞を抜けると、突如風が唸り始めた。
立ち上がる二人。
振り向くとはるか向こうにデスプリンスの見張塔が黒く聳え立っていた……。