20.two riders
その時、風が唸り、彼らの両側に黒い影が迫った!
黒いレザーの男たちがオートバイを駆り、ショットガンを振りかざした。
クリシアが叫ぶ。
「な、何なの?! この人たち!」
左側の男はサングラス越しにニヤリと笑い、平然と発砲した。
轟く銃声、弾丸はサイドボディを貫き、バックシートにめり込んだ。ブリウスがクリシアの腕を引っ張る。
「伏せろ!」
ブリウスは思いきりアクセルを踏み込んだ。
だが男たちは猛スピードで追い上げる。ピタリと離れない。
対向車の何台かがクラクションを響かせた。
右側の男が嘲笑うかのようにフェンダーミラーを撃ち抜く。焦るブリウス。
「くっそ!」
後ろに座るライセンスが突然声を張り上げた。
「ブリウス! もっと左へ寄せるんだ!」
「えっ?」
「ここはいつか弁償する!」と言うと、ライセンスは左後方の窓を叩き割り、身を乗り出した。
そして男の銃を奪い、その首を一気にへし折った。
即死。……男はバイクもろとも鉄柱に激突した。
ライセンスは身を反らし、奪った銃で右側のもう一人を狙う。
男は肩を撃たれ、バランスを失い転倒し、そのまま路上に叩きつけられた。
それはまさに一瞬の出来事。
決死の攻防だった……。