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OUT OF HERE  作者: ホーリン・ホーク
19/25

19.the wind began to howl

 車は再び国道へ。

 走り始めて十五分、後ろのライセンスは何やら落ち着かない。

 ブリウスはミラーで彼と目を合わせる。

「窮屈だろ? ずっと前かがみで。この先も我慢できるかい?」

「うむ。大丈夫だが……どうも背中に硬いものが当たる」

「シートもヘタってるからな。十年も乗りゃ」

「しかしよく走るじゃないか。中も意外に広いしいい車だ」

「もともとジャックのものだった……」

「……つらかったな」

「ああ……」


 グッとハンドルを握るブリウス。

 クリシアは深く息を吐き、少し窓を開けた。

 湿った空気が風に紛れる。

 景色は淡々と流れゆく。



 流れゆく景色を見つめながらライセンスはブリウスの肩に手を。

「……この方向は南だブリウス。まさか、デスプリンスへ?」

 コクリと頷く。そして、

「あんたには申し訳ないが……俺は戻る。やり直すよ。今はまだ罰を受ける。ここで逃げたら、俺たちは一生表通りを歩けない……」

 ブリウスはちらりとクリシアを見た。

「それでいいだろう?」


 クリシアはわかっていた。ここまで来て、複雑だったがやはり逃げたくない。

 陽の当たる道を歩くために――クリシアにはブリウスの真剣な思いが伝わっていた。


 彼女は頷き、ただ微笑んだ。

 ブリウスはライセンスに言った。

「もうすぐ駅が見えてくる。でなくとも何処でも好きな所であんたを降ろすよ。言ってくれ。俺はあんたを助けたい」

「ブリウス……お前は」

 ライセンスは思わず言葉に詰まった。

「お前は正直で誠実な男だ。勇気もある」

「ハッ、何だよそんな」


 そのまましばらく沈黙が続いた。

 ブリウスは一つ訊ねてみた。

「ライセンス。脱獄はあまりに手際がよかった。誰か協力者がいるのでは?」

「俺は……お前を騙していた」

「えっ?!」



挿絵(By みてみん)

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