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6.location die should
ブリウスは言った。
「波乱続きでね。まともな仕事でもありゃ、また違ったかもな」
「政治が悪いのさ。世の中この貧富の差は何だ? 政治家にとっちゃ票を取ることが改革だ。真の目的を果たしていない。立っている場所や立たされている理由を理解していない。銭を集め私腹を肥やす。奴らは大抵がペテン師なのさ」
嘆くでもなくライセンスは淡々と続けた。
「何処へ向かっているのか、誰が導いてくれるのか、行き過ぎてしまったのか、先は見えない。闇に産み落とされ、這うように彷徨いながら死ぬべき場所を探し続ける。結局それぞれの立場を守るしかない。だが人間というものが皆、善魂のもとに生かされているとするなら……」
ブリウスはじっと耳を澄ましている。
「慈悲に満ちた時間、一つになる瞬間をより多く、つくることだ」
そう言ってライセンスは両掌を合わせた。
一つ訊いてみる。
「〝死ぬべき場所〟とは?」
少し間を置いて、ライセンスは呟くように答えた。
「……ここではない」